事務局長談話

 
2015年09月09日
労働者派遣法改正法案の参議院厚生労働委員会可決に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生

  1. 労働者派遣法改正法案が9月8日、参議院厚生労働委員会において可決された。同法案は派遣労働者が抱える雇用の不安定さと低処遇を改善するものではなく、民主党をはじめとする野党議員が法案の様々な欠陥を追及している中で、質疑が打ち切られ採決が行われたことは極めて遺憾である。

  2. 政府は、同法案を「正社員への道を開く」ものとの説明を繰り返してきたが、雇用安定措置や教育訓練の内容が派遣元事業主の判断に委ねられ直接雇用化などの実効性が乏しいことや、専門26業務の派遣労働者が派遣期間制限違反の下で働いていても労働契約申込みみなし制度は適用されないことなどが、国会審議で次々と明らかとなった。過半数組合等が反対しても派遣の継続が可能であり、「派遣は臨時的・一時的就労」の原則に全く反しており、均等処遇はおろか均衡処遇すら実効性のある措置が事業者に義務付けられていないなど、企業のための規制緩和であり、労働者保護が乏しい欠陥法案である。

  3. 同法案は、企業にとって“安くて使い勝手のよい”派遣労働を一層拡大させようとするものであるにもかかわらず、政府はあたかも派遣労働者のための法改正であるかのごとく美辞麗句を並べ、強引に議論を進めた。審議期間中に新聞社等が行ったアンケート調査では、約7割に上る派遣労働者が法改正案に反対であるとの結果が示され、また派遣労働者自身も反対の声を上げる中、与党はこうした労働者の声に真摯に耳を傾けることなく、採決が行われた。こうした政府・与党の対応は不誠実であり、極めて遺憾であると言わざるを得ない。

  4. 法案の施行日について、与党により、10月1日の労働契約申込みみなし制度施行前日の9月30日とする修正がされることとなった。同法案が成立すれば、施行日までに労働政策審議会において多くの政省令・指針の改正など国会審議を踏まえた検討が必要となるが、施行日が迫っており、労働政策審議会で議論に要する期間が十分確保されていない。政省令改正案等の決定後に必要な周知期間は、派遣法制定以来の大改正にもかかわらず過去に例の無い短さとなることが予想されるが、現場の混乱を招き派遣労働者が不利益を被ることがあってはならない。

  5. 与党による施行日以外の法案修正と、前代未聞の39項目におよぶ附帯決議が可決された。これは、民主党をはじめとする野党の追及の成果であり、法案のもつ課題の多さをそのまま表している。連合は、改正法案の施行にあたり派遣労働者の保護が欠けることとならないよう、審議会での議論に臨むとともに、すべての派遣労働者の雇用の安定と労働条件の向上に全力で取り組み、また、労働者保護を担保するためのさらなる法改正を求めていく。


以上