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特集記事

あなたのまちの「連合」
①連合神奈川

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みなさんは各都道府県に連合の組織である「地方連合会」があり、自治体に「こうすれば地域が良くなるのでは?」という提案(政策提言)を出したり、労働相談に応じたりしていることをご存じでしょうか。地域で働く人を支える「縁の下の力持ち」、地方連合会の取り組みをご紹介します。1回目は、25年以上「まちかど労働相談」を続けるなど、地域密着の活動に取り組む日本労働組合総連合会神奈川県連合会(連合神奈川)にお邪魔しました。

事務所入口

「SEYOTECA」って何? 
変わった名前のウェブメディアで、政策を分かりやすく発信

連合神奈川が昨年立ち上げたのが「SEYOTECAネット」という変わった名前のウェブメディア。名前の語源は「いさくせいどうきゅういげんといとう(政策制度要求提言と回答)」の4文字から取られています。あえて覚えにくい名前にして「何でこんな名前にしたんだろう?」という読者の好奇心を呼び起こす「ツァイガルニク効果」を狙ったのだとか。
「神奈川県の住民は、県をまたいで都内に通勤していることも珍しくありません。こうした人たちも含め、住んでいる地域の課題と連合の活動とのつながりを知ってもらいたい、というのが立ち上げのきっかけです」と、萩原周子副事務局長は説明します。

「要求提言と回答」の正式な文書は「〇〇計画の進捗の確認と施策の効果を検証してほしい」「情報発信に努めてまいります」といった具合に、硬くて読みづらい文章が並びがち。提言の内容を地元の写真や、分かりやすい言葉で紹介するのがこのサイトです。
例えば急傾斜地が多い三浦半島では、がけ崩れがしばしば起きて住民の悩みの種になっており、三浦半島地域連合では対策工事などを要望してきました。
すると横須賀市内で昨年、過去にがけ崩れのあった急傾斜地の対策工事が進む様子を時系列で紹介しました。記事では「手前に商店街があり、このままではとても危険な場所です。対策が実施されてほっとしています」と、住民目線の言葉も添えられています。

ペットボトルなどが打ち寄せられた県内の海岸の写真とともに、海洋プラスチックごみを減らすことの大事さを呼び掛ける記事もあります。
「地元神奈川の海にペットボトルが流れ着いている様子を見せることで、連合神奈川の政策要求の項目である『海洋プラスチックごみ削減』を、自分にとっても関係のある身近な問題だと捉えてもらえればと思います」と、萩原さん。
ちなみに海岸の写真は、連合神奈川の当時の担当副事務局長が自ら海に行って撮影したそう。連合神奈川と県内にある9つの地域連合のスタッフが、足を使って作っているメディアでもあるのです。

25年以上続くまちかど労働相談、
地道な取り組みで地域に浸透

また連合神奈川は、「まちかど労働相談」を25年以上続けてきました。始まったころは街頭で、労働問題に関するパネルディスカッションなどを行うイベントでしたが、その後まもなく労働相談を本格的に受ける形に衣替え。今は1年に4回、JR横浜駅近くの地下通路に6~7個のブースを設けて、相談に応じています。

まちかど労働相談の様子

会場周辺では、連合ユニオン神奈川の成重恒夫書記長らがマイクを握り、道行く人に「職場で困っていることがあれば、相談してください」などと呼び掛けます。たいていは1日30人、多い時は50~60人が訪れ、そんな時は「ブースが空く暇もないほど」だとか。会場には労働問題に詳しい弁護士も参加しており、法的な問題に対するアドバイスもしています。
相談の中で最近目立つのは、あからさまなパワハラではなくボーダーラインに当たるような嫌がらせをされ、退職に追い込まれそうだ、といった訴えだといいます。「会社としてもパワハラや解雇は表面化すると問題になってしまうので、自主退職に持ち込むよう巧妙化していると感じます」(成重さん)

