連合ニュース 2025年

 
2025年12月15日
全国知事会に対し「持続的な賃上げ環境の整備」に向けた要請を実施
~公共調達を含む適切な価格転嫁の推進や、重点支援地方交付金の地域での有効活用など~
要請書手交の様子
 連合は2025年12月15日、全国知事会に対し、官公需の発注者である自治体においても「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に基づいて適切に対応することや、重点支援地方交付金を最低賃金含めた賃上げ支援につながるよう有効に活用すること、そして地方版政労使会議をすべての都道府県で引き続き開催するとともに地域の事情に応じた複数回開催に努めることなど、要請を実施しました。
 
 冒頭、神保事務局長から全国知事会・中島事務総長に「持続的な賃上げ環境の整備」に向けた要請書を手渡した後、以下のとおり挨拶しました。
 
〇日頃より連合の取り組みにご理解をいただき、感謝申し上げる。
〇連合には各都道府県に地方連合会があり、日々の連合運動において自治体の皆さま
 には大変お世話になっている。
〇連合は2026春季生活闘争方針を11月28日に正式決定した。
〇日本の実質賃金を1%上昇軌道に乗せ、これからの‘賃上げノルム’として確立すべき
 ときであり、連合は中長期的 視点から賃上げの大きな流れを継続・拡大し、すべ
 ての働く人の持続的な生活向上の実現をめざす。
〇そのためには、「労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針」「中小受託取引
 適正化法(取適法)」を周知・浸透させることや、地方版政労使会議などの場
 を活用し魅力ある地域づくりを推し進め、中小企業などへの各種支援策の周知・
 活用促進とさらなる拡充などの基盤整備が重要である。
〇全国知事会の皆さまには、地域の中小企業の持続的な賃上げが実現できる環境整備
 を推進いただくよう、引き続きの連携と取り組みをお願いする。
 
 具体的な要請内容については仁平総合政策推進局長より、以下の3点を説明しました。
・公共調達を含む適切な価格転嫁の推進
・重点支援地方交付金の地域での有効活用
・地方版政労使会議の継続と複数回の開催
 
 要請を受けて、全国知事会・中島事務総長からは、以下のとおり、発言がありました。
〇本日はご足労いただき、感謝申し上げる。
〇持続的な賃上げについては、47都道府県の知事が強い関心を持っており、国に対して
 求めるだけではなく、 都道府県が自らやるべきことをやらなければならないという
 認識である。
〇都道府県が発注する各種事業について、適切な価格転嫁・取引の適正化の観点で対応
 を進めるよう、 2025年11月の都道府県知事会議でも申し合わせした。地方では
 中小企業が地域経済の担い手である。賃上げが進んでいる状況を見渡すと大企業が
 中心であり、地方の中小企業が追い付いていない状況がみられ、地域経済の差となり、
 人財流出の危機感へとつながっている。
〇重点支援地方交付金は、住民生活が厳しさを増す状況のなかで求めてきたものが
 形となった。各地で何が必要なのか、重点的な配分をどのようにすべきか、政府から
 も要請があったが、なるべく早く国民の手に届くような予算措置をめざし、年明けに
 は具体的な対応に動けるように準備を進める。
〇地方版政労使会議については、それぞれの地域で必要性を感じて取り組むことが
 積み重なってきたと感じている。意識としては同じ方向を向いているものだと認識
 しており、各地で引き続き連携を密にしていく。
〇今回要請いただいた内容は、しっかり全都道府県に共有する。
 
 最後に神保事務局長は、「連合の集計では2年連続で5%以上の賃上げ率となったものの、実質賃金はプラスに転じておらず、生活向上の実感は得られていない。賃上げのさらなる広がりと軌道に乗せる取り組みが必要である。賃上げなんて自分には関係ないという街の声もあり、現状のままでは地域経済の好循環につながらないため、全国的に取り組みを進めていただきたい」と述べました。
 中島事務総長からは、「価格転嫁が進んでいない中小・小規模事業者の相談窓口である下請けかけこみ寺と各地に労働局が連携しながら、各県の適正な価格転嫁を働きかけている。連合のみなさんとは、各担当分野でも連携させていただいている。政府の取り組みが実効性あるものとなるよう、地方創生の観点も含めて、引き続き取り組みを進める」と発言がありました。
以 上