連合ニュース 2026年

 
2026年07月29日
デジタル庁に対し「2026年度 連合の重点政策」を要請
要請手交の様子(左:今枝デジタル副大臣、右:神保事務局長)

 7月29日、連合はデジタル庁に対して「2026年度 連合の重点政策」について要請を行いました(要請書は添付参照)。
 
 冒頭、神保事務局長が今枝デジタル副大臣に要請書を手交した後、「本日は、連合の2026年度重点政策の内容についてご説明させていただく。お気づきの点についてご指導賜りたい」と挨拶しました。
 
 続いて、今枝デジタル副大臣から「今はデジタル庁の担当ではあるが、内閣府では賃上げに関する政策も担当していた。政労使会議はもとより、皆様とも力を合わせながら、物価高を乗り越えるための賃金引上げを、中小・小規模事業者を含めて着実に実現していくことが重要であると考えている。そのためには、価格転嫁の推進はもちろんのこと、労働環境や雇用環境の整備も欠かせない。こうした取り組みを進めていくことが、現在の経済状況の中で極めて重要な課題であると認識している。高市政権が成長戦略を進める目的も、最終的には生産性が高く付加価値の高い仕事を増やし、その成果を働く皆様の賃金向上につなげていくことにある。その流れを一時的なものではなく、強靱で持続可能なものとすることが重要であり、その観点からも賃上げの取り組みを進めていかなければならない。特にDXは、生産性向上を実現し、単なる業務効率化にとどまらず、データの利活用を通じて、より付加価値の高い働き方や新たな価値創出を実現することが重要である。その結果として、賃金の引上げにつながっていくものであり、私自身も強い思いを持って取り組んでいる。ぜひ皆様と率直に意見交換させていただきたい」と挨拶がありました。
 
 その後、小原総合政策推進局長が、下記2項目を説明・要請しました。(要請書抜粋)
(1)社会のデジタル化と産業構造の変化への対応および中小企業への支援
〇国民生活の利便性向上や非常時におけるセーフティネットの構築につなげるため、「デジタル・ガバメント」を推進する。2026年3月末までに移行が予定されていたガバメントクラウドに関し、自治体ごとに抱えている課題を精査し、人員確保・育成、自治体間のサポート体制構築など課題に応じた支援を行う。あわせて、国内IT産業の育成を支援するとともに、経済安全保障推進の観点からデータ主権を確保するため、機密性の高い情報を扱うシステムから国産クラウドサービスの採用を進める。
(3)マイナンバー制度の理解促進と一層の活用
〇マイナンバー制度に対する国民の信頼確保に向けて、誤登録問題の検証を踏まえて運用を改善するとともに、個人情報管理体制をより一層強化する。そのうえで、デジタル行政の促進による国民の利便性の周知を徹底するとともに、さらなる利便性向上をはかるため、行政手続きのデジタル化やマイナポータルの活用を促進する。その際、誰もが安心して利用できるよう支援体制や相談窓口の強化を進める。また、今後、カード更新が集中することをふまえ、国民が円滑に手続きできるよう体制の充実・拡充をはかる。
 
これに対し、今枝デジタル副大臣からは、以下の主旨の回答がありました。
〇ガバメントクラウドの移行は2026年度末時点で全体の約7割まで進んでいる一方、まだ対応が必要な自治体も残っている。政府としては、財政的な支援に加え、ベンダー側への働きかけも行っていきたい。また、単に人員が不足しているというよりも、「何をどのように進めればよいのか分からない」という不安が大きい場合もあると認識しているため、技術的な支援などを通じて対応していきたい。
〇データ主権の確保について。現在、国内企業1社がガバメントクラウドの提供事業者として採択されているが、今後も国産クラウド事業者の活用を進めるため、複数社の国内クラウド事業者が競争しながら切磋琢磨し、日本としての競争力を高めていくことが重要である。こうした環境を整えることで、世界的なデジタル化の潮流に対応したい。また、来年度予算に向けた概算要求では、国産のデジタルサービスやクラウドの調達が進むよう検討を進めている。予算編成や予算成立を経て、実際の調達は来年度以降となるが、取り組みを進めていきたい。
〇マイナンバーカードは1億枚以上を発行した。今後、様々な行政手続がオンラインで完結できるようになれば、国民や住民の利便性向上につながるだけでなく、行政機関で働く職員の業務効率化にも大きく寄与するものと考えている。また、テレワークなど柔軟な働き方の拡大にもつながり、働き方改革の推進にも資するものと考えている。こうした観点からも、マイナンバーカードの利活用や行政手続のデジタル化を着実に進めていきたい。
 
 
 続けて行った意見交換での主な発言内容は以下のとおりです。(●今枝デジタル副大臣、〇連合)
●AIについて。AIの活用を進めていく方向性については皆様と同じ認識。特に行政手続や窓口業務にAIを活用することで、住民対応の負担軽減やカスタマーハラスメント対策にもつながると考えている。政府では、本年度から全職員が生成AIを利用できる環境を整備しており、各自治体にも展開できるよう取り組んでいる。一方で、国際会議などではAIの進展に伴う雇用形態の変化やAI失業が課題として議論されている。我が国では今後、特に事務職などで雇用への影響が生じる可能性があり、失業なき労働移動やリスキリングをどのように進めるかが重要な課題。AIの活用は進めなければならない一方で、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」実現する観点から、働く人々の将来を見据えた対応が必要であり、労働組合の皆様の意見も伺いたい。
〇AIやデジタル化によって、特定の職種がなくなるというよりも、同じ企業の中で必要とされる業務やスキルが変化していくと考えている。そのため、企業や労働者が将来的な変化を見据えながら、段階的にスキル転換を進めていくことが重要である。政府には、将来必要となる人材やスキルに関する情報を積極的に発信していただき、地域や企業が対応を検討できる環境を整備していただきたい。また、職場・企業内だけでなく、地域全体での人材移動や就業支援も重要になる。自治体がコーディネーターとして、新たな働き方や地域での就業機会を提示できる体制づくりも必要である。労働組合としては、AI時代に対応するため、まず全ての働く人のAIリテラシーを高めていくことが重要だと考えている。先端人材だけではなく、現場で働く人も含めてスキルアップやリスキリングを進め、生産性向上につなげていく必要がある。そのため、労使交渉でもリスキリングや能力開発を重要なテーマとして取り上げており、実際に組合員が利用できる学習プログラムの整備にも取り組んでいる事例がある。
●私自身も生成AIやAIエージェントを活用した業務効率化や高度化に取り組んでいる。政府の試算では、今後、事務職分野では人材余剰が生じる一方で、介護やAI・IT分野では引き続き人材不足が見込まれている。こうした課題への対応には、地域ごとの人材需給も踏まえながら、リスキリングや労働移動のあり方を考えていく必要がある。また、企業主体のリスキリングだけでは限界もあるため、働く人一人ひとりの立場に立った支援が重要であり、その点で労働組合の役割は極めて大きいと考えている。転職も含めたキャリア形成や能力開発の支援について、引き続き連携していきたい。
〇大企業では一定の支援が可能である一方、中小企業では人材育成に充てる時間や余裕が十分に確保できない場合も多くある。リスキリングを進めるためには、学ぶ機会の確保や経済的支援、セーフティネットの整備も含めて社会全体で支えていくことが重要である。
 

以 上