2.雇用の安定と公正労働条件の確保(雇用・労働政策)

雇用・労働政策<背景と考え方>

  1. (1)新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、業況が悪化している業種で働く労働者やパート・有期・派遣で働く労働者などの雇用が脅かされている。政府は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の周知徹底やさらなる活用の促進に加え、求職者支援制度の要件緩和や特例措置を設けるなど職業訓練の拡充をはかっているが、今後さらなる対策も必要となる。
  2. (2)また、労働者の雇用を守るため、雇用調整助成金や産業雇用安定助成金なども活用しつつ、雇用調整助成金の活用などにより雇用を守りながら、雇用創出効果の高い分野に施策を集中し、産業政策と雇用政策を一体的に推進することが重要であり、同時に、パート・有期・派遣による雇用から正規雇用への転換促進、就労支援策の拡充、最低賃金の引き上げ、社会保険の適用拡大、若年者雇用対策の強化など、重層的な積極的雇用対策や社会的セーフティネットの整備に一層取り組む必要がある。雇用保険を財源として、失業等給付や各種助成金など「雇用のセーフティネット」が維持されているが、その財源の枯渇化が懸念されており、一般会計から十分な繰り入れが行われなければ、今後、さらに雇用情勢が悪化した場合に必要な対応ができなくなる。雇用保険の積立金財高については、一定量をつねに確保するとともに、暫定的に引き下げられた国庫負担を法律本則へ復帰させておく必要がある。
  3. (3)若者の雇用・就労の状況も、コロナ禍の影響を大きく受けている。大学生等の就職内定状況が前年に比べ悪化していることから、新たな就職氷河期世代を生じさせない対策が必要である。また、政府は3か年の集中対策として就職氷河期世代支援プログラムをとりまとめたが、コロナ禍の制限により、十分に機能を発揮できたとはいいがたい。求人の開拓や、資格の取得などを含めた教育訓練をより充実させるとともに、個人のニーズに沿った就職に向けたマッチングを強化し、若年層が長い職業生活を安心して働き続けられるよう、社会全体で若年雇用対策に取り組むことが重要である。
     高年齢者雇用安定法の改正を受け、今後、高齢者の雇用はさらに進展することが見込まれている。就労を希望する労働者の増加や、雇用と年金の接続の観点からも、雇用形態にかかわらず希望するすべての労働者への70歳までの雇用確保が求められる。一方で、健康上の理由や家族介護などで継続雇用を希望することが難しい者に対する社会的セーフティネットの整備など、残された課題の解決も必要である。
     2021年3月から障がい者の法定雇用率が引き上げられた。また、「障害者雇用と福祉施策の連携強化に関する検討会」において、これまで雇用と福祉がそれぞれで進めてきた就労支援などを今後一体的に進めるための議論が行われている。雇用と福祉双方の連携強化にむけた議論動向を注視しつつ、企業や障がい者ニーズも踏まえ、連合としても適宜意見反映をしていくことが重要である。
     引き続き、職場における障がい者の差別禁止と合理的配慮の提供が、官民問わず適切に実施され、「働きづらさ」をかかえる労働者が、手帳を取得していなくても、就労困難性を判断して法定雇用率の対象にするなど、ソフト面・ハード面の双方から「働きやすい」環境整備を進めるとともに、法定雇用率の達成をめざし、さらなる支援が必要である。
  4. (4)日本で働く外国人労働者数は、コロナ禍において増加の一途を辿っている。外国人技能実習制度における賃金未払いや長時間労働をはじめとした、労働関係法令違反および人権軽視などの問題は依然として後を絶たない、加えて、コロナ禍による外国人労働者の解雇、雇止めなどの問題も明らかになっている。
     一方、2019年4月より施行された「特定技能」制度は、施行2年後を目途に2021年以降見直しの議論が行われる予定である。日本で働くすべての外国人労働者の人権や権利が保障されるよう、外国人技能実習法を含め、外国人労働者政策として総合的な検討および体制整備を行うべきである。
  5. (5)コロナ禍において、テレワークをはじめとする柔軟な働き方が多くの企業で導入・活用されるなど、労働者の働き方は大きく変化している。テレワークや副業・兼業などの働き方は労働者にとっての利便性やニーズがある一方、労働時間が把握しづらい。更なる労働時間管理の徹底が求められる。
     パートタイム労働者を除く一般労働者の年間総実労働時間は、業種によるバラつきはあるものの、10年ぶりに2000時間を下回ったが、過労死等の労災支給決定件数は高水準で推移している。「過労死等の防止のための対策に関する大綱」等に基づき、業種毎の調査・分析などを通じた施策の実効性確保や、曖昧な雇用で働く就業者も含めた長時間・過重労働対策の強化が求められる。
  6. (6)厚生労働省「労働組合基礎調査」によれば、労働組合の推定組織率はわずかに上昇しているものの2割に満たない水準で推移している。とくに正規雇用でない労働者の多くは未組織であり、集団的労使関係の及ばない労働者も多く存在している。
    法令上「過半数代表」が関与する制度は、労働関係法のみならず、多く存在している。改正労働基準法における時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の法整備等をはじめ、「過半数代表」が果たす役割の重要性は高まっている。しかしながら、会社側の指名をはじめとした不適切な方法による選出など、必ずしも職場の代表としての正当性が担保できていない。まずは、過半数代表者の適正な選出や運用が図られるよう厳格な対応を徹底するとともに、引き続き労働者代表法制などの労働組合のない職場における労働者の声を反映する仕組みについて検討が必要である。
  7. (7)AIやIoTなど、第4次産業革命などの進展に対応した職業能力開発の「質のさらなる向上と量の拡大」が求められている。特に、デジタル化に対応できる人材育成支援メニューなどの充実が重要である。また、高齢者雇用安定法の改正により、労働者として働き続ける期間もさらに長くなることから、リカレント教育など働き続けながら、新たな知識や技術を習得することも必要となる。一方で、コロナ禍により特定の産業・企業において、離職を余儀なくされた労働者も相当数に上ることから、求職者支援制度の拡充を含め、セーフティネットとしての職業訓練を強化していく必要がある。
  8. (8)就業形態の多様化、IT化の進展、プラットフォームエコノミーの台頭等により、現行の「労働者」概念では捉えられない「曖昧な雇用」で働く就業者が増加している。コロナ禍において、「曖昧な雇用」で働く就業者のセーフティネットの脆弱性が顕在化する中、政府は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を公表したが、ガイドラインは従来の考え方をまとめたものにとどまっている。従来の労働関係法令では対象とならない就業者の保護は喫緊の課題であり、社会の実態や就業形態の多様化などを踏まえた「労働者」概念の早急な見直しと拡充が求められる。
  9. (9)政府の「第13次労働災害防止計画」にもとづき「労働災害の撲滅」や「過労死等の防止等の労働者の健康確保対策」、「就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策」などについて、企業規模や雇用形態に関わらず政労使で推進する必要がある。また、働き方改革を受けた長時間・過重労働対策や、今後増加が想定される高齢労働者や外国人労働者への安全確保対策も確実に実行していくことが求められる。さらに、いじめやハラスメントを含む職場の人間関係によるストレスやコロナ禍におけるテレワークの普及などによる新たな課題も勘案したメンタルヘルス対策も必要となる。同時に、新型コロナウイルスによる重症化リスクが高いとされる基礎疾患を抱えながら働く者への配慮を含め、「治療と仕事の両立支援」を制度としてあらかじめ整備しておくことも重要である。
  10. (10)いわゆる「無期転換ルール」については、施行後8年(2021年4月)の経過後に検討を加える旨が労働契約法の附則に規定されており、有識者による検討が行われている。施行状況を踏まえ速やかに検討を進め、労働者保護および実効性確保の観点から必要な措置を講ずるべきである。 また、有識者による「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」が行われているが、我が国では、既に労働審判員制度をはじめとした現行の労働紛争解決システムが有効に機能している。個別労働紛争の解決に向けては、既存の紛争解決システムの運用面での改善や、労働紛争を未然に防ぐための労働教育の実施などについて充実を図るべきである。

 

1.ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を中心に据えた雇用の拡大をはかるとともに、劣化した雇用の質を回復させる。

  1. (1)産業政策と雇用創出を一体的に推進し、良質な雇用の拡大をはかることで完全失業率2%台を堅持しつつ、雇用の質の回復を実現する。雇用および労働は、経済と社会の発展を支えるための前提であり、雇用の質の向上と働く意欲のある労働者の完全雇用実現の方策を、国の基本政策の中心に据える。
  2. (2)雇用の原則は「期間の定めのない直接雇用」であることを基本とし、非正規雇用から正規雇用への転換を促進する。
  3. (3)劣化した雇用の質を回復させるため、過労死やいわゆる「ブラック企業」などの問題に早急に対処するなど、国および地方自治体における労働行政を充実・強化する。
  4. (4)ディーセント・ワークの実現に向け、人や社会の成長を促す雇用・労働環境の整備、公平・公正なワークルールの整備と社会保障システムの再構築、職場における諸課題の解決システムの強化、労働政策を支える基盤の充実、職業生活を通じた自己実現をはかる観点から、「雇用基本法」(仮称)の策定をはかる。労働者が主体的に職業生活を充実・発展させていくことを基礎づける権利としての「キャリア権」を「雇用基本法」(仮称)に規定する。
  5. (5)労働者の意見を真に反映することができる政策決定プロセスを確立する。

    ①公労使の三者構成原則の重要性を再認識し、労働政策審議会の一層の強化をはかる。

    ②雇用・労働分野に限らず社会の多様な課題解決を進めるために、マクロの政策決定の場に労働者・労働組合代表が参加することができる仕組みを構築する。

 

2.失業から良質な雇用に早期に復帰・移行できるセーフティネットを拡充する。

  1. (1)雇用保険制度の充実をはかる。

    ①雇用形態にかかわらず、すべての雇用労働者に雇用保険を適用することとし、雇用保険の適用対象の拡大(週所定労働時間20時間未満の労働者、日雇労働求職者給付の受給資格要件の緩和など)をはかる。

    ②基本手当について拡充する。

    a)法定賃金日額・所定給付日数・給付率を2000年改正前の水準にまで回復する。

    b)特定受給資格者以外(一般離職者)に対する給付制限期間(3ヶ月)について、期間短縮などの見直しを行う。

    c)災害時おける雇用保険の特例措置(実際に離職していなくとも基本手当の受給が可能となる措置)について、制度利用後に雇用保険被保険者資格を取得した場合、休業又は一時離職前の雇用保険の被保険者であった期間も通算できるようにする。

    d)所得再配分と生活保障の観点から、「最低保障手当額」(仮称)の創設、家族を扶養する求職者の基本手当の手当額加算など、セーフティネットの拡充を検討する。

    ③2017年度から5年間の暫定措置である特定理由離職者(雇止めなどによる離職者)の所定給付日数の拡充については、制度の恒久化や雇止め離職者を特定受給資格者の対象へ追加するなど、有期契約労働者のセーフティネットを確保する。

    ④雇用保険の国庫負担については、失業時の生活の安定をはかることは国の責務であり、国庫負担の時限的引き下げが終了する2022年までに本則(4分の1)に確実に戻す。

    ⑤雇用保険の積立金は、給付の改善と財政運営の安定性のバランスを考慮し、適正な水準とする。なお、雇用保険の積立金は、労使が拠出した保険料のみで構成されており、その使途については労使の意見を最大限尊重する。

    ⑥雇用保険料率(失業等給付および雇用保険二事業)のあり方については、雇用失業情勢などを十分に踏まえ、雇用保険財政の安定的な運営の確保と給付水準の回復の観点から、安易な料率の引き下げは行わない。また、雇用・失業情勢が大幅に悪化した場合などに、雇用保険二事業などへの一般財源の投入も機動的になされる仕組みを構築する。

