1
社会のデジタル化と産業構造の変化への対応および中小企業への支援
- ○経済や産業の構造変革への対応ならびに労働力不足の解消に向けて、社会基盤やあらゆる産業において、AI・IoTなどのさらなる活用をはじめ、DXの推進に向けた環境整備を積極的に支援する。特に、中小企業や地方の企業の職業能力開発をはじめとする人的投資や設備投資、研究開発投資を促進するための支援を行う。その際、企業が活用しやすい支援制度を設計・構築するとともに、制度の周知を行う。あわせて、雇用形態に関わらず働く者の学び直しを支援する。
- ○国民生活の利便性向上や非常時におけるセーフティネットの構築につなげるため、「デジタル・ガバメント」を推進する。2026年3月末までに移行が予定されていたガバメントクラウドに関し、自治体ごとに抱えている課題を精査し、人員確保・育成、自治体間のサポート体制構築など課題に応じた支援を行う。あわせて、国内IT産業の育成を支援するとともに、経済安全保障推進の観点からデータ主権を確保するため、機密性の高い情報を扱うシステムから国産クラウドサービスの採用を進める。
- ○サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配の実現に向けて、「働き方」も含めた取引の適正化・適切な価格転嫁を実現する。あわせて「労務費転嫁指針」の公共調達部門も含めた周知浸透と対応の徹底を働きかけるとともに、中小受託取引適正化法(取適法)を周知徹底する。また、「パートナーシップ構築宣言」の取り組みを推進・拡大するとともに、中小企業への各種支援策を拡充および周知し、手続きを簡素化するなど利用しやすい環境を整備する。
2
「公平・連帯・納得」の税制改革の実現
- 〇税による所得再分配機能の強化や低所得者の負担軽減と就労支援に向けて「給付付き税額控除」の仕組みを早期に構築し、基礎的消費にかかる消費税負担分を給付する「消費税還付制度」や、社会保険料・雇用保険料(労働者負担分)の半額相当分を所得税から控除する「就労支援給付制度」を導入する。
- 〇税の公平性の確保や所得再分配機能の強化に向けて、金融所得課税は、将来的な所得税の総合課税化を検討しつつ、税率構造を段階化する。
- 〇所得税の人的控除はできるだけ社会保障給付や各種支援策等に振り替え、残すものは高所得者ほど税負担の軽減額が大きくなる所得控除から税額控除に変えることを基本とする。現行の所得控除を維持する間は、基礎控除額は所得額にかかわらず一律とする。
- 〇自動車関係諸税について課税根拠を総合的に整理するとともに、自動車重量税の「当分の間税率」を廃止し、税の軽減・簡素化をはかる。その際、地方財政に配慮し、必要な税財源を確保する。なお、税財源は幅広く検討・議論する。
3
マイナンバー制度の理解促進と一層の活用
- 〇公正・公平な税制や安心・信頼の社会保障制度、真に支援を必要とする層へのプッシュ型支援制度の実現など、マイナンバー制度の活用によってめざす社会像を広く周知し、国民の理解を深める。また、金融所得課税を含む所得税の総合課税化の実現に向けて、適切な所得捕捉ができるようマイナンバーと金融取引口座のひも付けを行う。
- 〇マイナンバー制度に対する国民の信頼確保に向けて、誤登録問題の検証を踏まえて運用を改善するとともに、個人情報管理体制をより一層強化する。そのうえで、デジタル行政の促進による国民の利便性の周知を徹底するとともに、さらなる利便性向上をはかるため、行政手続きのデジタル化やマイナポータルの活用を促進する。その際、誰もが安心して利用できるよう支援体制や相談窓口の強化を進める。また、今後、カード更新が集中することをふまえ、国民が円滑に手続きできるよう体制の充実・拡充をはかる。
4
雇用の安定と公正労働条件の確保
- 〇労働基準関係法制の見直しについては、労働者保護の基本原則を堅持した上で、労働組合を中核的担い手とする集団的労使関係の強化や、労働時間規制および労働からの解放規制の強化をはかる。時間外労働の上限規制の緩和や裁量労働制の拡充は、「働き方改革」に逆行するものであり、行わない。また、労働監督行政の体制強化をはかるとともに、長時間労働是正のための監督・指導を徹底する。
- 〇無期転換逃れの雇止め防止や派遣労働にかかる雇用安定措置の実効性確保などを通じ、パート・有期・派遣労働者の雇用安定に向けた環境を整備する。また、「同一労働同一賃金」を徹底し、パート・有期・派遣労働者の待遇改善を進めるとともに、制度の施行状況を踏まえつつ、あるべき法規制のあり方を検討する。
