懇談会の様子
連合は2月3日、日商との懇談会を都内で開催し、持続的な賃上げ、価格転嫁、最低賃金、人手不足と働き方などをテーマに意見交換を行いました。
冒頭、組織を代表し、小林日商会頭、芳野連合会長それぞれから挨拶しました。
<小林会頭挨拶>
本年も芳野会長はじめ連合の皆さまと懇談の機会を設けられたことをうれしく思う。春闘が本格化する時期にお時間をいただき、感謝申し上げる。
中小企業を含め賃上げの動きは広がっているが、依然として物価上昇に追いつかず、実質賃金の回復には至っていない。成長型経済に移行するには、企業が成長の果実を賃金や投資へ循環させていくことが最大の鍵となる。今年も中小企業・小規模事業者の賃上げを進め、賃金と物価の好循環を社会全体で定着させることが肝要である。
商工会議所の調査では、昨年の中小企業の賃上げ率は、4.73%と相当に努力した。2026年度についても、12月時点で、2026年度に「賃上げを予定」する中小企業は約5割、賃上げ率について約半数が3%以上と昨年同時期から若干の増加、「未定」が2割超という状況である。できるだけ多くの企業に賃上げに取り組んで欲しいと思うが、例年、中小企業は大企業の動向をみながら、秋にかけて賃上げに踏み切るため、春闘の動向は大変重要である。
他方、人財確保や物価高騰への対応から、業績改善を伴わない防衛的賃上げを強いられている中小企業が依然として多い。特に、足元では円安の影響も心配している。自発的・持続的な賃上げに向け、中小企業自らの自己変革による付加価値向上とともに、価格転嫁の商習慣化が重要である。
価格転嫁の進捗は足踏み状態である。1月に施行された取適法(中小受託取引適正化法)および、パートナーシップ構築宣言の実効性確保に向けた粘り強い取り組みが求められる。
特に、BtoC企業の進捗が未だに低調である。働く人の生活にとっては厳しい面もあると思うが、引き続き、労働組合の立場からも組合員の皆さんに働きかけていただきたい。
本日は短い時間だが、ぜひ中身の濃い意見交換にしたいと思う。
<芳野会長挨拶>
本日は、昨年に引き続き、懇談の機会を持たせていただき、感謝申し上げる。小林会頭とは、政労使の意見交換の場をはじめとして、政府の様々な会議体で同席しているが、中小企業の発展とそこで働く人の幸せのために今何をすべきか、問題意識が重なる部分が多くあると感じている。連合の構成組織・加盟組合は、2月の要求書提出に向け、春季生活闘争方針の組織決定を進めている。そのようななか、日商と連合の懇談の場を持てることは極めて意義深いものだと考える。
直近3年間で賃上げの動きは加速し、2年連続で5%台の賃上げが実現したが、生活が向上したと実感している人は少数にとどまり、個人消費は依然として低迷している。日本の実質賃金を1%上昇軌道に乗せ、これからの賃上げノルムとして定着させるため、今がまさに正念場である。
そのためには、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」や2026年1月1日の「中小受託取引適正化法(取適法)」の施行内容を周知し、適切な価格転嫁・適正取引を徹底する必要がある。
連合は2026春季生活闘争方針のなかで、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配や持続的な賃上げと格差是正が実現できる環境をつくるための取り組みを強化すると打ち出している。引き続き政府に対して、公共調達部門も含めたすべての分野における適正な価格転嫁と適正取引に向けた環境整備を強く求めていく。
さらに、昨年に引き続き、全国で「地方版政労使会議」も展開されている。地域段階で、適正な価格転嫁や賃上げについて認識を合わせるとともに、地場・地域における経済・産業の認識共有が重要である。そのため、可能な範囲で複数回の開催をめざし、地域の活性化につながるよう連携を強化していく。
最後に、連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざし、ビジネスにおける人権尊重の取り組み、ジェンダー平等・多様性の推進などにくわえて、集団的労使関係の強化・構築と組織拡大の取り組みを進めている。組織内外へ労働組合の存在意義を高めるとともに、労働組合がない未組織企業の組織化につなげるなど、連合全体で統一的な取り組みを展開し、労働組合の社会的役割の発揮に努める。
本日は限られた時間ではあるが、忌憚のない意見交換をお願いする。
その後の意見表明では、日商より「中小企業の賃上げ、価格転嫁および働き方」の課題認識について提起がありました。続いて、連合より2026連合白書を用いて、2026春季生活闘争の取り組みにおけるポイントや最低賃金引上げに向けた考え方、組織拡大・組織強化の推進などを説明しました。
その後、以下のような意見を交わしました。
<日商>
〇賃上げが必要であるという方向性は一致している
〇政府がどのような環境を整備すれば賃上げの後押しになるのか議論が必要
〇中小企業の4社に1社は外国人労働者を雇用しており、一番大きな課題は
言語の問題である
〇政労使の力を総動員して賃上げの大きな一歩を踏み出す必要がある
〇賃上げの成果が出れば経済環境が健全化しこれまでの取り組みが正しい
ことが見えてくる
<連合>
〇労働組合の立場から自社の取り組みを点検するよう発信している
〇中小企業の付加価値が認められているか実行に移す時期にきている
〇連合は本部組織として地域の現場に出向いていくことも考えている
〇ベクトルは同じであることを再認識した
〇労使で力を合わせて建設的な交渉を重ねて賃上げにつなげていきたい
連合と日商は、中小企業の持続的な賃上げに向けて、取引の適正化などを後押ししていく考えで一致し、今後も必要に応じて意見交換の機会を設けることとし、懇談会を閉会しました。
以 上