    ⑦教育訓練給付制度(一般教育訓練、専門実践教育訓練)については、リカレント教育が国の重要な政策課題としていることから、国の責任により一般財源で実施するよう見直しを行う。

    ⑧雇用保険を財源とする育児休業給付・介護休業給付については、少子高齢化対策が国の重要な政策課題であることから、国の責任により一般財源で実施するよう見直しを行う。

    ⑨労働保険特別会計の雇用保険二事業および労災保険の社会復帰促進等事業については、より効率的・効果的な事業として見直しを行いつつも、必要な事業は引き続き実施する。なお、雇用関係委託事業の委託先事業者の決定にあたっては、入札価格のみならず、事業内容の質を適正に評価した選定を行う。雇用関係助成金の生産性要件については、企業間格差の助長や当該企業の労働条件の悪化につながらないよう適正に運用する。

    ⑩雇用維持の観点から高い政策効果を有する雇用調整助成金については、その仕組みを堅持した上で以下の対応をはかる。

    a)雇用失業情勢の変化に応じて要件を緩和するなど、機動的に運用する。

    b)受給申請において、虚偽の報告(労働者への休業手当が支払われていなかったなど)を行った企業への罰則を強化する。

    c)雇用調整助成金の適用対象外である「事故又は災害により施設又は設備が被害を受けたことによるもの」および「行政処分又は司法処分によって事業活動の停止を命じられたことによるもの」に伴う経済的損失を「経済上の理由」として適用対象とする。

    d)一定規模以上の災害の発生などにより雇用調整助成金の財源が枯渇した場合は、国の責任として一般財源を投入できるようにするなど制度・財源のあり方を検討する。

    e)産業雇用安定助成金を恒久的な制度とするとともに、雇用調整助成金の在籍出向も活用し「失業なき労働移動」を実現させる。また、個々の労働者の希望を踏まえたマッチングが実現できるよう、出向先の確保も含め、体制の強化をはかる。

    ⑪労働移動支援助成金については、離職を余儀なくされる労働者の再就職支援に必要な場合にのみ適用されるよう、支給要件を見直し、厳格に運用する。

    ⑫65歳以上のマルチジョブホルダー(複数の事業所で雇用される者)を対象に試行される2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度については、対象となる可能性のある労働者に対し、制度実施の前から十分に周知・広報を行うこと。

    ⑬求職者支援制度の財源は、雇用保険制度から分離・独立した制度として全額一般財源で負担するよう見直しを行う。

  2. (2)公共職業安定所(ハローワーク)の機能を強化する。

    ①ILO第88号条約(職業安定組織の構成に関する条約)にもとづき、無料職業紹介、雇用対策(企業指導)、雇用保険(失業認定と失業給付)は国の指揮監督と責任により、全国ネットワークで一体的に運営する。

    ②国と地方自治体が連携して就労支援・生活支援を行う「一体的実施事業」を推進する。その際、運営協議会への地域労使の参画をはかり、求職者・利用者の利便性を向上させる。

    ③ハローワークの常勤職員を増員し、非常勤職員の常勤職員への転換を進めるなど、組織・人員体制を強化する。

    ④新卒者や3年以内の既卒者の支援を行う「ジョブサポーター」や、求職者の状況に応じたきめ細かな支援を行う「就職支援ナビゲーター」の増員、「ジョブ・カード制度」の技能・評価情報の活用などを通じ、キャリア・コンサルティング機能を向上させ、マッチング機能を強化する。

    ⑤就労を希望する高齢者に対し、ハローワークの生涯現役支援窓口等を活用しつつ、本人の意向を踏まえた適切な就労支援を行う。

    ⑥障がい者の就労促進に向け、ハローワークを中心とした「チーム支援」を強化する。

  3. (3)求人トラブルの抜本的解消に向け、2017年改正職業安定法の周知・徹底を行うとともに、職業紹介事業や募集情報等提供事業等、求職者や求人者が利用する事業の多様化を踏まえ、いかなる事業形態であれ適正な事業運営が行われるよう指導を強化する。

3.地方自治体や各地域の労使などの地域関係者の創意工夫を活かした地域雇用対策を推進する。

  1. (1)地域雇用に関する雇用創造事業について、「地域雇用活性化推進事業」「地域活性化雇用創造プロジェクト」などの継続・拡充をはかり、地域における自発的な雇用創造の取り組みなどを支援する。事業やプロジェクトの検討・運営に関する協議会などへの労働組合の参加を保障する。
  2. (2)国(都道府県労働局/地方経済産業局など)・地方自治体・地元経済界などで構成される地域雇用創造に関する会議や協議会などへの労働組合の参加を確保し、地域の雇用創出、地域活性化策などについて総合的に検討する。
  3. (3)国は、地域主体の雇用創出・地域再生に向けて、Iターン、Jターン、Uターンの促進による人材確保、人材育成、起業促進、企業誘致などについて必要な支援を行う。
  4. (4)地域での人材育成機会の確保に向け、地域の企業グループが地方自治体と連携し、共同で雇用型訓練を実施するスキームを構築するなど、地域における人材育成の方策を検討する。

4.有期契約、パートタイム、労働者派遣、請負など、多様な雇用・就業形態の労働者の雇用の安定と公正な処遇を確保する。

  1. (1)同一労働同一賃金の法整備の施行状況や待遇差に関する司法判断の蓄積などを踏まえつつ、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を実現に向けた取り組みを進める。

    ①同一労働同一賃金に係る法整備の実効性を確保するため、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含め、パート・有期雇用労働者のあらゆる待遇差の改善に関し、労使への周知徹底をはかる。併せて、相談・支援体制の一層の充実・強化をはかる。

    ②待遇差の合理性の立証責任の使用者への転換や、待遇差が無効とされた場合の補充効の明確化など、残された課題について検討を進める。

    ③派遣労働者の待遇決定に関しては、派遣先から派遣元への情報提供義務の徹底など、法の実効性を確保するための周知及び指導徹底をはかる。

  2. (2)有期労働契約について、2012年改正労働契約法や有期特措法の施行後の運用状況の検証を行い、残された課題に引き続き取り組む。

    ①労働契約法第18条の無期転換ルールについて、法施行後の無期化と雇止めに関する検証を行う。

    ②有期労働契約の締結には合理的理由を必要とする入り口規制を行う。

    ③「有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準」(大臣告示)の法制化をはかり、雇止め予告について、予告期間未満の場合の手当の支払も含めた制度化を検討する。

    ④有期特措法について、法施行後の特例の適用状況の検証を行い、労働者保護の趣旨が損なわれている場合には廃止も含めた制度の見直しを行う。

  3. (3)2020年7月の労働力需給制度部会における「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」を踏まえ、改めて法の周知を徹底するとともに、厳格な指導・監督を行う。

    ①派遣労働者の希望を踏まえた雇用安定措置や、派遣期間延長の際の労働組合等への意見聴取の着実な実施を徹底する。

    ②引き続き検討課題とされた派遣先の団交応諾義務について、法定化に向け、労働組合法との関係も含めて早期に専門的見地から検討を開始する。

    ③「労働契約申込みみなし制度」の運用状況を検証しながら必要な見直しを行うとともに、対象となる偽装請負・違法派遣の一掃に向けた指導・監督を強化する。

    ④日雇い派遣は原則禁止を堅持し、禁止の例外事由の拡大などは行わない。

  4. (4)就業者保護の観点から法的に未整備の部分が多い、「クラウド・ソーシング」の普及などにより拡大傾向にある「自営型テレワーク」や「個人請負」「委託労働」などの形態で働く者について、適切な保護をはかる。

    ①労働基準法などの規定の趣旨に照らして保護すべき労働者は、雇用労働者に適用される労働関係法令を適用する。

    ②「曖昧な雇用」で働く就業者保護をはかるべく、「労働者」概念を社会の実態に合わせて見直し、拡充する。

    ③「労働者」概念の見直しと並行して、契約条件の明示や報酬額の適正化、契約の締結・変更・終了に関するルールの明確化等の法整備を図る。

    ④「曖昧な雇用」で働く就業者のうち、より独立性、事業者性が強い働き方をする者に対しては、個別の論点により保護の必要性について検討する。

  5. (5)副業・兼業の安易な推進は行わない。また、複数就労せざるを得ない者の保護に向け、法的未解決の課題を整理する。

    ①労働保険については、すべての雇用労働者にとってのセーフティネットとなるよう、適用と給付のあり方について検討を進める。

  6. (6)国や地方自治体の臨時・非常勤等職員の雇用の安定と待遇改善をはかるため、公務が適用除外とされる労働契約法やパート・有期法の趣旨が国家公務員・地方公務員制度へ反映されるようにさらに必要な法整備をはかる。

 

5.雇用労働環境の変化などに対応するワークルールの整備、確立をはかるとともに、集団的労使関係システムを構築する。

  1. (1)労働者保護の視点から、内定取消しの法理など確立した判例法理を条文化するなど、労働契約法の内容を強化し充実化する。

    ①労働契約法が対象とする労働者の範囲を拡大する。

    ②ILO第158号条約(使用者の発意による雇用終了に関する条約)を批准する。

  2. (2)整理解雇4要件については、判例で確立した4要件は緩和しない。また判断の基準を明確にするため、4要件を法制化する。
  3. (3)不当な解雇を拡大しかねない解雇の金銭解決制度は導入しない。
  4. (4)労働基準法第15条の労働条件の書面による明示の徹底をはかるとともに、いわゆる「固定残業代」のトラブルが生じていることを踏まえ、労働基準法施行規則を改正し、書面の交付にて明示しなければならない労働条件に「法定労働時間を超える労働時間があるときの時間外割増賃金の計算及び支払の方法」を追加する。
  5. (5)労働基準法における就業規則の作成・届出義務の対象は、10人以上から5人以上に拡大する。
  6. (6)過労死問題や、若者の使い捨てが疑われるいわゆる「ブラック企業」問題に対しても適切に対処するため、国および地方自治体における労働行政を充実・強化する。

    ①労働基準監督官をILO が提唱する基準(労働監督官1人当たり最大労働者数1万人)まで増員する。監督の強化に向けた根拠規定を整備し、違反した場合に企業名を公表するなど労働基準法違反への適正・厳格な対応をはかる。また、派遣・請負・個人請負など、多様化する雇用・就業形態に対応できるよう改革する。

    ②労働基準監督署の再編整理に関する具体的な計画は、労働政策審議会の調査・審議事項とする。

    ③国は、地方自治体が行う労働相談への支援や労働関係調査の委託事業の充実など、集団的労使関係を扱う地方における労政行政の充実・強化をはかる。

    ④国は労働者の基本的な権利・義務の周知・啓発を行う労働者教育施策を行うとともに、都道府県が行う労働者教育施策について支援を行い、労働者の権利に関する理解を促進する。

  7. (7)事業譲渡、合併など、あらゆる事業再編において、労働組合などへの事前の情報提供・協議を義務づけるなど、労働者保護をはかるための法制化を行う。

    ①分割・統合やM&Aに際し、企業に労働者に対しての責任をもたせるため、会社法の中に「労働者」という概念を導入して労働者の要件を法的に明確にし、労働者が不利益にならないような措置を講じる。

    ②すべての事業組織の再編において、労働契約の承継や解雇の制限、その他雇用の安定に必要な措置を強化する。

    ③労働組合などへの事前の情報提供・協議を義務化する。

  8. (8)民法(債権法)改正に対応して、労働者保護の観点から労働関係法の整備をはかる。 労働基準法第115条の消滅時効の期間については、民法(債権法)と同様の5年とする。
  9. (9)労働債権の優先順位の引き上げなど、倒産法制の整備を継続する。

