労働相談

 

労働相談Q&A

43.いじめ、パワー・ハラスメント
Q
職場の上司から、ミスを厳しく叱責されたり、社員の前で罵倒されたり、頭を小突かれたりする。
A
使用者には労働者に対する安全配慮義務があると同時に、パワー・ハラスメント(以下「パワハラ」)防止のための雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
当時の状況をできる限り詳しく記録し、証拠の確保を。
法律のポイント
いじめやパワハラは人格権侵害の不法行為であり、こうした行為に対しては、加害者だけではなく、使用者も安全配慮義務不履行により責任が問われる場合がある(労契法第5条)。さらに、労働施策総合推進法(通称「パワハラ防止法」)により、企業の規模に関係なく、事業主はパワハラ防止のために雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
解説
職場におけるパワハラ

 職場におけるパワハラとは、①優越的な関係を背景とした、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、③就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)、これら3つの要素をすべて満たすものを指す。この定義においては、 ①上司から部下に対するものに限らず、職務上の地位や人間関係(顧客や取引先等)といった「職場内での優位性」を背景にする行為も該当すること、②業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること、を定めている。

<パワハラの類型>
  1. ① 暴行・傷害…身体的な攻撃
  2. ② 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言…精神的な攻撃
  3. ③ 隔離・仲間外し・無視…人間関係からの切り離し
  4. ④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害…過大な要求
  5. ⑤ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと…過小な要求
  6. ⑥ 私的なことに過度に立ち入ること…個の侵害
事業主が取らなければならない措置

 労働施策総合推進法により、事業主は以下の措置を取ることが義務となる。

  1. ① 労働者からの相談に対し、適切に対応するために必要な体制を整えること(同法第30条の2第1項)
  2. ② 相談を行った労働者に対して解雇等の不利益な取り扱いをしないこと(同法第30条の2第2項)
  3. ③ 労働者がパワハラを行わない、パワハラに対して関心や理解を深めるために研修を実施すること(同法第30条の3第2項)
  4. ④ 事業主(会社の役員等)自らも、労働者に対する言動に必要な注意を払うこと(同法第30条の3第3項)
民法の不法行為責任

 民法第709条は、故意・過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害した者は損害賠償責任を負うと定めている。また民法第715条は、使用者に対して、相当の注意をしていた場合を除き、被用者が第三者に与えた場合の損害賠償責任を定めている。
 ただし、どのような行為が違法性を問われるかは、一律に基準があるわけではなく、ケース・バイ・ケースで判断される。パワハラやいじめが人事権の行使を伴う形で行われている場合、判例では、以下の3つの基準をもとに、その違法性が判断されている。

  1. ① 業務上の必要性:業務命令が業務上の必要性にもとづいていない
  2. ② 命令の真の目的: 外見的には業務上の必要性があるようでも、その業務命令の目的が退職強要等にある
  3. ③ 不利 の程度: その業務命令が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益(肉体的、精神的苦痛を含む)を与えること
労契法の安全配慮義務

 労契法第5条は、使用者に対して、労働者が生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう配慮義務(安全配慮義務)を課している。したがって、使用者にはいじめ、パワハラ等の行為の防止策を講じる義務がある。これを怠った場合には、使用者は損害賠償責任が問われる場合がある。

対応手段

 まず、状況をできる限り詳しく記録し(いつ、どこで、誰に、何をされたか等)、証拠を確保する。次に、書面(内容証明)で加害者に対する行為の中止、使用者に対する再発防止策を求める。職場内部での解決が困難な場合は、行政の窓口(労働局、法務局)、労働委員会、仮処分、労働審判申し立てを検討する。いじめ、パワハラ等が原因で肉体的、精神的疾病を発症した場合は、労災給付の可能性があるので、診断を踏まえ労基署等に相談する。

相談先

 会社の相談窓口、労働組合、都道府県労働局、法務局人権擁護部、弁護士

<参照条文>

労働施策総合推進法第30条の2第1項、第30条の2第2項、第30条の3第2項、第30条の3第3項、
労契法第5条
民法第709条、第715条

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