- 〇現行の外国人技能実習制度および特定技能制度で就労する外国人の就労面に加え、日本語教育などの支援を強化するとともに、適正な受入に関する指導・監督を強化する。また、育成就労制度(2027年4月施行)および特定技能制度の実効性確保に向け、人手不足の状況や賃金水準の動向などを継続的に把握・適正化を行うとともに、制度所管省庁・業所管省庁において十分な予算を確保し、外国人労働者への支援・相談体制を強化する。
- 〇事業譲渡、合併など、あらゆる事業再編において、労働組合などへの情報提供・協議を義務づけることや、労働契約などの承継に関する規定を設けるなど、労働者保護をはかるための法制化を行う。
- 〇今後の雇用失業情勢の変動などに対応し得るよう、雇用調整助成金などに必要な予算措置を講じるとともに、労働保険特別会計への一般会計からの機動的な繰り入れなどを通じて財政の安定化をはかる。また、雇用保険制度の国庫負担割合を引き上げ、雇用保険が本来果たすべき機能を強化するとともに、他の施策などとも連携し、雇用の維持・安定をはかる。
- 〇就職氷河期世代をはじめ、世代ごとの課題に対応した良質な雇用・就労機会の実現に向け、当事者のニーズを踏まえた中長期的な能力開発を実施し、適切な就職支援・定着支援を行う。また、そのために、ハローワークなどの支援機関の相談体制の強化をはかる。
- 〇働く者の技術・技能やキャリア向上に向けて、非正規雇用で働く者や障がい者などを含め、誰もが希望する能力開発等の機会を確保されるよう、「人への投資」に関する財政支援を拡充する。あわせて、中小企業等へのノウハウの提供や相談援助の強化、制度の周知徹底をはかる。
- 〇地域における産業の発展と安定した雇用による人材確保を推進する観点から、国・地方自治体による地域雇用活性化などの事業を強化する。また、ハローワークなどによる職業訓練、相談援助、マッチング機能を強化するとともに、ミスマッチを減らすため、求職者等への職場情報提供の充実をはかる。
- 〇雇用労働に近い働き方をしているにもかかわらず労働法の保護を受けることができない者について、フリーランス新法にもとづく契約ルールの適正化やハラスメント防止などの実効性を確保するとともに、最低報酬の設定、仲介業者に対する法規制など法的保護の実現をはかる。また、早急に「労働者概念」を見直し、多くの労働者が適切に労働法の保護を受けられるようにする。
- 〇労働教育の推進を通じて、安心して働くことができる社会を実現するため、「ワークルール教育推進法」の策定をはかる。
- 〇不当な解雇を拡大しかねない解雇の金銭解決制度は導入しない。
- 〇最低賃金について、中期的に一般労働者の賃金中央値の6割水準をめざし、早期の実現にむけた一層の引き上げと環境整備をはかる。あわせて、監督体制の強化などを通じ、履行確保を徹底する。
- 〇ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」に関する条約(第190号)の批准に向け、職場におけるハラスメントを行ってはならないことの規範意識の醸成をはかり、ハラスメントそのものを禁止する規定を創設する。また、カスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)の対策が、事業主の雇用管理上の措置義務となることを受けて、中小企業を含め、足並みを揃えて一体的に取り組むように厚生労働省が消費者庁、警察庁、業所管省庁などと連携し、各業界や企業の取り組みを支援する。あわせて、取引先の労働者などによるカスハラの相談窓口の整備、求職者等がハラスメントを受けた際の相談体制の整備・周知と事業主への助言・指導などを行う。
- 〇労働基準関係法制の見直しについては、労働者保護の基本原則を堅持した上で、労働組合を中核的担い手とする集団的労使関係の強化や、労働時間規制および労働からの解放規制の強化をはかる。時間外労働の上限規制の緩和や裁量労働制の拡充は、「働き方改革」に逆行するものであり、行わない。また、労働監督行政の体制強化をはかるとともに、長時間労働是正のための監督・指導を徹底する。
5
ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現