    ①労働債権の優先順位を引き上げるとともに、労働債権の一部について、別除権(抵当・質権等)に優先させる制度(労働債権の特別な先取特権)を新たに創設する。また、国税徴収法を改正し、労働債権を公租公課より優先する。

    ②債権譲渡特例法については、労働債権の特別な先取特権にもとづいて労働債権の一定の割合を限度とし、優先的に配当を受けることとする。

    ③未払賃金の立替払制度について、倒産前6 ヵ月以内での退職とされている認定要件の緩和や、限度額引き上げなどによる制度の強化をはかるとともに、ILO第173 号条約(労働債権の保護)の趣旨に沿った制度となるよう国内法を整備し、早期に批准する。

  10. (10)国家戦略特区における雇用・労働分野の規制緩和は行わない。
  11. (11)不適切な選出方法が採られている事例等が散見される「過半数代表者」について、適切な運用がはかられるよう制度を整備するとともに、役割と機能を検証し、関与する制度や権限を縮減させる方向で検討する。また、労働者代表制の法制化に向けて検討する。

    ①「過半数代表者」への立候補機会の付与や無記名投票による選挙の実施、労働者の意見集約・反映などを法定し、「過半数代表者」の規定を厳格化・適正化する。

    ②「過半数代表者」が使用者からの不利益取扱いを恐れることなく事業場の全従業員の代表として十全に活動できるよう、労働組合法に規定されている不当労働行為救済制度を準用するなどして、「過半数代表者」への不利益取扱いの救済制度を整備する。

  12. (12)雇用・就業形態の多様化や企業組織の変化を踏まえ、親会社および親会社経営者が子会社従業員の雇用・使用者責任を負うべきことを明確化するとともに、純粋持株会社、グループ企業、派遣先企業、投資ファンドなどにおける使用者概念を明確化する。また、グループ企業などにおける労使関係のあり方について検討を行う。
  13. (13)労働組合法における労働協約の拡張適用要件を緩和する。
  14. (14)金融商品取引法のインサイダー取引規制への過剰反応により、団体交渉などにおける労働組合などへの経営情報の提供が阻害されないよう、法の理解促進・周知徹底をはかる。
  15. (15)電気事業および石炭鉱業の事業に働く労働者の憲法第28 条が保障する労働基本権を不当に制約しているスト規制法を廃止し、当該労働者について労働基本権を回復する。

 

6.長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを実現する。

  1. (1)長時間労働の是正に向けて、労働時間短縮や年次有給休暇の完全取得など、労働者の健康・安全およびワーク・ライフ・バランスの確保に向けた施策を推進する。

    ①時間外労働の法定割増率を時間外50%、休日労働100%、深夜労働50%に引き上げる。特に、休日労働の割増率は35%から50%以上に早期に引き上げる。

    ②労働基準法第40条の特例措置(週44時間労働制)は早急に廃止する。

    ③フルタイム労働者のあるべき労働時間として「年間総実労働時間1,800時間」など、数値目標を示す。

    ④「ワーク・ライフ・バランス憲章」に盛り込まれた「消費者の一人として、サービスを提供する労働者の働き方に配慮する」との趣旨の周知をはかるなど、深夜化するライフスタイルや長時間労働を是正し、平日のゆとり時間の確保を重視した環境整備を行う。

    ⑤多くの労働時間規制の適用が除外されている管理監督者については、その定義を法律で明確に定める。なお、管理監督者性の判断基準に関する昭和63年の通達等にもとづく厳格な監督指導は直ちに徹底する。

    ⑥すべての労働者を対象に「休息時間(勤務間インターバル)規制(原則11時間)」を導入する。

    ⑦男女ともに限度時間「150時間」を目標として、限度時間「360時間」以内の徹底をはかる。

    ⑧時間外労働の上限規制の適用が猶予されている「自動車の運転の業務」「医師」および「工作物の建設等の業務」については、実態を踏まえ、上限規制の適用に向けた労働時間短縮の取り組みと、一般則の速やかな適用に向けた議論を行う。

    ⑨ワーク・ライフ・バランスおよび安全輸送の観点から、自動車運転者の長時間労働の改善および公正競争の確保のために、労働環境や賃金体系が適正なものとなるよう関連諸法の改正を行う。

    ⑩労働基準法第41条第1号の農業および畜産・水産業従事者に関する労働時間・休憩・休日規制等の適用除外は、労働実態の把握を行い、事業場単位で行われている適用のあり方などについて検討する。

    a)長時間労働による「精神的・肉体的疲労からの回復」と「交通事故の防止」をはかるため、「休息期間」と違反事業者に対する罰則を法律に規定する。また、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(告示)の最大拘束時間の見直しをはかるとともに、事業者に連続休息期間の確保を義務づける。

    b)過当競争や賃金体系における過度な歩合制が低賃金・長時間労働の原因であるため、安全輸送の観点から、いわゆる「オール歩合」「累進歩合」の禁止を法律に明記し、不適切な事業者を排除する制度を構築する。

    ⑪厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」については、改正労働安全衛生規則における労働時間の適正な把握方法と同様に、使用者に求める措置を労働基準法上の義務として法文化する。

    ⑫時間外労働・休日・深夜労働等の削減に向けて、「所定外労働削減要綱」、「賃金不払残業総合対策要綱」、「労働時間等設定改善指針」の周知徹底をはかる。

    ⑬公務における超過勤務の実態を把握するとともに、実効性ある超過勤務規制をはかる。

    ⑭教員にも労働基準法第37条を適用し、長時間労働の是正をはかる。

    ⑮「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の中間とりまとめを踏まえたうえで、地域において医療機関による労働時間短縮の取り組みを推進すべく、評価体制の整備と、医療勤務環境改善支援センターによる相談支援の強化をはかる。また、医師の労働時間の実態把握と、取り組みの改善を定期的に行うとともに、医療を受ける側の国民の理解を得ながら国が一体となり、医療現場で働くすべての労働者の長時間労働を是正する。

    ⑯ICTの進化・普及により生じている、退社後・休日の待機・呼び出しや行動範囲の限定という実態を調査するとともに、このような働き方/働かせ方に対する規制・ルールを検討する。

    ⑰高度プロフェッショナル制度は、施行後の状況を検証し、対象労働者の働き方や健康確保、対象業務の運用などに問題がみられる場合は、廃止も含めて制度の見直しを行う。

    ⑱裁量労働制の対象業務拡大は行わない。

    ⑲裁量労働制の導入手続きは、2003年の労働基準法改正前の手続きに戻すことを原則とし、(a)労使委員会の労働者側委員については、過半数労働組合がある場合を除いては、労働者からの信任手続きを必要とし、(b)労使委員会の決議要件は全員一致とする。

    ⑳裁量労働制の適用は、「本人同意」を要件とし、不同意の場合の不利益取り扱い禁止、適用後に本人が希望した場合には一定の予告期間後には通常の労働時間管理への復帰を保障することを明文化する。また、前年度の休暇取得率を踏まえた特別の休日労働規制など、健康・福祉確保措置の最低基準を法律に規定する。

    ㉑すべての労働者を対象に「連続勤務日数の規制」の導入を検討する。

    ㉒長時間労働につながる商慣行の見直しと取引の適正化をはかるため、事業主が取引上必要な配慮をする努力義務を定めた「労働時間等設定改善法」および「労働時間等設定改善指針」の周知徹底をはかる。

  2. (2)年次有給休暇取得促進に向けた施策を促進する。

    ①法定年次有給休暇の最高付与日数を25日に引き上げるとともに、最低付与日数20日に引き上げる。また、6ヶ月の継続勤務要件は廃止する。

    ②本人・家族の病気・看護休暇、配偶者出産休暇(5日間)などの新設をはかる。

    ③年次有給休暇の取得促進につながる具体的施策(取得促進に向けた計画などの提出義務の企業への賦課、取得率良好企業の認定制度の創設、ポジティブ・オフ運動の推進など)の展開や、ILO第132号条約を踏まえた長期連続休暇の取得、年間休日確保に向けた施策の整備とその推進をはかる。

    ④年次有給休暇の取得による不利益取扱いの禁止を労働基準法上明確化する。

    ⑤国民のゆとり確保の観点から、国民生活などに欠かせない分野を除き、正月三が日、特に「元日」については、特別な日として休業の制度化をはかる。

    ⑥5月1日を国民の祝日とし、4月29日の「昭和の日」から5月5日の「こどもの日」までを連休とする「太陽と緑の週」を制定する。

  3. (3)雇用型テレワークについて、使用者が労働関係法令を遵守し、制度が適正に導入・運用されるよう、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に示されている労働条件の明示、各種労働時間制度の厳格な適用、労働時間の把握・管理、安全衛生管理の徹底、通信費・情報通信機器等の費用負担、労働災害への対応などに関して、周知・徹底をはかる。また、テレワークにおける作業環境整備のため、助成金の支給対象の拡大など支援の拡充を行う。
  4. (4)「過労死ゼロ」の実現に向け、実効ある長時間労働是正策とともに、過労死等の事案の企業名公表など、労働者が安心して働けるよう、総合的な過労死等防止対策を講ずる。

    ①「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直しにおいて、労働時間やメンタルヘルスに関する新たな課題の把握と、対策の検討をすすめる。また、現行の数値目標の達成状況を評価するとともに、「過労死等ゼロ」にむけた取り組みを強力に進めるべく、PDCAサイクルの構築をはかる。

    ②教員など公務職場における過重労働の実態を早急に把握し、抜本的な過重労働対策を講ずる。

 

7.若年者、女性、高齢者の雇用対策を強化する。

  1. (1)すべての若者への良質な雇用・就労機会を実現する。

    ①良質な就労機会の実現に向け、若者雇用促進法の確実な実施、正規雇用化の促進、労働教育のカリキュラム化などを通じた若者雇用対策を講じる。

    a)地域の特性を活かした雇用創出と地域再生を促進する。若者の安定した雇用確保に向け、地域の関係者が連携し、人材育成機会と若者の就労を積極的に支援する。

    b)事業所内外での職業訓練の拡充を通じて非正規で働く若者の正規雇用化を促進する。学校などにおいて、ワークルールの知識など、働く際に必要な労働教育のカリキュラム化に向けた法制化などを推進する。

    c)学校とハローワーク等が連携し、若者の就職支援を強化する。また、若者雇用促進法を踏まえ、就職活動を行う若者が必要とする企業情報の開示を徹底するとともに、就活サイトなどの実態把握を行い、若者に適切な情報提供が行われるよう指導・監督を行う。インターンシップや内定先が行う研修・アルバイトについて、トラブル防止に向けたガイドラインの整備を行うとともに、労働者性がある場合には、労働法規が遵守されるよう行政指導を徹底する。

    d)若者が働き続けられる環境の整備に向けて、ワークルール遵守の徹底、ワーク・ライフ・バランスの実現など、労使の取り組みを促す施策を推進するとともに、若者の定着支援策を行う。

    ②若者雇用促進法について、青少年雇用情報の提供項目を増やす見直しを行う。

    ③少なくとも内定時には書面にて労働条件が明示されるよう、法整備を進める。

  2. (2)女性が就業を継続できる環境を整備する。(「男女平等政策」参照

    ①妊娠・出産や育児などを経ながら男女がともに就業継続できる環境の整備に向けて、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法等の周知・徹底とともに、企業における両立支援制度等の充実、働き方の見直しを含めたワーク・ライフ・バランスの取り組みの促進・支援など、施策の拡充をはかる。

