連合ニュース 2025年

 
2025年03月11日
「中小企業家同友会全国協議会と連合との意見交換会」を開催
~共同談話をもとに、中小・小規模事業者の公正取引と持続的に賃上げできる環境整備に向けて、両組織が連携し、力を合わせて取り組むことを確認~
共同談話(中同協・広浜会長と連合・清水事務局長)
 連合は、2025年3月10日、中小企業家同友会全国協議会(以下、中同協)との意見交換会を開催し、中小企業の適正取引と労務費の価格転嫁、人材不足、中小企業と地域活性化策、中小企業振興基本条例等について、意見交換を行いました。
 
冒頭、清水事務局長は、「中小・小規模事業者の公正取引と持続的に賃上げできる環境整備に向けた共同談話」を両組織で事前に準備を進めて確認し、組織内や地方に展開させていただいていることに、大変感謝申し上げる」と、3回目となる、共同談話を締結しての両組織の取り組みについて、謝意を述べました。
 そのうえで「連合は、『みんなでつくろう!賃上げがあたりまえの社会』のスローガンのもと、2月から多くの組合が要求書を提出し、3月11~13日のヤマ場を目前に交渉の大詰めを迎えている。この賃上げの流れを働くすべての仲間に波及させ、新たなステージを定着させる必要がある。」と述べました。さらに「地域の活性化も重要な課題。現在、地方連合会を中心に、地方版政労使会議に取り組んでおり、既に40か所以上の都道府県で開催され、共同宣言の策定など地域ごとの取り組みにより世論喚起につなげている。この機会を最大限に活用し、賃上げに結び付けていかなければならない。」さらに、「連合は、春季生活闘争を通じた、集団的労使関係の強化・構築と組織拡大の取り組みを推進している」最後に「中小企業団体とも連携しつつ適正な価格転嫁や賃上げについて認識を共有するとともに、地域における課題を議論し、地域の活性化につなげていきたい。」と挨拶しました。
 
 続いて中同協の広浜会長が挨拶し、「本日の意見交換会は11回目になる。毎年の意見交換会や魅力発信月間キックオフ行事への清水事務局長からのメッセージなど、連携に感謝する。中小企業の状況は、例えば一斗缶の業界動向は、国内需要と連動するが、昨年は、売り上げは若干増加したが、今年は数量はマイナスで、価格転嫁の影響で売り上げが増えている状況である。また価格転嫁できている企業とできていない企業で二極化が進んでいる。
 3回目となる両組織による共同談話を内外に発信していく取り組みは重要である。2024年の衆議院選挙により、少数与党になったため、労使それぞれの声が届きやすくなったと感じている。本日は、実りある意見交換を期待したい。」と述べました。
 
 両組織からの報告では、中同協から同友会景況調査、経営実態アンケート、国への政策要望、中小企業魅力発信月間の取り組みの報告がありました。
 連合からは「2025春季生活闘争 要求集計結果、地方版政労使会議の報告、笑顔と元気のプラットフォームの取り組み、過半数代表制、集団的労使関係の強化・構築とフリーランス支援について説明しました。
 
 続いて、テーマにもとづき意見交換を行いました。
 一つ目の「中小企業の適正取引と労務費の価格転嫁、人材不足について」では、中同協から、自社や地域の現状について報告を受けました。
 主な意見交換内容は以下のとおり。●連合 〇中同協
 〇価格転嫁の認知度は、昨年と比較すると、様々な取り組みの影響で、確かに広がってきていると感じる。
 〇中小企業の支援策の例としては、サービス業や飲食業において人手不足を補うためのメニューのQRコード化や、キャッシュレス決済、事務作業における生成AIの活用支援などがある。
 ●中小企業のおかれた状況は二極化しているという認識は一致している。2025春季生活闘争で「取引適正化・価格転嫁に関するチェックリスト」を作成した。下請法改正も重要であるため、政策として要請していく。
 ●労働者は消費者でもある。例えば、広告における送料無料の言葉が減ったように、良いものはそれなりの値段が付くという消費マインドの転換が必要である。
 
 二つ目のテーマ「中小企業と地域活性化策、中小企業振興基本条例について」では、中同協から「中小企業憲章・条例のてびき」について説明をうけた後、両組織から中小企業振興基本条例「以下、(条例)」制定に向けた取り組み事例を紹介し、意見交換を行いました。
 中同協からは、2015年に制定された福岡県田川市の条例について、多くの若者が就職先を求めて都心へ流出する背景があったこと、地域内経済循環のために条例づくりにつながったことについて、報告を受けました。
 連合からは、今年度中に制定される予定のつくば市の条例について、JAMが支援する市会議員と連合茨城との連携により、条例に労働団体の役割が明記された経緯について説明しました。
 ●若者・女性の都市部流出をいかに止めるかが重要である。地域に魅力があるか、働く場所があるか、子どもを産み育てるのに適しているか、連合プラットフォームを前面に出して議論していく必要がある。
 ●石破政権の目玉の一つ、地域創生は抽象的な話が多い。地域こそ成長の主役というスローガンに実態が追いついていない。中同協が取り組みを進めてきた中小企業の魅力発信が取り組みのヒントになる。
 
 最後にまとめとして、中同協の中山幹事長は、「11回目となる意見交換会の機会に感謝申し上げる。日本経済は改善傾向にあると言われているが、実態は格差が広がっている。そのような中ではあるが、賃上げの重要性を理解し、毎年継続して賃上げできる企業づくりをめざしている。しかしながら賃上げができる企業とそうでない企業の格差について危惧している。少数与党となっている今、政策提言は収入を増やす、格差を是正するなど、連合と声を上げるべき時である。地域づくりについては、各地で実績があり、すでに連合と連携がはかれている。中小企業を軽視する風潮も高まっており、中小企業の社会的地位向上に向けた取り組みも重要である。」と述べました。
 
 また、村上副事務局長は「本日は、昨年に引き続き、共同宣言のメディア発信など大変有意義であった。意見交換を通じて示された地域における課題について、前向きに改善点をとらえ、地域からさらに政策を広げていくことも視野に引き続き連携をお願いしたい。」と締めくくりました。

 
  • 中同協・広浜会長
  • 連合・清水事務局長