意見陳述の様子
政府提出の「健康保険法等の一部を改正する法律案(健康保険法等改正法案)」に関する参考人質疑が4月21日、衆院厚生労働委員会(大串正樹委員長、自民)で行われ、連合の林鉄兵副事務局長が意見陳述しました。
同法案には、①標準的な出産費用の無償化に向けた制度の創設、②医療機関における業務効率化・勤務環境改善への責務明確化、➂一部保険外療養の創設、④高額療養費制度における長期療養者への考慮明確化、⑤後期高齢者医療制度における金融所得の勘案、⑥全国健康保険協会への国庫補助にかかる特例減額の拡大などが盛り込まれています。
<林副事務局長 発言要旨>
①標準的な出産費用の無償化に向けた制度の創設
出産への支援強化として、標準的な出産費用を無償化する、保険診療以外の分娩対応に要する費用を全国一律の水準で現物給付化し、妊婦の自己負担が生じない仕組みにすることは評価。今後は、費用の見える化をしながら、具体的な制度設計を着実に進めていただきたい。また、無痛分娩へのニーズが高まっていることも踏まえ、安全や質の確保を前提に、無痛分娩だけでなく、助産師の行う産痛緩和ケアについても保険適用とする方向で検討いただきたい。
②医療機関の業務効率化・勤務環境改善
安全・安心で質の高い医療提供体制を確保するためには、それを担う人材確保と離職防止の取り組みが欠かせない。そのためには、医療現場で働く方の勤務環境の改善は不可欠であり、ICTなどを活用して、現場の負担軽減、業務効率化をはかることは重要。ただし、ICTなどを活用したからといって、人員削減が可能になるといった単純なことではないと考えるため、人員配置基準を緩和することなく、真に働く者の負担軽減に資する取り組みとなるようにしていただきたい。
③一部保険外療養の創設(OTC類似薬の患者負担の見直し)
必要な受診を確保するという前提で整理されたものと受け止める。ただ、患者の立場から見ると負担増となる面もあるため、対象薬剤や要配慮者の範囲など詳細については丁寧な検討が必要。その際は、国民や患者の理解と納得が得られるよう、分かりやすい説明を行うことはもちろん、今後の議論における透明性の確保が重要。また、本制度による影響を把握し実態を踏まえながら、必要に応じて見直すことも必要。
④高額療養費制度における長期療養者への考慮明確化
長期療養者への配慮は必要であり、この考えを法律上明確化すること自体は評価。そのうえで、重要なセーフティネット機能である高額療養費制度の役割の観点から、支給要件などを見直す際は、必要な療養を受けられるよう、家計への影響を配慮することが重要。なお、本制度の役割、社会保険加入への納得性確保という観点から、各所得区分の自己負担上限額において、社会保険料も応能負担している中で重ねて応能負担を強めることは問題と考える。
⑤後期高齢者医療制度における金融所得の勘案
確定申告の有無によって保険料の賦課対象が変わる点については、公平性の観点から、課題解消に向けた対応が必要。そもそも公平な負担の実現に向けては、年齢別で区切られた医療保険制度から、支払い能力に応じた負担のあり方に見直していくことが重要であり、高齢者医療制度のあり方の検討や、全世代の所得をより正確に把握する方策の確立とあわせて、総合的に議論していくことが必要。
⑥全国健康保険協会(協会けんぽ)への国庫補助にかかる特例減額
協会けんぽの財政状況は、近年安定しているものの、主に中小企業で働く労働者が加入していることから標準報酬月額の水準は高いわけではなく、構造的な問題は変わっていない。国庫補助は、協会けんぽの構造的な課題、財政基盤を支える目的で国庫補助が行われているものであることを踏まえ、中長期的な安定運営のもとで保険者機能を十分に発揮できるよう、国庫補助率は、少なくとも現行水準を維持すべき。