連合沖縄から連合広島へのピースフラッグリレー
連合は、沖縄「慰霊の日」である6月23日から24日にかけて「2025平和行動in沖縄」を現地・沖縄県で開催しました。
【6月24日(1日目):2025平和オキナワ集会】
「2025平和オキナワ集会」を、那覇文化芸術劇場なはーと・大劇場にて、「語り継ぐ戦争の実相と運動の継続で恒久平和を実現しよう」をテーマに開催し、全国の構成組織・地方連合会から918名が参加しました。
<第1部 基調講演>
屋良朝博・衆議院議員より、「新たな安全保障を目指して!」をテーマに、基調講演をいただきました。
冒頭、安全保障の概念については、普遍的な定義がなく、定義者の価値観や世界観、時代や状況によって意味が変わること、また、安全保障の手段は軍事力だけでなく、外交や人的交流、文化交流など多様である点についての説明がありました。南西諸島防衛や台湾有事の可能性、沖縄における米軍基地と海兵隊の実態に触れた中では、アジア太平洋地域は自然災害が多発する地域であることも相俟って、とりわけ2000年代以降は、海兵隊が人道支援活動や災害救援活動を展開しており、災害救援を通じた国際協力が安全保障ネットワークの構築につながる可能性があると述べました。さらに、トランプ政権誕生による不安定性・不確実性が高まる中、日本は新たな安全保障のあり方を真剣に考える必要があることを訴えるとともに、ハードパワー(威圧、報復、武器、戦力)だけでなく、ソフトパワー(文化、価値観の共有、外交)を組み合わせた「スマートパワー」の概念を紹介し、中国も取り込んだ地域の安全保障の構築は可能、との提言を行いました。
<第2部 平和式典>
冒頭、参加者全員で黙祷を捧げた後、主催者挨拶として清水秀行・連合事務局長より「沖縄戦で亡くなられたすべての方々の想いを胸に、本日ご参集の皆さんと、平和の尊さ、戦争の悲惨さを、次の世代にしっかりと語り継ぎ、二度とこのような悲劇を繰り返さないことを、固く誓い合いたいと思います」と平和の重要性を訴えるとともに、「今年は戦後・被爆から80年となりますが、いまだに米軍兵士による性暴力事件・犯罪、米軍機による騒音や墜落事故など、基地があるが故の事件や事故は後を絶たない」と、沖縄の現状に触れるとともに、「これらの問題の解決に際しては日米地位協定という大きな壁が立ちはだかっている」と述べました。
また、国の代執行による辺野古大浦湾側の工事が着手されたことによる代償として、多様な生物が息づく美しい海、「美(チュ)ら海」が破壊されている現状を憂うとともに、「戦争のない、平和で安定した社会を築くためには、話し合いによる外交努力を積み重ねることが重要」と述べました。
結びにあたり、平和の尊さや戦争の悲惨さを次の世代へ継承していくことの大切さに触れるとともに、「80年前、ここ沖縄の地で何が起きたのか、そして80年経った今もなお、この地で何が起きているのか、参加者一人ひとりが、沖縄の実相に触れ、多くのことを感じ、学んでいただくことを期待します。そして、目にしたこと、聞いたこと、知ったことを、家庭や職場や地域に持ち帰り、一人でも多くの方々に伝えてください。決して他人ごとではありません。私たち一人ひとりが平和運動の担い手・発信者となり、この輪を一緒に広げていきましょう。」と挨拶を行いました。
続いて、地元挨拶として、仲宗根哲・連合沖縄会長からは、「終戦から27年間、沖縄は自治が認められない苦悩の時代がありました。そして復帰から53年が経過してもなお、国土面積0.6%の沖縄に、在日米軍専用施設の70%が集中しています。2024年度の統計では、米兵による飲酒運転、ひき逃げヘリからの落下物など73件80人が摘発され、うち8件は強奪や不同意性交のなどの凶悪犯ですが、これらは女性の人権、尊厳を、踏みにじる行為であり、決して許されるものではありません。さらに、その事実を外務省、そして警察が通報手続きを怠り、事件発生から半年が経過しても沖縄県へ伝えていない行為は沖縄県民を愚弄することに他なりません。またPFASについても、汚染源が十中八九基地の内部と考えられていますが、日米地位協定の壁に阻まれ、立ち入り調査さえ実施できていません」と、戦後の米軍統治および現在も続く基地問題について語りました。
