ジェンダー平等・多様性推進

 

マタニティハラスメントをなくそう

育児をしながら働ける社会づくり

 マタハラ(マタニティハラスメント)とは、働く女性が妊娠・出産を理由に解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントのこと。働く女性にとって悩みとなる「セクハラ」「パワハラ」に並ぶ3大ハラスメントの1つです。
 妊娠・出産・育児と仕事を両立しながら働く女性が増えていくなか、妊娠・出産に関わるハラスメントの問題が浮き彫りになってきました。働きながら妊娠・出産・育児をするための権利は、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法によって守られているにも関わらず、社会がまだ追いついていない状況があるのです。

「マタニティハラスメント」の実態

 連合が2013年5月に行ったインターネット調査「マタニティハラスメントに関する意識調査」では、4人に1人が「妊娠したら解雇された」「会社に育児休暇の規定はないと言われた」「妊娠中に残業や重労働をさせられた」などの被害にあったことがあると回答しました。一方、「マタニティハラスメントという言葉も意味も知らない」と答えた人は79.5%、「言葉は聞いたことがあるが、意味は知らない」人は14.4%、「言葉も意味も知っている」人はわずか6.1%しかいませんでした。
 しかし、連合の取り組みをはじめとする運動の盛り上がりによって、2015年8月に実施した「第3回 マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」では、「マタニティハラスメントという言葉も意味も知っている」と答えた人は93.6%となっており、取り組みの成果が顕著に表れています。
 とはいえ、自身や周囲に意識の変化を尋ねると、6割異常が「全く変化を感じない」「ほとんど変化を感じない」と答えており、現状を変えることの難しさも同時に表れています。

就業環境の改善のための十分な対応を

 働く女性が妊娠・出産を経て育児と仕事を両立するには、男性、管理職を含めた職場全体の協力が不可欠です。制度だけでなく、妊娠・出産そのものに対する理解も欠かせません。法律では母子健康管理や母性保護に関するさまざまな規定がありますが、これらはあくまで最低限の権利・義務であり、各職場でのさらなる環境整備が望まれます。
 また、こうした職場環境の整備は、妊娠・出産や育児にとどまらず、他の労働者が病気や介護などで休むことになっても、業務への影響を抑えることにつながります。妊産婦のためだけでなく労働者全員のためにもなると心得て、誰もが働きやすい職場づくりに取り組みましょう。
 近年では、育児に参加しようとする男性に対して差別的発言をしたり嫌がらせをしたりするパタハラ(パタニティ・ハラスメント)も問題になってきています。男女問わず、育児と仕事を両立できる社会づくりが急務です。