①金融機関の破綻への対応を強化するため、消費者保護の観点から、セーフティネット制度の充実をはかる。その財源は、事業者負担を基本としつつも、システミックリスクなど国民生活への影響を回避するため、政府が適切に公的資金を注入できるようにする。また、破綻処理にあたっては、取引先や従業員の雇用に十分配慮するとともに、経営健全化計画の確実な履行、経営者責任や株主責任を問う。
②政府は、金融機関の再編については、個別金融機関の主体性を尊重し、経営体質の強化と地域経済の活性化を重視した監督を行う。
③政府は、金融機関の破綻懸念先以下の債権への引当金に対する無税償却制度の導入や「銀行等保有株式取得機構」の活用などにより、金融機関の健全性をはかる。
④政府は、金融機関によるきめ細やかな融資判断やコンサルティング機能の強化、専門人材の育成など、中小企業やベンチャー企業の経営支援につながる政策の推進をはかり、事業育成の視点に立った支援をおこなう。
⑤政府は、信用保証制度枠の拡大を通じ、民間金融機関等による中小企業等への融資を促す。また、政府系金融機関は、地域の民間金融機関と協調のもと担保免除特例制度やDIPファイナンス(事業再生支援融資)を拡充するなど、中小企業等への事業融資強化、育成、支援、再生をはかる。
⑥政府は、中小企業やベンチャー企業が多様な手段を通じて資金調達ができるよう必要な環境整備を行う。一方で、投資家のすそ野を拡大する政策を実行する際には、投資家保護策や広報活動の充実をはかる。
⑦Fintech(注1)をはじめとした金融市場におけるICTやAIなどの進展を踏まえ、金融サービスの利便性の向上、セキュリティ対策の強化など国民が安全に利用できる制度を構築するとともに、利用者の保護や公正な競争条件の確保に向けて、金融機能ごとに同一の機能・リスクには同一のルールを適用するなど金融規制体系の再構築をはかる。また、金融機関やベンチャー企業などの連携と、双方の新たな事業展開に資する包括的な支援を行う。
⑧政府は、国民がライフステージに応じた金融経済教育を受けることができるよう、金融機関やNPOなどとも連携し、学校における教育の充実などをはかる。
⑨地域金融機関は、債務企業の「再生」「活性化」を最優先に据え、不良債権処理にあたっては、地域経済を支える中小企業等の役割や特性を十分に踏まえた上で、直接償却を多用することなく、間接償却も併用し、計画的に進める。(「地域活性化政策」参照)
⑩国・地方自治体は、地域金融機関が地域密着型金融としての役割を発揮し、産官学金労言の連携のもと事業再生や成長分野の育成、産業集積など雇用の創出に資する取り組みを推進するよう指導や支援を行う。(「地域活性化政策」参照)