    ②マザーズハローワークの拡充、求人開拓、能力開発の促進、保育・介護サービスの拡充など、妊娠・出産・育児、介護などにより退職した女性の再就職を支援する施策を行う。

    ③ひとり親家庭の経済的自立を支援するため、「母子家庭等就業・自立支援センター」を「ひとり親家庭等就業・自立支援センター」へと名称変更のうえ、支援事業の拡充、職業能力開発支援など、福祉行政と労働行政の連携を強化し、個々の世帯態様に応じた総合的な施策を行う。

  3. (3)意欲ある高齢者が生きがい・やりがいを持って働くことのできるよう高齢者の雇用対策を講じる。

    ①高年齢者雇用安定法に定める「高年齢者雇用確保措置」を確実に実施し、希望する者全員の65歳までの雇用を実現する。

    a)同一労働同一賃金に関する法律への対応を確実に実施し、通常の労働者と定年後継続雇用労働者をはじめとする60歳以降のパート・有期雇用で働く労働者との間の不合理な待遇差を確実に是正する。その上で、産業や業種・職種ごとに異なる労働環境等を勘案しながら、個別の労使協議を通じて、企業や職場において最適な働き方を検討するよう周知を図る。

    b)現行の高年齢雇用継続給付制度については、セーフティネットの観点から継続する。ただし、給付制度を前提に処遇を過度に引き下げる運用がなされないよう周知を図る。

    c)60歳定年企業において継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者や、経過措置に基づく対象者を限定する基準がある企業において継続雇用の対象外となった者に対し、就労を継続するために必要な支援を強化する。また、地域社会における雇用機会の創出や、地域の企業における求人の掘り起こしなどを通じ、社会横断的な高齢者の雇用確保に向けた施策も講じつつ、雇用のマッチング機能をさらに強化する。

    d)「高年齢者雇用確保措置」の対象外とされている有期労働契約を反復更新して60歳を迎える労働者についても、65歳までの就労が確実に確保されるよう、高年齢者雇用安定法を改正する。同時に、有期労働契約の労働者について、65歳までの安定した雇用確保をはかるため、当該労働者を65歳まで雇用する事業主に対する助成を拡充するなど、雇用と年金を確実に接続するための雇用支援措置を講じる。

    ②意欲ある高齢者が年齢に関わりなく、働くことのできる環境を整備する。

    a)高齢者が働きやすい環境の確保に向けて、2025年度には老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が65歳となることも視野に、高年齢雇用継続給付金のあり方を含めた高齢者の処遇のあり方、身体・健康状態を踏まえた適正配置や配慮義務の創設などの高齢者が働きやすい職場環境整備、法定定年年齢の65歳への引き上げなど、総合的な観点からの議論を加速する。

    b)70歳まで継続雇用年齢を引き上げる場合は、それに合わせて高年齢雇用継続給付の受給可能年齢を65歳から70歳に引き上げる。

    c)高齢期における多様な働き方のメニューが用意されるよう、助成金や税制優遇措置など、労使の取り組みに対する支援を行う。

    d)新しい機械・技術への対応も必要となることから、定年前の早い段階から長期の職業能力開発施策を充実する。

    ③高齢者の健康状態に柔軟に対応するため、職場におけるきめ細かな職場環境の改善や、安全と健康管理のための配慮事項の整理など、ハード・ソフト両面からの対応をはかる。

    a)高齢者のための職場環境整備に対する助成金を拡充する。

    b)労働災害防止の観点から、労働者の身体機能向上に向けた健康作りを推進する。

    c)安全と健康確保のための配慮事項の整理や、勤務条件や健康管理などの好事例を展開するとともに、導入を促進するための支援を強化する。

    ④シルバー人材センター事業において、職業紹介事業および労働者派遣事業に限り実施可能である「臨・短・軽」要件の緩和にあたっては、労働者を保護し、民業圧迫が発生しないよう対応をはかる。また、同事業における派遣・請負の区分については、ガイドラインなどを踏まえ、適正に運用する。

 

8.雇用の分野における性差別を禁止し、賃金格差の是正、男女の平等を実現する。

  1. (1)男女雇用機会均等法を以下のように見直す。

    ①法律の名称を「男女雇用平等法」(注1)とする。

    ②第1条(法の目的)に記された「男女の均等な機会及び待遇の確保」には、賃金の男女均等取り扱いが含まれることを明確にするとともに、各条文の性差別禁止条項は賃金格差是正のためにも運用されるべきであることを各条文の指針等に明記する。また、均等法の対象に性的指向・性自認による差別を加える。

    ③第2条(理念)に「男女労働者の仕事と生活の調和をはかる」ことを明記する。

    ④第6条(性別を理由とする差別の禁止)について、事業主が労働者の性別を理由として差別的取り扱いをしてはならない事項に「賃金の決定」を加える。

    ⑤事業主は、第6条に規定された事項の基準や運用のあり方を明らかにすることと、労働者から説明を求められた場合、事業主は説明しなければならないこと、また説明を求めたことを理由に不利益取り扱いをしてはならないことを指針に明記する。

    ⑥第7条(性別以外の事由を要件とする措置)について、間接差別法理を条文に明記し、指針における間接差別(注2)の禁止の基準を、限定列挙から例示列挙とする(現行3項目はあくまで間接差別の一例とし、一方の性に対して合理的な理由がなく不利益を生じさせることを幅広く禁じる)。また、どのようなことが間接差別に当たるかを「指針」で広く示す。

    ⑦第9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)において、婚姻を理由とする退職・解雇以外の差別禁止を明確化する。マタニティ・ハラスメントにおける被害者の就業継続を確保する。

    ⑧第10条(指針)にもとづく「募集および採用並びに配置、昇進および教育訓練について事業主が適切に対処するための指針」の法違反の判断を雇用管理区分(同じ区分の男女)ごとに行うことは、差別の温存や差別認定の範囲を狭めることなどになることから、この部分を削除する。

    ⑨第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)について、セクシュアル・ハラスメントを禁止するとともに、「性別役割分担意識に基づく言動」(ジェンダー・ハラスメント)や性的指向・性自認に関するハラスメントの防止措置義務を事業主に課す。さらに、指針で被害者の対象に職務の遂行に際して接触した取引先や顧客、利用者、患者、生徒などの第三者も含める。

    ⑩ハラスメントの回避や、療養が必要な労働者の休業と復職の権利の保障などについて、具体的なルールや手続を指針に明記する。また、被害者が第三者の場合も念頭に通報制度も含めた相談窓口の設置を行い、二次被害の防止対策を講じる。

    ⑪ドメスティック・バイオレンス(DV)などの性暴力(注3)が職場に与える影響を労働問題として認識し、被害者の継続就業のための支援として、加害者の接近や個人情報の開示を防ぐとともに、救済機関のアクセスなどに必要な休暇制度の整備などの配慮規定を設ける。

    ⑫ポジティブ・アクションに関する第14条(事業主に対する国の援助)に、事業主に以下の責務を課すことを追加する。

    a)募集・採用・配置・昇進・教育訓練・福利厚生・退職などの取り扱いにおける男女の割合(格差)や賃金格差に関するデータの集計・作成・保管・開示について、義務を課す。

    b)ポジティブ・アクションの計画策定、実施、実施状況の開示について、措置義務を課す。

    c)ポジティブ・アクションの計画策定・実施状況のモニタリング結果の計画への反映等については、過半数労働組合もしくは過半数代表者への情報提供・協議を義務づける。

    d)男女間格差の要因について労働者および労働組合から説明や協議を求められた場合、これに応じる義務を課す。

    ⑬「コース等で区分した雇用管理を行うに当たっての事業主が留意すべき事項に関する指針」を法的根拠のあるものとする。

    ⑭第18~27条(調停)を改正し、事業主に機会均等調停会議への出席を義務づける。

    ⑮第28条(調査)について、厚生労働大臣は、男女間賃金格差の改善に関して必要な事項、特に職務評価・職業能力評価などについて、調査、研究、資料を整備し、事業主への提供を行うように努めることを法律に明記する。

    ⑯第29条(報告の徴収ならびに助言、指導及び勧告)について、労働局長が勧告を行う場合であって必要と認められるときに、賃金格差をはじめとする現状の改善措置計画の作成を求めることができるようにする。措置計画は、労働組合もしくは過半数代表への説明・協議、または過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見聴取と意見書の添付を義務づける。また、措置計画は労働者に対する義務でもある旨も明確化し、第29条に「措置計画の作成・提出が求められた場合は、労働者や労働組合に周知しなければならない」旨、追加する。

    ⑰事業主は、均等法の趣旨と事業主が講じている措置について労働者に周知・啓発しなければならない旨を法律に明記する。

    ⑱差別救済制度を設け、以下のようにする。

    a)政府から独立した雇用平等委員会を設置し、都道府県単位で支部を設置する。

    b)救済の対象は、雇用の全ステージおよび賃金等の労働条件に関する性差別(性的指向・性自認に関する差別を含む)、仕事と育児・介護に関する両立支援、短時間労働者等の均等・均衡待遇等、その他の労働条件に関する法違反および差別的取り扱いや不利益取り扱いの他、ハラスメントがあるときとする。

    c)救済申し立てを理由とする不利益取り扱いを禁止する。

    d)差別・格差の合理的根拠を示す証拠およびその裏づけ資料の提出義務は事業主にあるものとする。

    e)資料の提出がない場合、あるいは資料の提出があっても合理的根拠が認められない場合には、差別を認定して是正を勧告できるようにする。また、委員会は差別の認定に関して調査する権限を持つものとする。

    f)事業主がこの勧告にしたがわない場合は刑罰を科す。

    ⑲差別救済において政府から独立した雇用平等委員会が設置されるまでの間、第30条(公表)にもとづき厚生労働大臣(都道府県労働局長)の勧告にしたがわない企業名を公表するなどの制裁措置を行う。

    ⑳政府から独立した救済機関が設置されるまでの間、男女雇用機会均等法の実効性を強化するため、都道府県労働局・雇用環境・均等部(室)の人員を増員し、増加傾向にある相談や救済依頼に対し、迅速に対応できる体制を整える。その際、男女平等の観点に関して職員への十分な研修を行うものとする。

  2. (2)労働施策総合推進法等の関係法令を以下のように改正する。

    ①ハラスメント行為そのものを禁止する。

    ②パワーハラスメントの行為類型に「セクシュアル・ハラスメント」や「その他のいじめ・嫌がらせに該当する行為」を含め、あらゆるハラスメントを包括的に規制できるように指針で例示する。また、「個の侵害」(注4)には、性的指向・性自認に関するハラスメントも対象であることを指針で明確化する。

    ③パワーハラスメントに関する事業主が雇用管理上講ずべき措置の行為者・被害者の対象に職務の遂行に際して接触した取引先や顧客、利用者、患者、生徒などの第三者も含める。

    ④ハラスメントの回避や、療養が必要な労働者の休業と復職の権利の保障などについて、具体的なルールや手続を指針に明記する。また、被害者が第三者の場合も念頭に通報制度も含めた相談窓口の設置を行い、二次被害の防止対策を講じる。

    ⑤ハラスメントに関する事後的な救済措置として、新たに行政から独立したハラスメントに関する専門の救済機関を設置する。

    ⑥事業主が雇用管理上講ずべき措置も含めたハラスメント対策について、(安全)衛生委員会の活用を含め、労働者が参加した場で協議を行うものとする。

    ⑦ハラスメントが起こりやすい業種・業態・職務等の実態を把握し、効果的な追加措置を講じる。

  3. (3)労働基準法を以下のように改正する。

    ①第3条(均等待遇)に規定されている、差別的取り扱いをしてはならない理由に「性別」を加える。

    ②第4条(男女同一賃金の原則)について、ILO第100号条約の趣旨にもとづき同一または同一価値の労働に就く男女に同一の報酬を支払うことを義務づける旨を明記する。

    ③第64条の3(危険有害業務の就業制限)にもとづく女性労働規則第2条第2項に関して、同規則第2条1項第13号の「土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが5m以上の地穴における業務」および第14号「高さが5m以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」についても、産後1年を経過しない女性から申し出があれば就業できないこととする。

