労働組合を知ろう

あなたのまちの「連合」
⑪連合北海道 渡島(おしま)地域協議会

image_print印刷用ページ

実りの秋こそ考えよう、身近な食と環境を!
~渡島地協が函館で「食と環境まつり」を開催~

これまで10回にわたって、地方連合会の取り組みを紹介してきた「あなたのまちの『連合』」シリーズ。新たに、市町村レベルで地域に根ざした「地域協議会(地協)」の活動について紹介していきます。
地協第1弾は、北海道・道南をカバーする渡島(おしま)地協です。毎年秋、市民参加型イベントとして、地協をあげて開催しているのが「食と環境まつり」。今年で13回目を迎え、市民にもすっかり定着してきたイベントをレポートします。

食と環境まつりとは

道南は豊かな自然に恵まれ、農業・水産業などが盛んな地域です。地元の食材や自然環境に目を向け、地産地消と環境問題への関心を高めてもらう目的で、2010年にこのイベントがスタートしました。
主催は、食・みどり・水を守る道南地区労農市民会議。35年前に、渡島地協の加盟労組と、農民連盟に加盟する農家の皆さんで結成し、食と環境の問題について考え、毎年、アフリカへ支援米を贈る活動を続けてきました。地域の人たちにも参加してもらえる企画を模索する中で、連合青森の「食・みどり・水のフェスティバル」を参考に、2年間視察と検討を重ねて実現に至りました。 コロナ禍で3年間中断したものの、今年で13回目を迎え、市民から「今年はいつやるのか」と問合せがくるほど、着実に認知度は上がっているといいます。

2025年のポスター・チラシ

2025年の模様は…

10月18日(土)、天気予報はくもりのち雨。
会場は、青函連絡船摩周丸が展示されている埠頭前広場。函館駅や函館朝市、赤レンガ倉庫群から徒歩圏内で、函館湾と函館山を臨める抜群のロケーションです。
朝8時半、60名ほどのスタッフが集合し、何もないところから、機材・備品の運搬、テントの設営、出店やイベントの準備まで自力でセッティングし、開店準備を進めました。 今年の出店数は、19団体27ブース。第1回の10ブースから、10回目には32ブースまで拡大し、コロナ禍後は30ブース弱で推移しているそうです。

スタッフ全員で協力して、会場設営

左:会場全景。奥に映るのが、青函連絡船摩周丸
右:函館山をバックに抜群のロケーション。この埠頭には今年52隻のクルーズ船が寄港し、最大の船は定員4000名。停泊中、乗客らでとても賑わう広場だそうです

オープニング

朝11時、いよいよ開会。オープニングを飾ったのは、マーチングバンド全国大会の常連校「函館大学付属有斗高校」。開会と同時に降り始めた雨の中、ステージを美しい隊列で動き回り、はつらつとしたマーチングを披露してくれました。

左:函館大学付属有斗高校マーチングバンド部の皆さん
右:開会式で紹介される、主催者・来賓の皆さん(左から、黒瀧浩二 実行委員長(食・みどり・水を守る道南地区労農市民会議議長)、春田雄一 連合総合運動推進局長、髙久保陽一 食・みどり・水を守る道民の会会長、佐藤昌利 渡島地協会長、逢坂誠二 衆議院議員)。右端は、司会を務めた西山勝隆 全水道函館水道労組副執行委員長

大人気の「野菜の詰め放題」「お米の格安販売・お米すくい」

開会式が進む傍ら、一部のテントでは早くも大行列が…。「野菜の詰め放題」と「お米の格安販売・お米すくい」ブースです。どちらも毎年、人気のブースといいますが、昨今の野菜・米価格の高騰により、さらに人気が上昇。野菜の詰め放題はすぐに完売してしまうため、午後の来場者に配慮し、販売時間を午前・午後に設定する工夫もされています。
野菜は地元のとれたて野菜、お米はもちろん今年の新米。野菜詰め放題・お米すくいとも各300円でおトクなうえ、かなり盛り放題で、農民連盟の皆さんのサービス精神と懐の大きさが感じられました。

上:お米すくいのブース
中:野菜の詰め放題ブース
下(左):お米と野菜を両手に抱えた来場者
下(右):詰め放題の達人!? 袋に収まってませんが、これでもOKなんです

