コロナ禍により、多くの働く仲間とその家族が大きな影響を受け、より弱い立場にある仲間ほど困難な状況に置かれています。また、貧困と格差、加速する人口減少・超少子高齢化、脆弱な社会的セーフティネットなど、社会経済の持続可能性にかかわる課題が山積しています。さらに「カーボンニュートラル」や「デジタルトランスフォーメーション」など、大きな社会変革の波が押し寄せてきています。
そのためには、格差是正に向けた分配構造の転換とともに、とりまく諸課題を克服し、SDGsの推進、社会経済の包摂的な発展と平和を実現しなければなりません。連合運動もその一翼を担うべく、国際労働運動との連携をはじめ、多様な主体との協働を進めることが重要です。あらゆる活動の基盤は組織の拡大・強化です。集団的労使関係の価値を社会に広げる営みと同時に、コロナ禍も踏まえた新たな運動スタイルを確立し、これまで労働組合・連合運動が接点を持ち得なかった人々との関係づくりを強化するなど、私たちが率先して運動の変革にチャレンジしなければなりません。そして、すべての働く仲間とつながり、連合の政策と運動を広く社会に発信し、共感と参画・行動の好循環を創り出す必要があります。一人ひとりをまもり、地域をつなぎ、人権が尊重され、ジェンダー平等と多様性に満ちた安心社会の構築へ果敢に挑戦していく必要があります。
「働くことを軸とする安心社会」に向けて、すべての働く仲間とともに「必ずそばにいる存在」としての連合運動を切り拓いていきましょう。
(2005年10月6日第9回定期大会で制定)
労働組合は、経営者・政府・政党等から独立した自主的な組織である。しかし、一方で労働組合は社会の重要な構成員として存在しており、その行動や発言、そして組織運営については、社会に対して説明できるものでなければならない。労働組合の存在意義を広く社会全体に示す上でも、このことは極めて重要な課題である。
連合評価委員会は、今後の「労働運動のあり方、理念の再構築」として、「高い“志”、不公正や不条理なものへの対抗力、それを正すための具体的運動と闘う姿勢」を挙げている。連合は、この間、法令や従業員の権利を無視した企業運営や、社会的格差をもたらす政府の市場万能主義的な政策に対抗する組織的な取り組み、あるいは労働者の権利確立・人権・環境・安全・平和などを求める国内外の取り組みなどを志向し、さまざまな行動に取り組んできた。言い換えれば、労働組合は、経営側の行動に関するチェック機能を果たし、社会正義を追求する運動体である。これらを推進する前提として、労働組合自らが、法令や社会的ルールに基づいた近代的で公正・透明な運動と組織運営を確立し、組合員はもとより未組織労働者や社会全体から「信頼される」存在でなければならない。
私たちは、この「連合行動指針」のもと、日本のナショナルセンターとしての責任と役割を十分に果たしうる運動と組織を構築することをめざす。