渡辺長官(右)に要請書を手交する清水事務局長(左)
連合は8月7日、こども家庭庁の渡辺由美子長官に対して、「2025年度 連合の重点政策」の中から、子ども・子育て支援政策に関する要請を行いました。
冒頭、清水秀行事務局長が渡辺長官に要請書を手交し、保育士、放課後児童支援員、調理師、事務員など保育施設で働くすべての労働者の処遇改善や、保育士の職員配置基準の改善などを要請しました。続いて佐保昌一総合政策推進局長より、保育現場の声を紹介したうえで、子どもの権利擁護の強化や、児童虐待の根絶に向けた児童相談所の体制強化などを要請しました。これに対し、渡辺長官より主に以下の回答がありました。
○子どもや家庭を取り巻く環境が変化し、物価高の状況下、こども未来戦略「加速化プラン」の完全実施と、こども性暴力防止法の施行に向け取り組みを進めている。
〇保育士の賃金は、人事院勧告を踏まえた改善が行われ、2024年度は約10%の改善が措置されたが、今後については、その財源など財政当局と協議しながら取り組んでいきたい。
〇現在「加速化プラン」において、職員配置基準の改善を進めるとともに、保育の質と職員配置基準の関係性を明らかにするための調査研究を行っていきたい。
〇また、子どもに直接関わらない業務で疲弊することのないよう、業務負担の軽減をはかることが重要。現在もICTの活用などを進めているが、さらなる導入と活用促進により、保育中の事故防止にも寄与することを期待している。
〇子どもの権利を守り、虐待を防止するための相談窓口はすでにあるが、子どもにその存在が十分に周知されていないと認識しており、子どもたちにとって相談しやすく、困りごとを拾い上げることができるような取り組みが必要。また、18歳から20代前半の雇用にも福祉にもつながっていない若者からの相談をどのように受けていくかについて有識者会議で検討を進めている。
〇こども誰でも通園制度は、虐待の一因となり得る親子の社会的孤立を防止するうえで重要な意義を持つ制度。これまで以上に多様な背景を持つ親子が保育施設を利用することが予想され、現場の負担が増える可能性も理解する一方、制度の目的を踏まえ、保護者への支援も行っていきたい。また、保護者への対応について保育施設に対するケアも必要だと考えている。行政による施設巡回や相談支援を通じて、マネジメントの助言や悩みの共有ができる場を設けるなど、ケア体制の構築を進めていきたい。
以上