  4. (4)女性活躍推進法を以下のように見直す。

    ①法の目的に、人権と性差別禁止にもとづいた雇用平等の実現と、非正規雇用も含めたすべての女性を対象とする格差是正と貧困の解消、および長時間労働削減による仕事と生活の調和の推進および法が女性差別撤廃条約の理念にもとづくことを明記する。

    ②企業内の女性活躍に関するデータの現状把握、分析およびこれらの情報開示については、すべての事業主の義務とする。

    ③状況把握、分析、情報開示は、パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者、臨時・非常勤職員等を含むすべての労働者を対象とする。

    ④すべての事業主に対し、雇用の全ステージにおける男女別の比率、男女別の配置状況、教育訓練(OJT、OFF-JT)の男女別の受講状況、両立支援制度の導入や男女別の利用状況、男女の賃金の差異、男女別の1つ上位の職階へ昇進した者の割合、男女の人事評価の結果における差異、非正規から正規への転換制度の有無と転換実績の男女別データ、各項目に関する現状把握、分析、情報開示を義務とする。

    ⑤行動計画策定指針には、あらゆる形態のハラスメントの禁止の取り組みについて盛り込む。

    ⑥各事業主の目標設定および行動計画策定、実行、改善見直し、達成のすべてのプロセスにおいては、具体的な取り組みが継続的に行われるよう労使の協議にもとづく検証が確実に行われる体制の整備を義務づける。

    ⑦時限立法となっている女性活躍推進法の一般事業主行動計画部分については、男女雇用機会均等法の第14条(ポジティブ・アクションに関する条文)に位置づけ、統合する。

    ⑧女性活躍推進法にもとづく認定に際しては、基準の適合確認の徹底と厳格化をはかり、認定後において基準に適合しなくなった場合は速やかに認定の取り消しを行う。

    ⑨女性が働く上での設備等の環境整備が進むよう両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)を周知し、活用を促進するとともに、職場の実態を踏まえて継続的に充実をはかる。

  5. (5)すべての労働者の均等・均衡待遇の実現と労働条件の向上に向けて、以下のようにパート・有期法の改正を行う。

    ①第7条(就業規則の作成の手続)について、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者用の就業規則を作成・変更する場合は、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者のそれぞれ過半数を代表する者から意見を聴取することを事業主に義務づける。

    ②第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)については、要件でパート・有期雇用労働者の待遇を分ける規定を削除し、第8条(不合理な待遇の禁止)と統合する。将来的には、すべてのパート・有期雇用労働者を対象に、合理的理由がある場合を除き、待遇についてパート・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取り扱いを禁止する。

    ③第10条(賃金)について、合理的な理由がない待遇の格差を禁止した上で、合理的な理由が認められた場合でも、均衡待遇の具体的な改善策を講じるよう事業主に措置義務を課す。

    ④第11条(教育訓練)について、通常の労働者と職務の内容が同一であるパート・有期雇用労働者には、職務遂行に必要となるもの以外の教育訓練も、通常の労働者に準じて実施することを義務づける。

    ⑤第13条(通常の労働者への転換)について、「短時間正社員制度」の活用を含めて正規労働者への転換の間口を広げ、キャリアラダーを整備し、希望する者の正規労働者化を促すことについて、事業主に義務を課す。また、差別的取り扱いの禁止の対象となる通常の労働者と同視すべきパート・有期雇用労働者が希望する場合は、優先的に雇用する。

    ⑥第14条(事業主が講ずる措置の内容等の説明)について、通常の労働者との待遇の違いの程度とそれが生じた理由を含めて説明する手段は、文書によることとする。

    ⑦事業所ごとに「雇用管理改善計画」の策定を課し、一定基準を満たせば厚生労働大臣の認定を与え、表示できるようにする。認定事業所には、法人税の税額控除など税制上の一定のインセンティブを与える。

    ⑧パート・有期法および省令、指針などを周知徹底するとともに、監督・指導体制を強化し、法の実効性を確保する。

    ⑨第18条(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告等)について、労働局長が勧告を行う場合であって、必要と認められるときには改善措置計画の作成を求めることができるようにする。当該計画については、過半数労働組合もしくは過半数代表者への説明・協議、または過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見聴取と意見書の添付を義務づける。

    ⑩パート・有期法の努力義務規定にも紛争解決援助制度の対象を拡大する。また、労働契約法第18条の無期転換権を行使した労働者やパートとして採用されながらフルタイムで働いている無期雇用労働者に対する不合理な差別は、パート・有期法の脱法的行為として、同法に関する紛争解決手続を利用できるようにする。

    ⑪差別救済制度を設け、以下のようにする。

    a)政府から独立した雇用平等委員会を設置し、都道府県単位で支部を設置する。

    b)救済の対象は、雇用の全ステージおよび賃金等の労働条件に関する性差別(性的指向・性自認に関する差別を含む)、仕事と育児・介護に関する両立支援、パート・有期雇用労働者等の均等・均衡待遇等、その他の労働条件に関する法違反および差別的取り扱いや不利益取り扱いの他、ハラスメントがあるときとする。

    c)救済申し立てを理由とする不利益取り扱いを禁止する。

    d)差別・格差の合理的根拠を示す証拠およびその裏づけ資料の提出義務は事業主にあるものとする。

    e)資料の提出がない場合、あるいは資料の提出があっても合理的根拠が認められない場合には、差別を認定して是正を勧告できるようにする。また、委員会は差別の認定に関して調査する権限を持つものとする。

    f)事業主がこの勧告にしたがわない場合は刑罰を科す。

    ⑫第28条(雇用管理の改善等の研究等)に、厚生労働大臣は、教育訓練の実施やパート・有期雇用労働者に関する評価制度(職務評価・職業能力評価)について資料の整備を行い、必要な事業主に対して提供することを促進していくことを明記する。

  6. (6)性的指向・性自認に関する差別を禁止する法律を以下のように制定する。

    ①法の目的に、あらゆる人の性的指向・性自認に関する差別を禁止する旨を明記し、憶測による差別等にも対応できる法制とする。

    ②性的指向・性自認に関する差別に関して、雇用の全ステージや学校をはじめとするあらゆる分野における差別的取り扱いを禁止する。その際、憶測による差別や、家族が性的指向や性自認に関して困難を抱える者であることに対する差別についても禁止する。

    ③雇用の分野をはじめとするあらゆる分野において、性的指向・性自認に関するハラスメントの防止を措置義務とする。措置内容として、国は事業主等が防止に取り組む際の指針を作成し、プライバシー保護を徹底する等、性的指向や性自認の課題の特徴を踏まえた措置を講ずる。

    ④性的指向・性自認に関する合理的配慮を各事業主に義務づけるとともに、職場の円滑な対応を可能とするため、対応要領や指針を作成する。対応要領や指針には、労働者の施設利用や服装に関する扱い、性別欄の見直し、プライバシー保護や教育訓練等をはじめ、詳細な事例とともに記載する。

    ⑤対応要領や指針を作成する際には、労働者代表や性的指向・性自認で困難を抱える当事者等を構成員とする審議会を内閣府に設置し、意見反映の場とする。雇用の分野については労働者代表の意見を労働政策審議会において反映する。

    ⑥学校におけるいじめやハラスメント等の対応については、性的指向・性自認にかかわらず広く相談支援に応じることのできる体制整備を進めるとともに、外部の専門機関や地方自治体の相談窓口との連携を強め、子どもからの相談に応じることができるようにする。

    ⑦プライバシー保護や孤立等を防止する観点から、各都道府県に相談センター等の設置を義務づける。その際、相談者のプライバシーを相談センターが厳守するよう、相談対応のガイドライン作成や、秘密厳守の義務、および秘密漏洩に対する罰則を課す。

    ⑧行政は広範な性的指向・性自認に関する差別等の実態や、国内外の差別禁止や権利保障の取り組みに関する情報収集を進める。特に、合理的配慮の事例について積極的な収集を行う。

  7. (7)労働条件の時間比例を原則とする「短時間公務員制度」などの導入を行い、公務における臨時職員・非常勤職員の雇用安定と処遇改善をはかる。
  8. (8)男女間および雇用・就業形態間の賃金格差是正の実現へ向け、日本が批准しているILO第100号条約「同一価値労働・同一報酬」の実効性を確保のため、職務評価手法の周知・普及とさらなる研究開発を進める。
  9. (9)男女の職務分離の改善を進め、男性の多い職務への女性の進出、女性の多い職務への男性の進出を積極的に推進するために学校教育、職業能力開発、職業紹介、男女均等取り扱いなどの関連する行政の連携を進める。
  10. (10)ILO第183号母性保護条約を早期に批准するため、労働基準法第67条(育児時間)による育児時間中の賃金は100%保障することとし、産休終了時に原職または当該休業の直前と同一の額が支払われる同等の職に復帰する権利を保障する。
  11. (11)出産手当金については、賃金との併給の場合の限度額を雇用保険法の育児休業給付の限度である80%(標準報酬日額の80/100)まで引き上げる。
  12. (12)母体保護のため強制休業となっている産後休業期間については100%所得保障をする。
  13. (13)国内法を整備し、ILO第111号条約(雇用および職業についての差別待遇の禁止)、ILO第105号条約(強制労働の禁止)、ILO第171号条約(夜業禁止)、ILO第175号条約(平等なパートタイム労働)、ILO第183号条約(母性保護)、ILO第189号条約(家事労働者)の早期批准を行う。
  1. (注1)労働組合は、男女雇用機会均等法制定前から募集・採用など雇用のステージごとの機会の均等だけでなく、賃金差別や仕事と生活の調和などの課題も含んだ男女間の不平等を総合的に是正する雇用平等法の制定を求めた方針を掲げ続けている。
  2. (注2)間接差別 ~雇用分野における性別に関する間接差別とは、①性別以外の事由とする措置であって、②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるもので、③合理的な理由がないときに講ずることである。具体的には、男女雇用機会均等法の指針において、以下の3点が間接差別として規定されている。

    a)労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重又は体力を要件とすること

    b)コース別雇用管理における「総合職」の労働者の募集又は採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること

    c)労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること。

  3. (注3)性暴力~社会的に形成される男女の差異(ジェンダー)にもとづくあらゆる暴力行為のことである。
  4. (注4)2011年度の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」では、職場のパワーハラスメントについて6つの行為類型が示された。

    ⅰ 暴行・傷害(身体的な攻撃)

    ⅱ 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)

    ⅲ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)

    ⅳ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

    ⅴ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)

