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労働相談Q&A

39.育児・介護休業取得に伴う不利益取扱い
Q
育児休業から復帰しようとしたら、会社から
「あなたのポジションはない、パートタイム労働者であれば復帰も可能」と言われた。
A
育児休業の申し出をしたことや取得したことを理由に、不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されている。
法律のポイント
育児・介護休業法では、育児・介護休業の申し出をしたこと及び取得したことを理由として、解雇その他「不利益な取扱い」は禁止されている(第10条、第16条)。不利益な取り扱いには、労働契約内容の変更の強要なども含まれる。
解説
不利益な取扱いの禁止・防止措置義務

 事業主は、労働者が育児休業の申し出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない(育児・介護休業法第10条)。
 育児休業の他、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置、始業時刻変更等の措置について申し出をし、または制度を利用したことを理由とする解雇その他不利益な取り扱いについても禁止(育児・介護休業法第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2)。
 また、上司・同僚が職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする就業環境を害する行為を行わないよう、事業主は防止措置を講じなければならない(男女雇用機会均等法第11条の2、育児・介護休業法第25条)。

「不利益な取扱い」の例
  1. ① 解雇すること。
  2. ② 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
  3. ③ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
  4. ④ 退職または正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
  5. ⑤ 就業環境を害すること。
  6. ⑥ 自宅待機を命ずること。
  7. ⑦ 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限または所定労働時間の短縮措置等を適用すること。
  8. ⑧ 降格させること。
  9. ⑨ 減給をし、または賞与等において不利益な算定を行うこと。
  10. ⑩ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
  11. ⑪ 不利益な配置の変更を行うこと。
  12. ⑫派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者にかかる労働者派遣の役務の提供を拒むこと。
休業期間の取扱い

※厚生労働省の通達においては、「『解雇その他不利益な取扱い』に該当する法律行為が行われた場合においては、当該行為は民事上無効と解される」としている。

 育児・介護休業の期間は、年休の発生要件である出勤率の算定に当たっては、出勤したものとして取り扱われる(労基法第39条第8項)。

<参照条文>

育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2、第25条
労基法第39条第8項
男女雇用機会均等法第11条の2
 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針
(平成21年厚生労働省告示第509号)

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