国際活動

 

ビジネスと人権

ビジネスと人権とは何か

 人、物、金、そして企業が国境を越えて縦横に移動するようになった現在、国家をしのぐ経済規模を有する多国籍企業が登場し、国内外での多様な企業間取引が増加しています。企業活動の活発化は恩恵をもたらす面もある一方で、人権に与える負の影響は無視できなくなってきています。

 このような状況を踏まえ、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」が策定され、国連人権理事会において全会一致で支持されました。この中で、ビジネスと人権を「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「救済へのアクセス」の3つの柱に分類しました。

 新疆ウイグル自治区やミャンマーなどでの企業活動に伴う人権侵害が注目されていることもあり、ビジネスと人権の問題は海外で起きていると思われがちです。しかし、日本国内における労働者の権利侵害・ハラスメント・差別・外国人労働者への人権侵害などもビジネスと人権の問題です。

労働組合に求められる対応

 労働組合は密接・長期に企業に関係することなどから、企業活動における特別なステークホルダーであり、ビジネスと人権について、労使関係を通じた使用者側への働きかけや他のステークホルダーとの連携などに積極的に取り組む責任があります。

 また、ビジネスと人権を語るうえでは、経営リスクの抑制や企業価値向上の視点が強調されがちですが、国連指導原則では、労働者をはじめとする権利保持者の人権侵害リスクに対処する観点からの取り組みが求められています。このことを踏まえ、労働組合は社会正義の追及と人権の尊重を中心に据えてビジネスと人権の問題に取り組む必要があります。

 労働組合は日常的な労使関係を通じ、労働者の声をくみ取りながら職場の労働安全衛生水準の向上やハラスメントの防止など、労働者の人権に関わる課題を提起し、それらの解決に取り組むことが役割の1つです。このことを踏まえれば、労働組合は既にビジネスと人権の問題に取り組んでいるともいえます。ビジネスと人権という切り口で自分たちの活動を捉えなおすことによって、人権が尊重された働きがいのある職場づくりや建設的な労使関係の構築につながります。

 連合は、「ビジネスと人権に関する考え方」を策定し、連合の基本的な考え方や連合全体としての具体的な対応について示しています。このページでは、ビジネスと人権に関する労働組合の取り組み、および日本政府や国際機関によるガイドラインなどを紹介しています。