2026年度重点政策|7 脱炭素社会実現に向けた「公正な移行」の実効性確保と予算措置

7 脱炭素社会実現に向けた「公正な移行」の実効性確保と予算措置

GX実現と「公正な移行」

2025年2月、政府は「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」を改訂し、「GX2040ビジョン」(以下、ビジョン)を閣議決定した(図1)。ビジョンは、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化の影響、DXの進展やGXによる電化などの電力需要増加の可能性、経済安全保障上の要請によるサプライチェーンの再構築のあり方、カーボンニュートラルに必要とされる革新技術の導入スピードやコスト低減の見通しなどにより、将来の見通しに対する不確実性がますます高まる中、GX実現に向けた投資の予見可能性を高めるため、長期的な方向性を示すことを目的に策定された。ビジョンは「中堅・中小企業の多くは、脱炭素への取組が自社の売上に直結しない、GXを推進する人材・ノウハウや資金が足りていないなどの課題から、取り組みが進みづらい傾向にあるが、サプライチェーンによっては、脱炭素への取組が進まない企業がサプライチェーンからはじき出されるといったリスクも顕在化しつつある。『公正な移行』の観点からも、こうしたリスクに直面する企業を中心として、対応策を講じていく必要がある」と指摘している(図2)。
GX施策の実行にあたっては、「公正な移行」の実現やエネルギーのS+3E確保を念頭に、関係産業や地域の労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話を行うなど、国民合意形成を着実に進める必要がある。地域ごとに産業構造や人口動態などが異なることから、GX施策によって生じる課題も多様である。そのため、「公正な移行」を実現するには、地方自治体を中心に各地域の関係当事者による社会対話を行い、地域の雇用に配慮した方針・計画を策定するとともに、産業構造の変化に対応した企業の事業転換や労働者のスキル習得を促すことが必要である。国・地方自治体には、企業の事業転換や労働者のスキル習得に対する支援に加え、セーフティネット構築のための十分な予算措置が求められる。

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