婚姻前の氏を名乗り続けられるかどうかは、個人の尊厳や人権に関わる重要な問題である。全国規模で行われた調査では、選択的夫婦別氏制度に賛成が83.9%、反対が15.3%と賛成が多数を占めている(図1)。連合の調査でも「夫婦は同氏でも別氏でも構わない。選択できる方がよい」と回答した割合は46.8%と、「夫婦は同氏がよい」26.6%を上回っており、制度導入への理解は広がっている。また、氏の変更が婚姻の妨げになると回答した人は20代男性で20.8%と、氏の変更が個人の意思や人生設計に影響を及ぼしていることが明らかとなっている(図2)。
選択的夫婦別氏制度については、1996年に法制審議会が導入を答申しているにもかかわらず、現在まで実現に至っていない。日本は夫婦同氏を法律で義務付けている唯一の国であり、国連の女性差別撤廃委員会は日本に対し、法改正の必要性について繰り返し勧告を行っている。
そうした中、2025年に選択的夫婦別氏制度に関する法案が立憲民主党、国民民主党から国会に提出され、28年ぶりに国会で審議されたが、2026年の衆議院解散により廃案となった。
婚姻の際、約95%の夫婦で女性が改姓している中、政府が進めようとしている旧氏使用の法制化では、個人の尊厳や人権尊重という要請に応えられてないばかりか、手続きや管理の煩雑さは残り、国際社会でも通用しない。個人の尊厳と人権を尊重し、多様な生き方を保障する社会を実現するために、希望する者が婚姻前の氏を名乗り続けられる選択的夫婦別氏制度の早期導入が求められる。

