連合ニュース 2025年

 
2025年12月03日
厚生労働省に対し、当面の政策課題に関する要請を実施
要請書手交の様子
 連合は12月2日、伊原厚生労働事務次官に対し、当面の政策課題に関する要請を実施しました。

 冒頭、堀谷副会長が伊原事務次官に要請書を手交した後、「継続的な賃上げや長時間労働の是正など急務の課題に加え、少子高齢化や格差拡大などの構造課題に適切に対処し、誰もが安心・安全に暮らせる社会の実現が重要。雇用と暮らしを支える施策のさらなる充実が求められている。」と述べるとともに、以下3項目を中心に当面の政策課題に関する要請事項の説明を行いました。
(1)切れ目のない効率的な医療の提供体制の構築に向けた機能分化を進めるとともに、医療や介護、保育など社会保障サービスを担うすべての労働者の処遇改善を行うための財源の確保
(2)労働者のいのちと健康を守るとともに豊かな生活時間を確保する観点から、「働き方改革」の一層の前進をはかるべきであり、それに逆行する労働時間規制の緩和は行うべきではない
(3)最低賃金の地域間格差の是正や、労務費の価格転嫁ができる環境整備に向けた予算措置

 要請を受けた厚労省から、以下のとおり回答がありました。
(1)医療提供体制については、新たな地域医療構想を推進していく。医師偏在の是正については、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を策定し、関連法案を国会で審議中。医療分野の賃上げのために診療報酬に賃上げや物価高を適切に反映させるとともに、経営の改善や職員の処遇改善につながる措置を行う。
(2)働き方改革については一定の成果がみられる一方で過労死等、特に精神障害については非常に増えている。労働時間規制については様々な意見があるが、誰もが働きやすい労働環境の実現や、上限規制は過労死認定ラインであることなどを踏まえ、現場の働き方の実態やニーズを精査しつつ、検討を深めたい。
(3)地域別最低賃金については、今年度から賃上げ支援助成金パッケージを通して賃上げを支援している。来年度の概算要求においても必要な予算を要求するとともに、経済対策では業務改善助成金による賃上げに向けた環境整備の支援を盛りこんだ。また、地方版政労使会議などを通して中小企業等の生産性向上支援策や価格転嫁対策などの取り組みを周知してきた。引き続き関係省庁と連携して環境整備に取り組む。
 
 その後、要請項目に関連する意見交換を行いました。
 最後に、堀谷副会長から「要請した様々な項目は、いずれも国民が安心して日常生活を送るために重要な点である。連合内でも引き続き活発に意見交換を行ったうえで、意見提起を行ってまいりたい。」と述べました。
 これに対し、伊原事務次官は「経済や人口構造の状況含めて様々な課題があるなかで、よりよい働く現場や地域社会の構築のため、今まで以上に緊密に連携しながら政策課題に取り組んでいきたい。」と述べ、締めくくりました。