連合ユニオン神奈川の成重恒夫書記長
 

このほか会社から「うちは固定残業制だから」と言われ、払われるべき残業代が支払われない、退職を希望したが、人手不足のため「代わりを連れてこい」「仕事に穴が開いたら損害賠償を請求するぞ」などと言われて辞めさせてもらえない、といった相談も多いといいます。また少数ながら「組合を作りたい」という相談もあるそうです。
相談者の半数弱は組合に加入していますが、加入していない人に相談員が「組合費もかかるので、実際に団体交渉などの必要が生じた時に加入しては?」と勧めても「安心のために加入したい」と希望する人も。
「コロナ禍以降、リモートワークなどで勤め先からの情報が少なくなった、将来への不安を抱えても相談する人がいないといった孤独感を抱え、つながりを持ちたいと組合に加入する人も増えています」と、成重さんは話します。
会場近くで配ったティッシュや、ブースの周りに置いたチラシを何年も保管し、困った時にそれらに書かれた相談ダイヤルの番号に電話してくる人も少なくありません。長年の活動で、まちかど労働相談と連合神奈川への市民の認知度は、確実に高まっていると言えるでしょう。
数年前からは、川崎市内でも同じ取り組みを始めました。歴史が浅いこともあり横浜ほどの相談はありませんが、「継続は力なり」と地道に続けようとしています。

持続可能な形を模索 地域連合会の挑戦 課題

まちかど労働相談も含め、連合神奈川に寄せられる労働相談は2023年、836件に上りました。ただ成重さんは「誠心誠意、個別の問題に向き合っていますが、アドバイスだけでなく労働審判や団体交渉などが必要な場合もあります。そうなると支援する側のマンパワーも限られますし相談者本人の負荷も高くなるので、問題解決が難しくなることが悩みです」と打ち明けます。時代に応じて労働法なども改正されていくため、相談員の知識をアップデートする必要もあります。また問題を抱えて組合に加入した人の中には、解決後に脱退してしまう人も多いため、組織に定着してもらうことが難しい面もあります。

連合神奈川事務所から見える横浜港大さん橋

ただ副事務局長の萩原さんは「役に立つ活動をしていれば、市民は関心を持ってくれます。地道な取り組みを続けることが、回り道に見えても連合を知ってもらう一番の方法だと考えています」と語りました。

一方、SEYOTECAネットはまだ立ち上がったばかりで、多くの人に見てもらう仕掛けをどう作るかが課題となっています。このため直接の政策提言だけでなく、「大磯町で巨大なとんど焼きが開かれます」といった、地域の伝統行事やイベントなども紹介し、関心を高めようともしています。
「お祭りなど、地域の伝統文化を守るのも連合の政策のひとつ。折に触れてこうした話題にも触れています」(萩原さん)
最近は小中学校でもSDGsを学ぶ機会が多く、環境問題や伝統を守るといった取り組みは、子どもたちの学びの「ネタ」にもなりそうです。神奈川県や周辺地域の皆さんは、親子でSEYOTECAネットを見てみてもいいかもしれません。
萩原さんは「必ずしも連合神奈川という名前が広まらなくてもいいのです」と話します。
「こんな活動をしている団体があり、その活動が自分の住む地域や生活につながっていると、県民の皆さんに分かってもらいたい。それが最終的に、私たちの活動を地元に定着させる力になると思います」

これがイチ押し!自慢の名産・名所

・「湘南ボーイ」成重さんお勧めの一品「シラス丼」
江の島のシラス丼、特に釜揚げと生シラスのハーフをぜひ食べてみて。おいしいですよ!


・萩原さんおすすめの「シルクスカーフ」
横浜は開港後、生糸貿易が始まった地。大さん橋近くの「シルクセンター」内のお店でスカーフを販売しています。ただお値段もそれなりなので、お土産というより自分へのご褒美かも?

横浜スカーフ
https://www.yokohamascarf.com/shop/
一般社団法人シルクセンター国際貿易観光会館
https://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/shop/

・職員、志村さんイチ押しの場所「みなとみらい」
王道ですが昼間も夜景もきれい。日本初の都市型循環式ロープウェイ「エアキャビン」で空中散歩を楽しむのもおすすめです。

・親子連れも楽しめるスポット「西平畑公園」「フラワーガーデン」(萩原さん)

足柄上郡松田町にある西平畑公園は、早咲きの桜と富士山の眺望で有名。ミニSLやロング滑り台もあり親子連れも楽しめます。小田原フラワーガーデンは四季折々さまざまなお花が咲き、中には珍しい植物もありますよ。

西平畑公園
https://town.matsuda.kanagawa.jp/site/kankou-sub/nishihira-park.html
フラワーガーデン
https://www.kanagawaparks.com/odawarafg/

(執筆:有馬知子)

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