今年の目玉「はこだて和牛のサイコロステーキ」

大行列の横では、希少な木古内(きこない)町産「はこだて和牛」の試食販売が行われていました。サイコロステーキ6切れ入って500円でしたが、通常のお店で食べると倍以上の値段だとか。
はこだて和牛、実は今年が出店最後なのだそう。生産者が高齢化し、農民連盟の活動参加が難しくなったことから、「食と環境まつり」では味わえなくなりますが、木古内や函館へお越しの際はぜひご賞味ください。

はこだて和牛ブース。はこだて和牛をモチーフにした、木古内町公式キャラクター「キーコ」も登場(写真右)

連合組合員も、調理に販売に奮闘

渡島地協の加盟組合も「食」のブースを出店し、地元食材を使った食品の調理や販売で大忙しでした。あちこちから美味しそうな匂いが漂い、道南の食材の豊かさが実感できる数々でした。

左:北海道産リンゴ。東京ではお目にかかれません。大きくて、香り豊か。もちろん美味しいです
右:豚串じゃないよ、やきとりだよ!(函館で「やきとり」は豚肉だそうです)

このうち、学校給食調理員の組合員の皆さんが地元野菜をたっぷり使って作る「THE 道南カレー」は、間違いのない美味しさ。例年一番早く完売するそうですが、今年は雨の影響で、ここでも苦戦を強いられていました。

学校給食調理員さんが大鍋で作る道南カレー。具だくさんでボリュームたっぷり。ちょっと懐かしい味かも…

室蘭から、胆振地協も出店!

道南エリアお隣の胆振(いぶり)地協が毎年出店してくれています。メニューは3年連続、室蘭製麺さん(室蘭市)の「どさんこもち・プリ丸餃子」を特製スープに入れ、スープ餃子として提供。昨年までスープは醤油味でしたが、今年は塩味に変更し、函館市民の味覚に寄せてみたといいます。

過去2年は気温が高く売れ行き低調だったそうですが、今年はまさかの雨。「傘をさしながら、箸と容器を持って食べるスタイルは厳しい!」と、胆振地協・松田潤事務局長は開店早々、頭を抱えていました。
とはいえ、コンスタントな客足で、「最後に余ったら買い取りたい」と申し出るファンも現れ、好感触でした。実食した感想は、もちもちしてなまら美味しぃ~♪

初出店の年はご当地グルメ代表の室蘭カレーラーメンを提供し、「調理に時間がかかってしまい、期待通りには売れなかった」そうですが、毎年検討と工夫を重ねており、「来年はそろそろメニュー変更しようかな」と話す松田事務局長。はたして来年どうなるか、楽しみです。

上:ユニオニオンも店先でお手伝い
左下:ガスコンロセッティング中の港運同盟  栗林商会労働組合・金三津勝利 執行委員長(室蘭地区連合会・副会長)(左端)、松田潤 胆振地協事務局長(右端)
右下:もちもちプリプリのスープ餃子。この形、何かに似てるような…??  ⇒ユニオニオンの頭

忘れてはいけません、「環境」ブースも

環境について考えるブースも多数出展。渡島地協の加盟組合も、展示やモノづくりなどを通じて、環境を考えるきっかけを提供しました。

左:浄水場3か所の水道水飲み比べブース。取水場所によって味や硬度が微妙に違うんだとか
中央・右:アフリカ支援米活動のパネル展示ブース。ちなみに、支援米の品種は「ななつぼし」

アフリカ支援米、道南からマリ共和国へ

北海道では、1985年からアフリカのマリ共和国へ支援米を贈る活動を続けています。しかし米作りを受けてくれる農家が減ってしまい、道内4か所だったのが、今年はここ道南1か所のみ。その田んぼで9月に収穫した同じお米を食べてもらい、この活動も知ってもらおうと、ブースではお米の販売と活動展示が行われました。なお、売上金の一部はマリへの輸送費に充てられるそうです。 ステージでは、支援米の出発セレモニーが行われ、渡島の皆さんの想いを乗せて、アフリカへ向けてトラックが出発しました。

左:出発セレモニーで代表挨拶を行う、髙久保陽一 食・みどり・水を守る道民の会会長(中央の男性)
右:今年収穫した支援米を積込中。このあと、アフリカへ向けて出発しました

子どもにはうれしい特典・イベントがもりだくさん

子ども限定の「スタンプラリー」や「ゲームコーナー」が設けられ、地元在住のバルーンパフォーマー・キックさんのショーや、フィンランド発祥のスポーツ「モルック」体験など、お子さんたちが楽しめる企画が満載でした。

左上:スタンプラリー  右上:ゲームコーナー
左下:バルーンパフォーマーのキックさん(中央の女性)は、子どもから大人まで大人気
右下:モルック体験コーナー。昨年、函館で日本初のモルック世界大会が開かれたそうです
中央:戦後・被爆80年コーナーも。しっかり次世代へ継承しています

