事務局長談話

 
2015年03月13日
不正競争防止法改正案の閣議決定に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  3月13日、政府は、「不正競争防止法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。本法案は、我が国企業の営業秘密漏えい防止についての環境整備を行うため、多様化する営業秘密侵害事例に即して、さらに実効性を高めるために必要となる措置を講じるものであり、概ね評価できる。

  2.  本法案は、営業秘密侵害罪における法定刑の引き上げや非親告罪化、処罰対象に未遂行為や情報の転売行為を追加することなど、営業秘密の侵害に対する抑止力の強化や処罰範囲の整備を行うというものである。
     技術情報等の営業秘密は企業および労働者の努力の蓄積であり、このような法整備により、営業秘密の不当な形での窃取・開示・使用を防止することは、企業の健全な発展や労働者の雇用・労働条件の向上をはかるうえで極めて重要である。

  3.  一方で、営業秘密が存在しうる職場では、労働者にとっての日常的な業務が刑事罰に適用されることがないよう十分な配慮が必要である。また、労働組合への情報提供や労使協議への制約、公益通報者保護制度と矛盾あるいは阻害があってはならない。連合は、本件を審議した産業構造審議会知的財産分科会営業秘密の保護・活用に関する小委員会に参加し、このような観点から意見反映を行ってきた。今後も、国会審議の動向を注視しながら必要な対応をはかっていく。

  4.  また、政府は、企業において法改正を踏まえた適切な営業秘密の管理・運用が行われるよう、「営業秘密管理マニュアル」を策定するとしている。連合は、同小委員会における「営業秘密管理マニュアル」の検討に積極的に関与し、働く者の立場からの意見反映に努める。


以上