    ⅵ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 

9.障がいの有無、種類および程度にかかわらず、障がい者が差別されることなく働ける社会の実現に向け、雇用対策を講じる。

  1. (1)雇用、福祉、教育の各行政機関が国および地域レベルで連携し、ハローワークを核とした地域のネットワーク、企業に対するサポートなどを重視した就労支援策を行うなどして、障がい者の雇用の促進と安定をはかる。
  2. (2)行政指導を強化するなどし、障がい者差別禁止・合理的配慮の提供義務の実効性を高め、障がい者の就労拡充・職域拡大をはかる。
  3. (3)就労継続支援A型の利用者は雇用労働者であり、労働関係法令が適用されることから、適正な運用がなされるよう指導・監督を強化する。また、障がい福祉サービスから一般就労への移行を進めるにあたり、ハローワーク就職件数に占める就労継続支援A型事業所の利用者数などの状況を的確に把握・分析した上で施策を講じる。
  4. (4)常用雇用移行率が高い障がい者トライアル雇用制度については、より活用がなされるよう検討・運用する。
  5. (5)障がい者の実雇用率向上に向けた就労支援策を強化し、障がい者の雇用促進と職場定着をはかる。なお、特定の業種について雇用義務の軽減をはかる除外率制度については早期に廃止する。
  6. (6)新しく雇用義務制度の対象に追加された精神障がい者(発達障がい者を含む)の雇用が着実に前進するよう、ハローワーク、医療機関、障害者・生活支援センターなど関係機関が連携しチーム支援を行うなど、就労支援と職場定着に向けた環境整備をはかる。なお、「精神障害者保健福祉手帳」については、取得の強要につながらないよう留意する。
  7. (7)中途障がい者や在職中に難病を発症した労働者の雇用継続に向けた施策を早急に検討する。また、病状や治療のために就業上相当の制限を受ける者を障害者雇用促進法に根拠づけた上で、合理的配慮の対象とするなど、就業上必要な措置がとられるよう法整備を検討する。
  8. (8)特例子会社については、当面、積極的差別是正措置として位置づけてその活用を進める。ただし、特例子会社や企業グループ全体の障がい者雇用率の適用にあたっては、ノーマライゼーションを盛り込んだ企業綱領の策定など、障がい者を特例子会社や企業グループ内の特定の会社に囲い込むことにならないよう指導を徹底する。
  9. (9)複数の中小企業が事業協同組合などを活用した障がい者雇用率制度を適用する際は、雇用主として責任を確保するよう指導を徹底する。
  10. (10)すべてのハローワークにおいて、手話通訳者、要約筆記者、視覚障がい者に対する支援者を2名以上配置するなど、障がい者の就労支援体制を拡充する。
  11. (11)障がい者の就職支援や雇用後の職場適応支援などを行うジョブコーチについては、301人以上の企業に1名以上配置することとし、そのための支援策を強化する。また、精神障がい者の就労拡大を踏まえ、ジョブコーチの養成をはかるとともに、ジョブコーチの実稼働を高める方策の検討やジョブコーチの労働環境整備を早急に行う。
  12. (12)「障害者就業・生活支援センター」を全「障害保健福祉圏域」に設置するとともに、職員やジョブコーチなど10人程度配置する。また、障がい者の生活支援だけでなく、就労支援を担うことができる人材の育成・確保・定着に向けた財政支援を行う。
  13. (13)「障害者雇用対策基本方針」の定める内容を着実に実行する。
  14. (14)「障害者雇用納付金制度」を財源として支給される障害者雇用調整金、報奨金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金および各種助成金については、財源を含めた制度の見直しを行う。
  15. (15)ユニバーサル・デザイン等の観点から、事業場の施設や機材をチェックし、障がいがあっても働きやすい職場環境の整備を推進する。
  16. (16)雇用障がい者数の不適切な取扱いが行われていた国・地方自治体の部局において、障がい者雇用への理解を促進するとともに、差別禁止・合理的配慮の提供が実施されるよう、予算の確保や法改正を含めた必要な制度見直し、再発防止をはかる。
  17. (17)障がいに関する雇用・福祉施策の連携の強化などを含め、働きづらさを抱える者が、その程度に応じて必要な支援を受けて働くことのできる場の維持・創出と、安心して就労し続けることのできる環境の整備に向け、必要な制度の見直しを行う。
  18. (18)中小企業における障がい者雇用の推進のための支援、特に障がい者の受入実績がない「雇用ゼロ企業」に対する雇用前後の支援を強化する。
  19. (19)障がいのある労働者の労働災害を防止するため、企業に対し支援を強化する。
  20. (20)希望する障がい者が、障がい特性に応じて主体的にキャリア形成できるよう支援を強化する。

 

10.すべての働く者に対する職業能力開発施策と日本の成長と競争力を支える人材の育成を強化する。

  1. (1)安定した質の高い雇用へ向けた職業訓練を実施する。

    ①雇用形態や企業規模、在職・離職の違いにかかわらず、すべての働く者が自己の職業能力を最大限に開発・発揮し、安定した質の高い雇用に就くことができるよう、適切な職業能力開発機会を提供する。

    ②職業能力開発機会のより一層の提供に向けて、労働者や学生に対する職業能力開発施策に関する情報提供や啓発、事業主に対する助成制度の情報発信と周知徹底を行う。

    ③独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が担っているセーフティネットとしての職業訓練やものづくり分野の訓練実施などについて、国の職業訓練機能を堅持した上で強化をはかる。その際、国・地方自治体・民間教育訓練機関・企業などの役割分担を明確化する。

    ④企業の事業転換や技術・技能の陳腐化により業種転換・職種転換・離職などを余儀なくされる労働者について、キャリア・コンサルティングの活用などにより、職業訓練・再就職に向けた支援を強化する。とりわけ、AIやロボットなどの新たな技術革新への対応や、政策的な人材移動を目的とした職業能力開発については、企業・個人への支援に必要な原資を一般財源で確保する。

    ⑤障がい者、ひとり親家庭の親(母子家庭の母・父子家庭の父)、生活保護受給者などについて、居住地近隣での職業訓練機会を拡充するとともに、地方自治体・地域の教育訓練機関・公共職業安定所(ハローワーク)などが一体となり、就労に向けたきめ細かな支援を行う。

    ⑥公共職業訓練施設について、訓練指導員の増員や土日・夜間・随時開講や託児施設の設置など、離職者・在職者が必要な職業訓練を十分に受講できる、受講しやすくなる環境整備を行う。また、オンライン開講に関し、受講者の通信環境や実技訓練などに配慮した支援を行う。

    ⑦在職者の自己啓発・職業能力開発を促進するため、労働時間短縮などの配慮や有給の教育訓練休暇を与える事業主への支援を行うとともに、個人が負担した自己啓発費用について一定額までの税額控除を認める「自己啓発税額控除制度」を創設する。

    ⑧国・地方自治体・地域の教育機関(高等専門学校・短期大学・大学・大学院など)が連携し、「リカレント教育システム」(学校教育を終えて社会に出た以降も、個人の必要に応じて教育機関に戻り、繰り返し再教育を受けられる循環型・反復型の教育システム)を構築し、受講促進にあたっては必要な財源を一般財源から確保する。

    ⑨正規雇用の経験が少ない者を安定した雇用に結びつける雇用型訓練について、企業側にとって活用しやすくなるような誘導策も含めて制度を整備する。

    ⑩技能者育成資金融資制度について、融資金額の増額、融資時期の前倒し、手続の簡素化、利率を独立行政法人日本学生支援機構の奨学金と同水準とすることなど、改正を行う。

  2. (2)雇用保険を財源とする求職者支援訓練と専門実践教育訓練について、積極的な利用促進をはかる。

    ①職業能力開発行政と職業安定行政の連携を強化し、公共職業安定所(ハローワーク)を拠点に全国的かつ公平・安定に一定の水準で提供できる体制を確立する。

    ②求職者支援訓練と専門実践教育訓練について、すべての対象者が受講でき、安定した質の高い雇用へつながるよう講座を開設する。特に専門実践教育訓練については、講座開設の地域偏在の早期解消にむけ、新規講座の開拓を進める。また、幅広い労働者層を対象とした、AI・ICT、バイオ、化学など今後さらなる活用が期待される技術に関する講座を指定・開設し、新技術を既存の業務に活用できる人材の育成を進める。

    ③求職者支援訓練について、ニーズに即した訓練コース整備や訓練機関の質の向上、就職支援の一体的実施など、実効性ある制度の運用に努める。また、人手不足分野における早期人材育成のために短期間の訓練コースを指定するなど、必要に応じて柔軟な運用を行う。

    ④求職者支援訓練を受講する雇用保険受給者で、基本手当受給額が求職者支援法の職業訓練受講給付金(月10万円)に満たない者への差額補填を行う。

    ⑤職業訓練受講給付金の不支給要件の一つである「直前に給付金の支給を受けた訓練の最初の支給単位期間の初日から6年を経過しない場合」について、訓練終了後に一旦就職したものの、非自発的理由により離職を余儀なくされた場合には6年のインターバル期間を短縮する。

  3. (3)労働者の技術・技能における企業横断的な「ものさし」となる職業能力評価制度を構築する。

    ①業種・職種・職務ごとに必要な技術・技能に関する企業横断的な職業能力評価制度を整備する。特に、制度の整備が遅れているサービス分野においては、早急に制度の整備・充実をはかる。

    ②国・業界団体・産業別労働組合は、連携して企業横断的な職業能力評価制度の積極的な普及をはかる。

  4. (4)労働者が職業人生を通じて主体的にキャリア形成できるよう、支援体制を整備する。

    ①離職者・求職者・在職者など、対象ごとのキャリア・コンサルティングの標準モデルを確立させ、有効なキャリア形成支援を実施する。

    ②労働者のキャリア形成を支援するキャリア・コンサルタントの質や専門性を確保する。

    ③ジョブ・カードについて、生涯を通じた訓練受講と技術・技能の証明書としての機能を果たすことができるよう、その活用を推進する。

  5. (5)「第11次職業能力開発基本計画(2021年度~2025年度)」を策定し、状況に対応した必要な追加施策を検討する。

    ①事業主が労働者に対し能力開発の責任を有することを前提に、労働者の主体的・自立的な能力開発を支援する。

    ②日本の成長と競争力を支える人材を育成するとの視点にもとづき、政府(府省庁横断)・都道府県・教育機関・職業訓練機関などが連携し、バランスのとれた職業能力開発を実施する。また、その際、国と企業の果たすべき役割を踏まえ、産・学・官の持つ資源を最大限に活用する。

    ③公共職業訓練について、再就職や在職者の職業能力向上に結びつきやすいものとなるよう、産業構造の変化、技術革新、企業ニーズ、受講状況などを踏まえて訓練内容を見直し、高度化をはかる。

  6. (6)国・地方自治体・教育訓練機関・企業・労働組合・学校などの役割分担と相互連携を十分に行い、産業政策・雇用政策・教育政策と連携した職業能力開発施策を推進する。

    ①職業能力開発は雇用のセーフティネットであることを認識し、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)との連携強化をはかり、職業能力開発行政に精通した職員を公共職業安定所(ハローワーク)に増員配置するなど、職業能力開発体制の充実・強化する。

    ②人材育成について、政府(府省庁横断)・労使・教育機関・職業訓練機関などが連携し、中・長期的視点から国としての人材育成戦略・施策を構築する。

    ③地域が主体となり、国・地域の労使・教育機関などの関係者が連携し、地域の特性を活かした中期的な産業政策、人材育成施策を構築する。

    ④公共職業能力開発施設(国・都道府県設置)は、地域の「技術・技能センター」として位置づけ、国・地方自治体・企業が連携して、新卒者・離職者・転職者・在職者などに対し、ものづくりなどを重視した職業訓練を強化する。

    ⑤技術・技能の継承や人材の確保・育成などについて課題を抱えるものづくり産業の中小企業に対し、関係省庁の連携を強化し、人材投資促進税制の復活や高度熟練技能者の活用、人材の確保・育成に関する支援措置を拡充する。

    ⑥技能検定で複数の上位級を有する技能士について、その社会的地位を向上させるため、職業能力開発促進法上の資格として「複合技能士」(仮称)を創設する。

    ⑦雇用型訓練の一つである「実践型人材養成システム」について、本来の目的である企業における次世代を担う人材のさらなる育成をはかる。

 