最後のお楽しみ、お米が当たる「大抽選会」

イベントの最後を締めくくるのは「大抽選会」。景品は、新米です。1等(1本)はドーンと10キロ、2等(3本)が5キロ、3等(40本)も2キロの大盤振る舞い。コメ価格の高騰により、お米が当たる大抽選会の人気は年々うなぎのぼりだといいます。
さらに今年は特別に、はこだて和牛の「カレーセット」「焼肉セット」が提供され、抽選会のテントは多くの人だかり。当たり番号が読み上げられるたびに、満面の笑顔で名乗り出る参加者の姿が見られました。

左:大抽選会。司会を務めたのは、長谷川義樹 渡島地協事務局長(左端)
右:喜びの1等当選者

土砂降りのため最後は駆け足となったものの、プログラムは予定通り進行し、無事閉会しました。ここ数年、来場者は900名ほどだそうですが、残念ながら今年は全く及ばず、、、天気に泣かされた第13回となりました。

組合員のみなさんの協力あってこそ ~ずぶ濡れの撤収作業~

残るは撤収作業です。お店の片付け、テントの解体、テーブル・イスの撤去、積込など、皆ずぶ濡れになりながら協力し合って作業し、会場はあっという間に元の広場に。

このイベントは、業者に頼らず、自分たちだけで作り上げているため、加盟組合の協力なくして成り立ちません。「来場者からは大変良い評価をいただいています」と語ってくれたのは、連合北海道渡島地協・長谷川義樹事務局長。「こうした評価をいただけるのは、出店しない組合を含め毎回大勢の組合員が協力し、皆でイベントを支えてくれているおかげです」と感謝の気持ちを述べられました。

雨足が強まる中、皆で撤収作業。服も靴もびしょぬれ、朝くっきり見えた函館山(右上写真奥)もガッスガスです

今後も続けていきたい! ~陰に陽に大活躍 渡島地協・長谷川事務局長~

渡島地協・長谷川事務局長は第1回から運営に携わり、イベントの中心的存在です。
このイベントにあたっては、長谷川事務局長をはじめとする実行委員会が8月から準備に着手。イベント前日には朝から手分けして、機材や備品を各所から借りて回ったり、調理を始めたり…と、早くも大忙しだったそう。

当日は朝6時半に地協事務所に集合し、車6台で機材・備品を会場へ運搬。イベント中は全体を統括し、会場撤収した15時以降も、事務所に戻ってレンタルした機材や備品の返却作業。すべて完了したのは17時すぎだとか。長谷川事務局長、地協役職員の皆さん、大変お疲れさまでした!

無事イベントが終わり、安堵の笑顔の長谷川義樹 渡島地協事務局長

この一大イベントについて、長谷川事務局長は「将来的に引き継げるか課題ですが、私の代は『続けなきゃ』と思います」と明るく語ってくれました。さらに、「こんな雨天は初めてで、今年は残念でしたが、天気が良ければ本当に賑やかな楽しいイベントです。ぜひ来年もお越しください」とも。

渡島地協の熱意と道南の魅力がぎっしり詰まった「食と環境まつり」、ぜひ皆さんも遊びに来てください。来年はどうぞ晴れますように!

(番外編)函館のオススメ情報

「函館のおすすめグルメは?」の質問に、地元の人も北海道民も、口を揃えて紹介してくれたのが「ラッキーピエロ」。道南の食材にこだわり、函館周辺で17店舗展開するハンバーガーレストランで、どのお店もいつも賑わっているそう。一番人気は、チャイニーズチキンバーガー。大きな唐揚げ3個入ってボリュームたっぷりながら、価格はワンコイン以下。甘辛ソースが絶妙で、シャキシャキレタスもたまらない、また食べたくなる味でした。

同じく名前が挙がったのが、ハセガワストアの「やきとり弁当」。焼き鳥ではなく、豚串がのった海苔弁で、自宅への手土産や電車のお供にもピッタリです。

胆振地協のお二人も、「函館に来ると必ずハシゴする。絶対外せない!」と絶賛の2店です。函館へお越しの際はぜひ♪

上:「ラッキーピエロ」と「ハセガワストア」が隣り合うベイエリアの店舗。ハシゴするには最高です!
左下:「ハセガワストア」のやきとり弁当
右下:「ラッキーピエロ」一番人気のチャイニーズチキンバーガー

RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP