事務局長談話

 
2012年03月23日
「労働契約法の一部を改正する法律案」の閣議決定にあたっての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  3月23日、政府は、「労働契約法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日衆議院に提出された。公労使三者構成の労働政策審議会の結論を踏まえたものであり、有期契約労働者の権利保護を進めるものとして、一定の評価ができる。

  2.  法案の主な内容は、昨年12月26日にとりまとめられた「有期労働契約の在り方について」(労働政策審議会建議)の内容を踏まえ、労働契約法に、[1]有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(第十八条)、[2]有期労働契約の更新等(第十九条)、[3]期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(第二十条)の3カ条を追加するものである。なお、第十八条については、審議会における労働側委員の指摘を受け、より簡潔な表現に改める観点から、法律案要綱の文案から条文修正が行われた。

  3. 厚生労働省から法律案要綱の労働政策審議会への諮問が遅れたため、限られた時間での検討とならざるを得なかったこともあり、法案にはなお明らかにすべき事項が残っている。以下については、国会審議において、立法者意思および、制定法化によって判例法理を後退させるものではないことが明確にされなければならない。
     [1]第十八条において、厚生労働省令への委任事項が盛り込まれているが、これが先例とされ、純然たる民事法規とされている労働契約法の性格を変質させることになりかねない。[2]第十九条の「雇止め法理」の法定化では、第二号において、有期労働契約の更新期待の合理性の判断時点を「契約期間の満了時に」と規定したことは、従来の最高裁判決でも限定しておらず、労働者の雇用継続に対する期待を認める範囲を狭めかねない。[3]第二十条の「不合理と認められるものであってはならない」との規定ぶりは、私法上の効果(民事効)を持つ規定としての明確さに欠ける。無効・損害賠償責任の発生効果や、無効となった場合の労働条件を補充する効果(補充効)について、法的効果を明確にすべきである。

  4.  今回の労働契約法の改正は、非正規労働者の大半を占める有期契約労働者の雇用の安定と処遇改善に資するルールの立法であり、その影響の大きさは言うまでもない。また、労働契約法は、労働契約に関する権利義務関係を規律し、最終的には、裁判規範として労使間の紛争解決に寄与する法律である。
     連合は、労働の現場で今回の改正法案の誤った理解や解釈を招かないよう、国会審議を通じて法案に残る懸念点の解消がはかられることを期待するとともに、法案の重要性を踏まえ、その早期成立に向けて全力で取り組む。


以上