連合は、結成30周年を迎えるにあたり、めざすべき社会像として掲げてきた「働くことを軸とする安心社会」を継承・深化させ、2035年の社会を展望した中長期の「羅針盤」となる運動と政策の方向性を示すものとして、2019年5月に「連合ビジョン」を策定しました。これを受けて、連合がめざす社会の実現に向けた政策面の強化の一環として、これまで提起してきた社会保障と税制に関する中長期政策を補強し、同年6月に、「社会保障構想(第3次)」「税制改革構想(第4次)」として改訂するとともに、新たに「教育制度構想」を取りまとめました。その後6年が経過する中で、コロナ禍など経済・社会情勢や政治情勢の変化、政策・制度の進展状況などを踏まえ、3つの構想の点検・見直しを行い、2025年5月に「改訂版」として取りまとめました。
経済・社会情勢は、速度を増して変化を続けています。私たちは、これらの変化に伴う様々な課題を克服し、すべての働く人々が能力を最大限に発揮しながら、働きがいのある人間らしい働き方(ディーセント・ワーク)のもと、希望を持って安心してくらしていける経済・社会を次の世代に引き継いでいかなければなりません。そのためには、雇用・労働にかかわる政策の実現はもとより、社会保障や教育、それらを支える税制について、丁寧に国民合意を形成しながら、持続可能で誰もが信頼できる仕組みへと再構築していくとともに、必要な負担を分かち合い、社会の分断を生まない再配分を進めていく必要があります。
これまでの社会保障は、救貧や貧困の防波堤として、病気やけが、加齢などのリスクに見舞われたらその都度対応する、いわば対症療法的の支援が中心でした。これに対して、「新21世紀社会保障ビジョン」「社会保障構想(第3次)」では、貧困に陥る前に支援を行う「積極的社会保障政策」と「参加型社会保障」を打ち出し、経済や雇用の改善につながる具体的な制度設計を提起しています。
また、人口減少・超少子高齢化社会を乗り越えていくために、以下の5つを重点戦略として掲げた上で、子ども・子育て支援、社会的セーフティネット、医療保障、介護・高齢者福祉、障がい児・者政策、年金・所得保障の各制度の改革案をそれぞれ示しています。