11.労働災害の予防と再発防止対策を強化し、労災補償を拡充する。

  1. (1)2018年に成立した改正労働安全衛生法について、職場の実情を踏まえて着実に実施する。

    ①改正労働安全衛生法により義務化された「管理監督者を含めすべての労働者の労働時間の適正な把握」や「産業医への情報提供」などが確実に実施されるよう周知・指導を行う。また、事業場において、産業医等が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応できるよう事業場における必要な体制整備の支援を行う。

    ②ストレスチェックについて、労働者数50人未満の事業場も含むすべての事業場で実施されるよう、事業者や労働者などへの周知・指導を行い、必要な支援策を実施する。

    a)労働者のプライバシー保護と不利益取り扱い防止に向け、指導・監督を強化する。ストレスチェック結果を踏まえた職場改善を推進するため、職場ごとの課題を明らかにする集団分析の実施と安全衛生委員会への報告を義務化する。

    b)中小企業において、高ストレス者とされた労働者に対する面接指導が適切に実施されるよう指導を強化する。

    c)派遣労働者に対してもストレスチェックが確実に実施されるよう派遣元・派遣先に周知・指導を徹底する。

    ③化学物質管理について、事業者がリスクアセスメントを確実に実施し、事業者がリスクアセスメントの結果にもとづき必要な措置を講じるよう、事業者などへの周知・指導を徹底する。また、体制整備が不十分な中小企業に対しては必要な支援策を実施する。

    ④化学物質のリスクアセスメントの実施に必要な危険性・有害性情報は、関係省庁で連携し、クラウド等によりデジタル情報として共有・活用できるプラットフォームを構築する。

    ⑤化学物質の危険性・有害性や健康影響については、科学的事実に基づき適正に判断するとともに、すでに危険性・有害性の検証を行った物質についても、必要に応じて再検証を行う。また、有害とされた化学物質を取り扱う事業場においては、保護具など準耐久財を含む設備投資を強化する。なお、粉じん等の形状による健康有害性については、物質固有のリスクと混乱が生じないように対応する。

    ⑥保護具の効果や限界、使用法を広く周知・広報するとともに、労働者に対する保護具のフィットテストが実施されるよう支援を強化する。

    ⑦重大な労働災害を繰り返す企業に対し、改善計画作成等の指示、勧告、企業名の公表などの対応を行う特別安全衛生改善計画制度について、同一企業での重大な労働災害再発を防止するための抑止力の1つとして積極的に運用する。また、対象を労働安全衛生関係法令以外の法令違反により発生した労働災害にまで拡大する。

    ⑧労働安全衛生法に違反した事業者に対する罰則を強化する。

    ⑨事業者と産業保健スタッフによる労働者の健康管理が適正に行われる環境整備を強化する。

  2. (2)労働災害を予防する施策の充実・強化をはかる。

    ①職場における化学物質管理について、危険有害性情報の伝達を義務化し、EUの「CLP規則(化学品の分類、表示、包装に関する規則)」並の規制とする。

    ②職場におけるメンタルヘルス対策を以下のとおり推進する。

    a)メンタル不調の早期発見に加え、治療・職場復帰に至るまでの一連の対策を全体的に促進する措置の実施を検討する。

    b)メンタルヘルス教育の実施、産業医や地域の医療機関などとの連携を通じた適切な医療体制の確保、ハラスメント対策、職場復帰プログラムなどを行う事業場に対し、公的支援を行う。

    ③職場における受動喫煙防止について、労働者の健康障害防止の観点から、職場の全面禁煙または空間分煙を事業者の措置義務とするよう、労働安全衛生法を改正する。

    ④現行の「機械の包括的な安全基準に関する指針」を「規則」に格上げする。また、機械譲渡時における機械の危険情報の提供について、リスクアセスメントの取り組みを促進すべく義務化する。

    ⑤事業者の義務である時間外労働が月80時間以上の労働者に対する「医師の面接指導とその結果に伴う事後措置」について、時間外労働が月45時間以上の労働者に拡大するとともに、面談後の事後措置の実施を徹底する。また、制度を円滑に運営するため、産業医の育成を一層促進する。

    ⑥夏季中心に熱中症の発生が相次ぐことから、事業者が職場における熱中症予防対策を適切に講じられるよう周知啓発するとともに必要に応じた指導を行う。

    ⑦快適な職場づくりや、2018年に発効したJISQ45100等の労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入などにより、労働災害が減少した事業場に対し、特例メリット制におけるメリット率の上限を引き上げるなど、さらなる誘導措置を導入する。

    ⑧研修会や個別コンサルティングの実施など、特に中小企業に対しては、労働者への安全衛生教育の充実に向けた支援を重点的に行う。また、リスクアセスメントやOSHMSの導入支援、安全衛生サービス専門機関や専門家などの無料紹介などを行う。

    ⑨作業管理や保健指導、快適職場指針について、事業者責任を強化する。特に、初期対応と継続対応を重視する。

    ⑩労働基準監督官による労働災害発生時監督・災害調査や指導を強化する。また、都道府県労働局の安全衛生労使専門家会議について、専門委員の増員、安全衛生パトロールの実施、集団指導への参画などによる機能の強化、予算の増額、専門委員の権限の拡充などのほか、都道府県の労働政策に関する審議会の下に設置して活動内容を審議会に報告すること、労働基準監督署ごとに同様の機能を持たせることなど、労災防止に資するものとするよう、機能と権限を強化する。

    ⑪産業の特性や雇用・就業形態の多様性、第三次産業における労働災害の増加傾向などを踏まえた労働災害の実態調査・分析と対策を推進する。また、外国人技能実習生の労働災害の実態についても調査・分析対象とする。

    ⑫派遣労働者に対する派遣元・派遣先による効果的で厳格な安全衛生教育の実施、派遣元と派遣先の合同による安全衛生委員会の設置の推進、派遣労働者、有期・パート労働者などを含めた事業主の安全配慮義務の履行を確保する法整備を行う。加えて、派遣先責任の強化として、派遣先で派遣労働者の一般定期健康診断を代行実施する制度を法制化する。

    ⑬派遣・請負労働者の安全衛生体制を強化するため、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」を義務化するとともに、製造業以外の業種においても適切に適用する。

    ⑭安全委員会・衛生委員会の設置義務をすべての事業場に拡大する。衛生委員会の設置基準について、当面は現行の50人以上から30人以上に変更する。また、事業場内の協力会社(下請会社、派遣元など)の安全衛生担当者を含めた「合同安全衛生委員会」の創設義務化を検討する。

    ⑮2018年4月にスタートした「第13次労働災害防止計画」(2018~2022年度)を着実に実行するため、計画実行に必要な予算・人員を確保し、重大災害の減少とリスク低減対策を一層推進する。また、働き方改革を受け、長時間・過重労働対策や高齢労働者の安全確保対策をより強化する。

    ⑯ILO第155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)、同第170号条約(職場における化学物質の使用の安全に関する条約)、同第174号条約(大規模産業災害の防止に関する条約)を早期に批准し、日本の労働安全衛生水準の向上に向け、関連する国内法を整備する。

    ⑰ILO第200条勧告(HIV及びエイズ並びに労働の世界に関する勧告)にもとづき、雇用・職業上の差別禁止に向けた政策を推進する。

    ⑱自殺対策基本法に則り、職域における自殺の防止計画の策定、遺族や職場の同僚に対する支援策を強化する。

    ⑲地方自治体と、地域の精神科医療機関、自殺予防に取り組むNGO/NPOの連携を強化し、地域ぐるみの自殺対策を有効に機能させる体制を整備する。

    ⑳高齢者の労働安全対策に取り組む事業場の割合を増加させる。事業場において高齢者の災害発生リスクを検証し、安全衛生対策を推進する計画に高齢者の対策を盛り込む。また、高齢者の安全や健康を確保するための課題などに対する相談体制を整備・充実させる。

  3. (3)労災補償を拡充する。

    ①労災補償の認定について、労使も参画した「認定基準等審査会議(仮称)」を設置し、労災適用対象疾病の拡大や認定基準の見直しを行う。特に、長時間労働による労災認定の目安となる労働時間について、精神疾患の場合が脳・心臓疾患の場合より長くなっている認定基準の見直しを行う。

    ②労災補償の認定申請における申請者から使用者への立証責任の転換を含め、使用者の役割責任を強化する。

    ③労災隠しの摘発を強化する。

    ④労働保険審査制度について、審査手続きを迅速かつ確実に行う。

    ⑤労災保険制度について、政府管掌保険体制を維持する。

    ⑥労災保険特別加入制度について、対象職種の範囲拡大など、必要な見直しを行う。また、雇用類似の働き方をする者の労災保険の加入のあり方についても検討を行う。

  4. (4)アスベストばく露予防対策の強化と補償の充実をはかる。

    ①2012年3月に改定されたアスベスト関連疾患の労災認定基準の適用を徹底する。

    ②石綿障害予防規則の実効性を高めるため、監督・実地調査を強化する。また、労働者・管理者に対する事前調査や分析に関する研修などにより、ばく露予防対策の実効性を確保するとともに、ばく露予防対策に関する広報を強化する。

    ③小規模建築物も含めたアスベスト使用の実態調査を実施する。2030年頃にピークを迎えるアスベスト含有製品使用の可能性がある建築物などの解体・撤去作業に際し、台帳などによる適切な管理を行うとともに、作業を行う労働者と建築物などの利用者のばく露予防対策を徹底する。

  5. (5)長期治療を必要とする疾病などを抱える労働者が離職することなく働き続けられるよう、「治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を普及・促進するほか、ガイドラインの内容の法定化を検討する。

 

12.外国人労働者が安心して働くことができるための環境を整備する。

  1. (1)外国人労働者の人権を尊重し、労働者保護を確保する。

    ①就労資格の有無にかかわらず、外国人労働者の労働基本権、日本人と同等の賃金・労働時間そのほかの労働条件や、安全衛生、労働保険の適用を確保する。

    ②外国人労働者に対して労働関係法令などをはじめとする権利に関する周知を徹底する。また、すべての労働基準監督署やハローワークなどにおいて、申請書類の多言語化なども含め、外国人労働者が母国語で相談や苦情を受け付けることができる体制を整備する。

    ③外国人労働者を受け入れる事業主が、労働条件通知書、就業条件明示書や就業規則等を外国人労働者の母国語や平易な日本語で作成することに対する支援を行う。

    ④外国人技能実習法や上陸基準省令等に明記されている日本人との同等額以上の報酬について、実効性を担保するための判断基準を設ける。

    ⑤外国人労働全般にわたる検討の場を労働政策審議会に設けるとともに、外国人労働者の就労環境整備をはかるための特別な法律を制定する。

    ⑥労働関係法令に違反する事業主に対しては、厳正に対処するとともに、受入れを停止する仕組みを設ける。

    ⑦悪質な仲介事業者等を排除するため、不当な仲介料や手数料等を徴収している登録支援機関や監理団体、職業紹介事業者等については、登録の抹消や許可の取消しを行うとともに、再び受入れることのできない仕組みを設ける。

  2. (2)外国人労働者の受入れ対象は、専門的・技術分野の外国人材とし、在留資格や就労資格の緩和などを通じたなし崩し的な受入れは行わない。
  3. (3)外国人労働者の受入れについては、外国人労働者の保護のあり方はもとより、国内雇用などに及ぼす影響や受入れ外国人材の「生活者」としての権利保障(社会保障、教育、公共サービス、防災、多文化理解の促進など)、更にはこれらに関する社会的コスト負担などの課題があることを認識し、検討プロセスの透明性を確保した上で、総合的かつ国民的な議論を行う。
  4. (4)生活者としての外国人に対する支援や共生施策については、居住する外国人および支援団体等から意見を聴く場を設け、真に実効性ある支援施策とするためのPDCAサイクルを構築する。
  5. (5)外国人の共生・支援を適切にフォローアップする仕組みとして、労使団体を含む多様なステークホルダーが参画する協議会を設ける。
  6. (6)在留資格制度をはじめとする外国人労働者の受入れにかかる各種制度について、以下の通り労働者保護の観点からの整備・改善をはかる。

