連合ニュース 2023年

 
2023年09月12日
2023平和行動in根室を開催
~北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の返還! 日ロ平和条約の締結を!~
連合北海道から連合沖縄へのピースフラッグリレー
 連合は、9月9日から10日にかけて「2023平和行動in根室」を現地・根室市で開催しました。なお、この「2023平和行動in根室」については、これまでと同じく、外務省、内閣府(北方対策本部)、独立行政法人北方領土問題対策協会からの後援を受けました。






<9月9日(1日目)>
【北方四島学習会】13:30~16:30
 北方領土問題に対する理解を深め、北方領土返還要求運動を進めるため、北方領土問題の経緯や現状、課題と展望について学び、元島民が故郷・北方四島に寄せる想いを聞く「北方四島学習会」を実施し、計393名が参加しました。

Aコース(計152名)
 場所 北海道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)2階「交流センター」
 内容 (1)「歴史から見たロシアのウクライナ侵略と北方領土問題」
      講師 石川一洋氏(ジャーナリスト)
    (2)「北方四島の自然と領土問題」
      講師 本間浩昭氏(毎日新聞記者、
               特定非営利活動法人北の海の動物センター理事)
Bコース(計65名)
 場所 北方四島交流事業船「えとぴりか」(根室港停泊)
 内容 (1)「海から考える北方領土返還運動」
      講師 山田吉彦氏(東海大学海洋学部海洋理工学科教授)
    (2)「ふるさと北方四島への想い」
      講師 鈴木咲子氏(元島民、択捉島出身)
         児玉泰子氏(北方領土返還要求運動連絡協議会事務局長、
               元島民、歯舞群島・志発島出身)
Cコース(計182名)
 場所 根室市総合文化会館1階「小ホール」
 内容 (1)「北方領土をめぐるこれまでの議論と
         北方領土根室研究会のこれまでの取り組みについて」
      講師 半田つくし氏(北海道根室高等学校北方領土根室研究会会長)
    (2)映画『ジョバンニの島』上映
 
<9月10日(2日目)>
【2023平和ノサップ集会】11:00~12:00
 「2023平和ノサップ集会」を、望郷の岬公園で、「北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の返還! 日ロ平和条約の締結を!」をテーマに開催し、全国の構成組織・地方連合会から計863名が参加しました。
 
