初めての労働問題でもよくわかるコラム

「春闘」ってテレビでよく聞くけど…

 
「ベア」ってなに?

  ニュースや新聞などで、「今年の春闘は、ベアが焦点」などといったフレーズを目にしたことはありませんか?

 “ベア”とは、「ベースアップ」を省略した言葉です。つまり、「基本給(ベース)の水準を上げる(アップ)」ことをいいます。ここで注意したいのは、年齢や勤続年数に応じて基本給が上がる“定期昇給”とは全く別物だということ。年齢や勤続年数に関係なく、全社員の給与水準そのものを一斉に引き上げるのが「ベア」です。

 ベアは、景気による影響を大きく受けます。例えば、高度経済成長やバブル経済による好景気の時代は、毎年2~5%のベアが実施されていました。物価の上昇に合わせてベアを行うことで労働者の生活が守られてきたのです。
 しかし、一度ベアを実施するとその後の人件費も増えるため、2000年以降、景気の低迷やデフレを理由に多くの企業がベア要求を拒否するようになりました。その後、業績が回復しはじめた大企業を中心に2014年頃から再びベアを実施する企業が増えましたが、中小企業の資金水準は相対的に低いままです。大手や業績の好調な産業だけでなく、中小企業やパート・契約・派遣で働く人たちの賃金まで幅広くベアを含む賃上げが行われなければ、所得格差の拡大の原因にもなるのです。

 連合は従来の「大手追従・大手準拠」から脱却することで、中小企業やパート・契約・派遣などで働く人々、労働組合のない職場で働く人々の処遇の改善を実現し、広く社会全体の労働条件の底上げをめざしています。