    ①「専門的・技術的分野」として就労可能な入管法上の在留資格の安易な拡大や要件緩和は行わない。また、医師や看護師など法律上日本の資格を有しなければ就業できない「業務独占資格」はもとより、他の国家資格であっても国家間相互認証はしない。

    ②「高度人材ポイント制」の制度趣旨を没却するような安易な見直しは行わない。

    ③「特定技能」で受入れる業種・分野について安易な拡大は行わない。また、受入れ業種における日本人労働者の雇用状況、賃金水準等を定期的に把握し、受入れ停止の判断基準とする。

    ④「外国人技能実習制度」については、外国人技能実習法に示された制度適正化策を確実に履行し、国際貢献という制度本旨に沿った運営を行う。また、制度拡充や職種の安易な追加は行わない。

    ⑤外国人留学生の本来の目的である勉学に支障をきたすような「資格外活動」による就労を助長する事業主に対する罰則強化などを行い、不法就労を根絶する。

    ⑥国家戦略特区制度を活用した安易な外国人労働者の受入れは行わない。

    ⑦介護分野における外国人労働者の受入れは、介護福祉士資格を取得した者に限る。

    ⑧入国警備官の増員や入国管理局と警察との連携強化などを通じ、不法就労対策を強化する。

  7. (7)FTA/EPA/TPPなどを通じ、外国人労働者の受入れを拡大しない。

    ①相手国の資格を相互承認することで受入れを拡大しない。

    ②看護・介護分野は、労働条件や雇用環境、日本語による意思の疎通、出稼ぎによる家族離散、送出し国の頭脳流出などの課題があり、安易な受入れを行わない。

    ③看護師・介護福祉士候補者について、実態を検証した上で資格試験に向けた日本語教育などのさらなる支援の充実、制度の抜本的な改善を行う。また、不合格者の母国での就職支援を要請するなど、残留を合法化する制度改正を行わない。

    ④プライバシーに配慮しつつEPAにより受入れた労働者の処遇・労働条件などを調査し、調査結果を公表する。また、労働者への母国語による相談体制を確立する。

13.政府は、最低賃金および家内労働工賃の履行確保を強化する。

  1. (1)最低賃金の履行確保のための監督にあたる要員の増強等監督体制の抜本的強化をはかるとともに、違反事業所の積極的な摘発や罰則適用の強化など、最低賃金制度の実効性を高める。
  2. (2)最低賃金の改定額をふまえ、発注済みの公契約の金額を見直す。
  3. (3)家内労働工賃の業種について、実態にあった見直しをはかる。また、現行家内労働工賃の審議の充実をはかるとともに、その水準の引き上げと改定サイクルの短縮を促進する。

14.政府は、中小企業における勤労者の福祉の向上をはかる。

  1. (1)地域の雇用は中小企業が負うところが大きいが、個々の企業が福利厚生を単独で拡充することは財政的にも事務的にも困難である。地域活性化と企業規模間の福祉格差是正、中小企業の人材確保・育成・定着等の観点から、中小企業の福利厚生充実に向けた施策を講ずる。
  2. (2)「人材の確保・育成・定着」の支援のため、中小企業労働力確保法にもとづく各種助成制度の活用促進や優遇税制等経費の負担軽減措置など、中小企業にとって実効性ある総合的な施策を構築する。
  3. (3)中小企業における高齢者雇用の促進のため、高齢者の継続雇用や定年引き上げなどに対する助成金を継続する。
  4. (4)複数の中小企業が事業協同組合などを活用した障がい者雇用率制度を適用する際は、雇用主としての責任を果たすよう指導を徹底する。
  5. (5)中小企業労働者や職業能力開発機会が限定されている地域に居住する者について、国・地方自治体・地域の教育訓練機関などが連携し、職業能力開発に関する機会や情報における企業間格差・地域間格差の是正をはかる。
  6. (6)技術・技能の継承や人材の確保・育成などについて課題を抱えるものづくり産業の中小企業に対し経済産業省・厚生労働省・文部科学省などの連携を強化し、人材投資促進税制の復活や人材の確保・育成に関する支援措置を拡充する。
  7. (7)中小企業労働者の財産形成と退職金確保のための諸施策の充実をはかる。
  8. ①勤労者財形制度の普及・啓発を促進する。とりわけ、中小企業への普及と非正規労働者の加入促進をはかる。

    ②中小企業退職金共済制度への加入を促進するとともに、退職金不支給期間の是正をはかる。

    a)一般の中小企業退職金共済制度および建設業退職金共済制度において「掛金納付期間が1年未満は支給なし」となっているが、企業の倒産・廃業の場合には掛金相当額が受給できるよう措置を講ずる。

    b)「掛金納付期間が2年未満は支給なし」となっている清酒製造業退職金共済制度と林業退職金共済制度は、上記a)をめざしつつ、まずは「掛金納付期間が1年未満は支給なし」とする。

    c)建設業退職金共済制度について、退職金水準を改善するべく、在職期間の短い退職者の支給水準を引き上げるとともに、24月未満の場合でも掛金相当額を支給する。

  9. (8)中小企業に対して適用が猶予されてきた月60時間超の割増率引き上げ(労働基準法第37条)が2023年4月から適用されるが、その確実な履行に向けて、適用までの間に、周知の徹底と取引の適正化を含む長時間労働抑制の環境整備を行う。

15.労働紛争の解決の迅速、適正化に向けて紛争解決機関などの整備・改善を行う。

  1. (1)労働者の団結権の擁護および労働関係の公正な調整をはかる専門機関としての労働委員会の改革・活性化を促進する。

    ①物件提出命令や証人出頭命令の運用を見直し改善する。

    ②労働委員会の出した物件提出命令や証人出頭命令に不服がある場合の行政訴訟を制限する。

    ③労働委員会命令の行政訴訟においては、「実質的証拠法則」を導入して労働委員会の判断を裁判所に尊重させる。

    ④労働委員会命令の司法審査は、地方裁判所からではなく高等裁判所からとする。

    ⑤労働委員会の「救済命令」の実効性の観点から、受訴裁判所による「緊急命令(取消訴訟の進行中に「救済命令」の全部または一部を暫定的に強制履行させる制度)」を見直し改善する。

    ⑥都道府県は、専門的知識と経験を持つ職員の育成・配置など、労働委員会の事務局体制を強化する。

    ⑦全国労働委員会連絡協議会のもとに設置される委員会が、全国の労働委員会における課題共有などの役割を果たし、労働委員会のさらなる活性化につながる組織となるよう、厚生労働省は労働委員会を所掌する官庁の責任として全面的にバックアップする。

    ⑧都道府県労働委員会においては女性委員を各側委員に1名以上任命する枠組みを検討する。

  2. (2)労働審判制度開始以降の運用について、検証・分析を行い、適切な見直しを行う。

    ①労働事件を担当する裁判官・書記官・事務局を増員する。

    ②各地方裁判所において女性の労働審判員を複数任命する枠組みを検討する。

    ③2017年4月より実施された労働審判申立受付の地裁支部の拡大の状況の効果検証をはかる。

    ④労働審判員法4条の許可代理について、一定の要件を満たした労働組合役職員の手続き代理を認めるよう運用をはかる。

    ⑤労働審判の利便性向上、迅速化の観点から、以下のとおり改善をはかる。

    a)労働審判の定型申立書を作成し、申し立てが簡便にできるようにする。

    b)書証などの閲覧については、事前配布もしくは労働審判員用の書証を用意する。

    c)答弁書の提出期限の遵守について周知徹底をはかるとともに、最高裁判所として実態把握を行う。

    d)期日における当事者の審尋については、迅速な解決のためにも、責任を持って判断できる当事者が出席する。

    ⑥労働審判員の能力向上のため、事例研究の機会を増やすとともに、適切な研修を政府予算により毎年開催する。また、労働審判員の経験交流・情報交換の場や重要な労働法改正時にあわせたスキルアップの機会の提供をはかるとともに、地方裁判所毎に行われている労働審判員の研修会について、内容の充実や質の均一化など、一層の充実をはかる。また、労働審判員とそのOB・OGの自主的組織として労働審判員連絡協議会が設置されたことも踏まえつつ、最高裁判所としても全国的な経験交流組織の設置などを検討する。

    ⑦健全な労使関係構築のため、審判員経験者が各企業・労働団体の職場でその経験をフィードバックできるよう環境を整備する。

  3. (3)個別労働関係紛争解決促進法の見直しを含め、労働事件を扱う司法制度を充実させる。

    ①司法制度改革を引き続き実施するとともに、検証・見直しを行う。

    ②労働事件に、労使の専門家が参加する「労働参審制」を全地方裁判所に導入する。なお、参審員は労使団体から選出された者を裁判所が任命し、裁判官と同じ評決権を持たせる。

    ③定型訴状を導入し、提訴が簡便にできるようにする。

    ④組合役職員の訴訟代理を認める。

    ⑤労働組合の「団体訴訟」を認める。

    ⑥労働関係訴訟の専門性確保の観点から、主要な高等裁判所に、職業裁判官1 名と労使団体の推薦による「労働裁判官」(仮称)2 名の計3 名により事件処理にあたる「労働高裁」(仮称)を創設する。

  4. (4)都道府県労働局の紛争調整委員会による紛争解決の実効性をあげるため、体制を強化するとともに出頭命令などの権限を付与する。
  5. (5)労働委員会による紛争解決の実効性をあげるため、個別労働紛争解決促進法の改正などにより時効の中断効を規定するとともに手続きの標準化をはかる。
  6. (6)総合労働相談コーナーのワンストップ化を図り、相談事案の振り分け機能を強化するとともに、労働紛争解決機関の連携強化と機能分化などの見直しをはかる。

    ①労働者が利用しやすい労働紛争事件解決機関となるよう、労働審判、都道府県労働委員会、都道府県労働局の紛争調整委員会の連携を強化するとともに、各機関が協力して周知徹底をはかる。

    ②労働者が適切な解決手続きを選択できるよう、総合労働相談コーナーにおいて、労働紛争に関する行政上の解決システム(都道府県労働委員会、都道府県労働局の紛争調整委員会)と司法上の解決システム(労働審判制度、通常訴訟など)についての情報提供を徹底する。

    ③労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会の構成員に労働団体も含める。

  7. (7)集団・個別労使関係の双方において、社会保険労務士の不適切な介入事案が生じることのないよう、実効的な規制を整備する。

    ①社会保険労務士による団体交渉への介入可能範囲を示した厚生労働省通達を徹底する。併せて、監督官庁による指導・処分の徹底や業界団体の自主規制機能の強化を行い、違反行為を行う社会保険労務士に対する指導・監督を強化する。

    ②2014年の社会保険労務士法改正により補佐人制度の創設などの業容拡大の影響などを検証する。その上で、例えば補佐人として代理人とともに出廷・陳述できる社会保険労務士の範囲を特定社会保険労務士に限定するなどの見直しや、業容拡大に即した各種行為規制の整備などの必要な措置を講じる。

    ③不適切な情報発信の防止に向けた指導徹底および啓発をはかるとともに、不適切な情報発信を行った社会保険労務士に対する指導・処分を徹底する。

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