 冒頭、主催者挨拶として清水秀行・連合事務局長は、「平和を求め、平和を守る。今も昔も、そしてこれから先も、平和は、連合が労働運動に取り組む上で大きな柱となっている」と平和の重要を指摘しました。また、ロシアによるウクライナ軍事侵略以降の流れについて、「これまで日露平和条約締結に関わってきた両国関係者の努力を蔑ろにするにとどまらず、両国の関係を1956年の日ソ共同宣言締結にもとづく国交回復以降、最悪の状況に貶めるものだと言わざるをえない。北方四島の一括返還と日ロ平和条約の締結を通じて、北方領土問題を早期に解決し、真の意味での戦後を迎える必要がある」と述べました。そして、「北方四島のうち、ここ納沙布岬から最も近い「貝殻島」まではわずか3.7キロ。その中間地点に日露の暫定国境線があるが、貝殻島の灯台にロシアが自国の国旗を掲げ、外壁の塗装を一方的に行うなど、実行支配を誇示する姿勢を強めている。まさに目と鼻の先であるにも関わらず、今は、遠い場所となっている。元島民の方々は、ふるさとに戻れず、自由に訪れることもできず、78年が経過した。元島民の平均年齢は87歳を超え、残された時間は決定長くない」とし、「日本政府には、日露関係の改善、そして、その先にある北方領土問題の1日も早い解決に向けて、粘り強い外交努力を求めたい」と語りました。最後に「世界の恒久平和の実現に向けて、一緒に平和運動の輪を広げていきましょう」と集会参加者に呼びかけました。
 続いて地元地方連合会を代表して杉山元・連合北海道会長より「根室に近い矢臼別演習場では、昨年10月に続き今年も来週、日米共同訓練が予定されている。また、日本政府は昨年12月に『防衛3文書』を閣議決定した。これらは北方領土の返還を願う元島民の想いや「平和行動in根室」の取り組みを続けてきた私たちの想いを踏みにじるものである。平和は武力ではなく外交努力の積み重ねでしか実現できない。北方領土を1日でも早く取り戻すため、この根室で78年前に何があったのかを学び、納沙布岬で感じたことを職場や地域に伝えて欲しい」との挨拶がありました。
 次に、来賓挨拶として、岡嶋秀典・北海道北方領土対策根室地域本部本部長より、「ロシアのウクライナ侵略により依然として厳しい情勢が続いているからこそ、北方領土返還要求運動の歩みを止めず、国民一丸となって外交交渉を後押ししていくことが重要である。北海道は元島民の切実な想いに応える為、国や関係機関と連携し、8月下旬から洋上慰霊を実施するとともに、新たにデジタルツールを活用した啓発活動を展開している。北方領土問題の解決に向け、お力添えをお願いする」との鈴木直道・北海道知事の挨拶が代読されました。
 続いて、石垣雅敏・根室市長より「玉音放送を聴き、『戦争が終わった。これでまた海に出られる』との想いを強くしたが、数日で打ち砕かれた。以来、拿捕・銃撃に怯えながらの『忍従の海』として、78回目の夏を終えようとしている。北方領土返還要求運動は私の10代前、安藤石典・根室町長(当時)がGHQに北方領土問題解決の陳情書を提出したことに始まる。この志が元島民や隣接住民の想いを核に全国的な運動へと広がった。ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、平和条約交渉が中断、交流事業も停止。また、本年4月には千島連盟をロシアは『好ましからざる団体』とし、人道的見地による北方墓参もできなくなった。積み上げてきた歴史の針を戻す現状を見るに、悔しさと怒りを禁じ得ない。元島民の中にはウクライナの状況をご自身の体験と重ね合わせ、やるせない想いを抱かれる方もいらっしゃる。私自身、従兄(姉の長男)が色丹島の暁部隊にいた。根室の実家で玉音放送を聞いた後、両親は根室に留まるよう説得したが、従兄は『軍務があるから』と言って色丹島に戻った。『すぐ帰るから』。これが25歳の長男との最後の会話になった。従兄はその後、シベリアへ送られた。昨日、『ジョバンニの島』が上映された。強制的に乗船させられる場面があった。会ったこともない従兄であるが、『この中にいたんだな』と想いを馳せた。根室には同じような話がたくさんある。根室と北方領土の距離、戦前も今も一寸も変わっていない。変えたのは人のなせる技であり、これは人が変えることができる。安藤石典が使った返還運動の魂である。連合にはその前身時代から励まされた。地域エゴや政治的と言われた返還運動について、根室市民に『大きな声で訴えていいんだ。必要な叫びなんだ』と導いて頂いた。平和を希求し、正義を貫く連合の想いに敬意と感謝を申し上げる」との挨拶を頂きました。
 また、山本茂樹・北方領土問題対策協会理事長より「平和行動in根室をはじめ、2月7日の北方領土返還要求全国大会では主導的な役割を担い、12月1日の北方領土返還要求中央アピール行動に参画するなど、連合の団結力を活かした返還運動の牽引に改めて敬意を表する。北対協としては、連合をはじめ全国の皆様とともに従前の活動はもとより、若者をはじめ新規の参加者の関心を得て返還要求運動の裾野の拡大・強化に努めていく」との挨拶を頂きました。
 その後、元島民の訴えとして鈴木咲子氏(択捉島出身)は「北方領土は元島民にとってはかけがえのない故郷であり、それ以上に、先人たちが心血を注いで開拓してきた日本の大切な土地であることを忘れてはならない。日本政府には、ロシアとの交渉を諦めず継続し、墓参が再開されることや日露交流ができるよう努めてほしい。元島民の語り部として、小学生、中学生に講和をしているが、生徒は真剣に向き合ってくれており、心強く思っている。将来、返還運動を担うことを期待したい。厳しい情勢であるからこそ、皆さんとともに返還要求運動を強力に推し進めて参りたい。引き続きのご協力をお願いする」と語りました。
 この後、特別報告として中村雅之・連合島根西部地協青年女性委員会副委員長より連合島根、連合中国ブロック連絡会が取り組んでいる「竹島領土権確立に向けた取り組み」について、特別報告を受けました。続いて、2024平和行動in沖縄に向けて連合平和行動旗・ピースフラッグが杉山・連合北海道会長から石川修治・連合沖縄副事務局長へと引き継がれました。その後、中澤愛樹・連合北海道根室地区連合会副事務局長による集会アピールが満場一致の拍手で採択されたあと、淺野康敏・連合北海道釧根地域協議会会長の発声による「がんばろう三唱」で閉会となりました。
 
 なお、「2023平和ノサップ集会」の様子は、後日連合公式YouTubeチャンネル「RENGO TV」にアップいたします。
 
 また、連合の「北方領土返還要求運動」は、下記をご覧ください。
 https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/kizuna/peace/hoppou.html
 
 2023年の平和4行動(沖縄、広島、長崎、根室)はこれですべて無事に終えることができました。これからも平和を求める連合の運動をつなげていくため、来年も平和4行動に取り組んでいきます。
  • 清水秀行・連合事務局長による主催者代表挨拶
  • 杉山元・連合北海道会長による地元挨拶
  • 岡嶋秀典・北海道北方領土対策根室地域本部本部長による来賓挨拶(鈴木直道・北海道知事の挨拶代読)
  • 石垣雅敏・根室市長による来賓挨拶
  • 山本茂樹・北方領土問題対策協会理事長による来賓挨拶
  • 鈴木咲子氏(元島民、択捉島出身)による「元島民の訴え」
  • 中澤愛樹・連合北海道根室地区連合会副事務局長による集会アピール提案
  • 淺野康敏・連合北海道釧根地域協議会会長によるがんばろう三唱
  • 北方四島学習会:石川一洋氏(ジャーナリスト)
  • 北方四島学習会:本間浩昭氏(毎日新聞記者、特定非営利活動法人北の海の動物センター理事)
  • 北方四島学習会の様子(ニ・ホ・ロ)
  • 北方四島学習会:半田つくし氏(北海道根室高校北方領土根室研究会会長)
  • 北方四島学習会:山田吉彦氏(東海大学海洋学部海洋理工学科教授)
  • 北方四島学習会:児玉泰子氏・鈴木咲子氏(元島民)