- 〇世界の潮流は2030年までの完全なジェンダー平等の実現(いわゆる203050)である。ポジティブ・アクションなどの「具体的な取り組み」を着実に実行し、「第6次男女共同参画基本計画」にある「指導的地位に占める女性の割合が30%程度」となるよう、その目標を早期に達成する。
- 〇結婚により姓を変更している圧倒的多数は女性であり、その不利益や負担が著しく偏っている中、政府が進める旧姓の通称使用には限界がある。日本は夫婦同姓を法律で強制する唯一の国であり、国連女性差別撤廃委員会から繰り返し勧告を受けていることを踏まえ、人権の尊重、個人の尊厳を基底に置いた社会実現のため、選択的夫婦別氏制度をただちに導入する。
- 〇性的指向・性自認(Sexual Orientation and Gender Identity:SOGI)の多様性に関する差別・偏見をなくし、すべての人の対等・平等、人権が尊重される社会を実現する。「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が定める「基本計画」および「指針」をただちに策定し、国民の理解増進に関する施策を実行する。また、施行後3年を目途とした見直しに際し、性的指向・性自認の多様性に関する差別を禁止する法律を制定する。
6
すべての世代が安心できる社会保障制度の確立
- 〇働いている家族等介護者(ケアラー)が離職を強いられることなく、医療・介護・福祉などのサービスを切れ目なく受けられるよう支援を強化する。また、ひとり親世帯やヤングケアラー、頼れる身寄りのない高齢者など、多様で複合的な課題を抱える人への支援強化に向けて、支援の現場を担う人材の確保に向けた処遇改善策の実行と財源を確保する。加えて、居住確保や子どもの学習・生活支援など包括的かつ重層的な支援体制を構築する。
- 〇医療人材の確保と離職防止に向けて、さらなる処遇改善策を講じるとともに、人員配置を緩和することなく、質の向上と業務負担軽減の観点から、ICTやAIなどの新技術の活用促進を支援する。また、2026年度診療報酬改定の影響を注視し、必要に応じて、切れ目のない医療提供体制を維持できる支援策を講じる。加えて、新たな地域医療構想の検討を踏まえ、地域の実情に応じた医療機関の機能分化・連携を進める。
- 〇介護人材の確保と離職防止に向けて、2027年度介護報酬改定などを通じて、他産業と遜色のない賃金水準へ引き上げるさらなる処遇改善策を講じるとともに、地域で必要な介護サービスを適切に受けられる提供体制を維持できる支援策を講じる。また人員配置を緩和することなく、質の向上と業務負担軽減の観点から、ICTやAIなどの新技術の活用促進を支援する。加えて、利用者や家族などからのハラスメントへの対応を含め、介護人材が安心して働き続けられる職場環境の整備を進める。
- 〇被用者保険の適用拡大について、賃金要件の撤廃を着実に行うとともに、労働時間要件が残存することから、現場で混乱が生じないよう円滑かつ丁寧に実行する。また、第3号被保険者の生活実態を分析するなど、将来的な第3号被保険者制度の廃止に向けた調査および会議体の設置を早期に行う。
- 〇子ども・子育て支援サービスの人材確保と離職防止に向けて、さらなる処遇改善策を講じるとともに、職員配置基準の改善により安全で質の担保された提供体制を確保する。また、こども基本法にもとづく権利擁護などの推進、児童相談所や児童養護施設などの体制強化をはかる。加えて、子ども・子育て支援金制度の財源は、社会保険料ではなく税により確保する。見直しまでの間は、現行制度の仕組みの周知徹底および実施状況・評価の透明性を確保する。
7
脱炭素社会実現に向けた「公正な移行」の実効性確保と予算措置
8
東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実
- 〇東日本大震災からの復興・再生の取り組みの進捗状況と課題を把握しつつ、被災者に寄り添い、被災地の要望を踏まえながら、「『第2期復興・創生期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針」に基づいて、帰還・移住の促進、生活やなりわいの再建など、第3期復興・創生期間における復興の取り組みを着実に進める。
- 〇被災地などの農水産物や食品に関する風評対策として、安全証明や販路拡大の支援を徹底するとともに、国内外に向けて迅速かつ正確な情報発信を行う。