さらに、「県民の7割が反対している辺野古の新基地建設については、工事は強行されており、たとえ完成しても普天間基地が返還される保証はありません。南西諸島には新たな自衛隊基地が住民の意見を聞くことなく建設されており、ミサイルや弾薬庫の機能強化や日米合同訓練が住民の前で繰り広げられています」と述べました。また、集会当日の朝、アメリカ軍によるイラン核施設への攻撃があったことにも触れ、「いつか来た道を繰り返そうとしている政府に対して強い危機感を抱いています」と切実な訴えがありました。
結びにあたり、沖縄戦の実相を伝える語り部の方々が年々減少している中、一部の国会議員による史実を無視した無責任な発言があったことを受け、「戦争の辛い体験を勇気を持って語る方々への冒涜にほかなりません。私たちはあの戦争から何を学び、何を受け継いでいくのか、今一度心に受け止め、今年のテーマである語り継ぐ戦争の実相と運動の継続で、恒久平和を実現しましょう」と参加者へ呼び掛けました。
大城肇・沖縄県副知事による来賓挨拶の中では、日常的に発生する航空機騒音や米軍軍人軍属による事件や事故に触れ、「沖縄県としては、県民の生命生活および財産を守る立場から、日米両政府に対し過重な基地負担の軽減と、日米地位協定の抜本的な見直しを引き続き強く求めてまいります」とし、さらに「基地の返還により、基地従業員の雇用不安や労働条件の低下につながることのないよう、日本政府に働きかけています」と決意を述べました。さらに、「私たち沖縄県民は、万国津梁(ばんこくしんりょう)の精神で、近隣諸国との交流により信頼関係を築いてきた歴史があり、また、ぬちどぅ宝•ユイマール•チムググルなど、多様な価値観の変容、価値観の需要、総合扶助といった精神文化を継承しています。世界の恒久平和は、沖縄県民の切なる願いであり、平和を希求する沖縄の心の国内外への発信など、平和への願いがかなうよう、全力で取り組んでまいります」と述べ、結びに「今ある生命、今に残る文化、自然環境、これらを未来を担う子や孫たちに受け継いでいくことが人々が共有する願いです」と挨拶しました。
続いて、来賓として出席頂いた沖縄県選出国会議員を紹介した後、仲宗根・連合沖縄会長から大野真人・連合広島会長へと「連合・平和行動旗(ピースフラッグ)」が引き継がれ、大野・連合広島会長より8月に開催する平和行動in広島に向けての決意が述べられました。
最後に、堀川恵・連合沖縄女性委員会委員長が平和アピール(案)を読み上げ、満場一致で採択し、閉会となりました。
【6月24日(2日目):ピースフィールドワーク】
在日米軍基地の実情や南部戦跡を視察・学習する「ピースフィールドワーク(現地視察学習)」を実施し、431名が参加しました。
各所を説明する「ピースガイド」は、連合沖縄の青年委員会および女性委員会に加え、連合大分の青年委員会が担当しました。
A(在日米軍基地)コース(参加:182名)
瀬嵩の浜(辺野古、在日米海兵隊・キャンプシュワブ)
→道の駅かでな(在日米空軍・嘉手納飛行場)→チビチリガマ
→嘉数高台(中部戦跡、在日米海兵隊・普天間飛行場)
B(南部戦跡)コース(計104名)
嘉数高台(中部戦跡、在日米海兵隊・普天間飛行場)→旧海軍司令部壕
→ひめゆりの塔/ひめゆり平和祈念資料館
→平和祈念公園/沖縄県平和祈念資料館→魂魄の塔
C(南部戦跡)コース(計145名)
糸数アブチラガマ(入壕)→ひめゆりの塔/ひめゆり平和祈念資料館
→魂魄の塔→平和祈念公園/沖縄県平和祈念資料館
【6月24日(2日目):「米軍基地の整理・縮小」と「日米地位協定の抜本見直し」を求める集会・デモ】
ピースフィールドワーク終了後、「米軍基地の整理・縮小」と「日米地位協定の抜本見直し」を求める集会を沖縄県庁前県民広場で開催し、デモ行進を行いました。総勢416名が参加し、牧志公園までの約1.3kmにわたって国際通り沿道の方々に対して、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の抜本見直しを求めるデモ行進を行いました。
2025年の平和4行動がスタートしました。8月の広島・長崎、9月の根室と、平和行動を通じ平和への想いをつなげていきます。
なお、集会の様子は後日連合公式YouTubeチャンネル「RENGO TV」にアップいたします。連合の「米軍基地問題に対する活動」は、下記をご覧ください。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/kizuna/peace/us-bace.html