- 〇若年層を中心に、被災のために心のケアを必要とする人が、支援を中長期的に受けられるよう、心のケアセンターや各自治体の心のケア事業の予算確保と体制維持・拡充をはかる。
- 〇改正災害対策基本法に基づいて地方自治体が公表する物資の備蓄状況を点検し、広域災害にも対応しうる備蓄が行われるよう取り組むとともに、同法に基づく被災者援護協力団体の登録制度において、適切な団体のみが登録されるよう審査を厳正に行い、被災者支援の際に人権意識が担保された取り組みがなされるよう団体の育成を支援するなど、防災関係法令の改正を踏まえた実効性のある対応がなされるようにする。
- 〇事前防災を強化し、災害発生時にすべての被災者の安全と人権が確保された上で生活再建と復旧・復興が進められるよう、司令塔機能を担う防災庁を速やかに設置して十分な人員を配置する。また、国、都道府県、市町村、事業者、NPOなどが効果的かつ効率的に協働できるよう災害対策基本法や災害救助法で定められている役割分担を見直す。
9
教育機会の均等実現と学校の働き方改革を通じた教育の質的向上
- 〇就学前教育から高等教育まで、すべての教育にかかる費用の無償化を行い、社会全体で子どもたちの学びを支える。また、GIGAスクール構想における、国費による端末の保守・更新や高校への整備、情報通信技術支援員の拡充、デジタル・シティズンシップ教育などを推進する。
- 〇教員が子どもと向き合う時間を確保し、きめ細かな教育を行うため、改正給特法および同法に基づく指針を踏まえ、就学前教育から中等教育までの教職員の配置増、定数改善および処遇改善、部活動の学校から地域クラブ活動への着実な移行、外部人材の活用も含めた負担軽減を着実に進め、学校の働き方改革を実現する。また、働き方改革の進捗状況を正確に把握するために教員勤務実態調査を実施し、時間外・休日労働に割増賃金の支払いを義務づける労働基準法第37条を教員に適用するなど、給特法の抜本的な見直しを検討する。
10
民主主義の基盤強化と国民の権利保障
- 〇投開票の簡素化・効率化、疑問票の削減、海外赴任者の選挙権保障などの観点から、端末での電子投票を可能とする。また、有権者の投票機会のさらなる確保のため、投票当日投票所の維持はもとより、共通投票所設置の拡大や期日前投票所の開設期間と時間の延長、移動期日前投票所の拡充について、十分な人員配置と財政措置を講じるとともに、高齢者、障がい者、傷病者、妊婦などの選挙権保障のため、郵便等投票制度の手続きの簡素化と対象拡大を進める。
- 〇若者の政治意識の醸成に向けて、義務教育段階から主権者教育を行う。
- 〇選挙制度改革については、衆参含めて現行制度の課題を整理した上で、民意が適切に反映される制度をめざす。その際、国会議員だけではなく、公平・公正な第三者機関によって議論を進める。とりわけ、定数については、慎重に検討を進める。
- 〇参議院選挙の合区については、都道府県という単位の政治的重要性に鑑み、地方の事情に精通した全国民の代表としての活動など、参議院に二院制のもとでの独自の役割を定めることによって解消する。
- 〇Web等を利用する場合の取り扱いと文書図画の頒布・掲示に関する規制の整合性をはかる。また、選挙期間中に、インターネットを介して当該選挙に関連する動画等を掲載し利益を得ることを禁止する。さらに、政党等による政治活動を目的とした広告については、その媒体を問わず、費用や態様について一定の制限を設ける。
- 〇立候補者の公平・公正な選挙運動実現のため、わたり規定(公職選挙法第178条の3)に該当する場合を除き、同一の選挙か否かにかかわらず、候補者が他の立候補者の当選に資する行為を行うことを禁止する。
- 〇選挙妨害をはじめとする行き過ぎた選挙運動事例に鑑み、立候補者が選挙運動を妨げられることなく安全に活動できるよう、また有権者の適正な参政権行使が保障されるよう、「選挙の自由妨害罪」(公職選挙法第225条)を厳格に適用する。
- 〇政治資金や選挙に関する法令遵守の徹底のための独立した専門機関を早期に設置し、公職選挙法や政治資金規正法を実効性あるものとする。
- 〇政治分野における男女共同参画推進のため、クオータ制導入および女性議員の割合に応じた政党交付金の傾斜配分について法整備を行う。また、候補者・議員の仕事と生活の両立を支える環境整備や、あらゆるハラスメントを対象とした対策の強化を行う。
11
未批准のILO中核条約の批准を通じたディーセント・ワーク実現