2025年06月05日
最低賃金行政等に関する厚生労働省への要請行動
手交の様子
連合は6月3日、最低賃金行政等に関して厚生労働省へ要請を行いました。
清水事務局長から、「今年の春季生活闘争では、昨年に引き続き高い水準での妥結結果が組合から多く報告されている。各労使の真摯な議論により、賃上げの重要性、必要性に対する共通認識が広がりつつあるものと考えている。賃上げがあたりまえの社会をめざし、連合として全力で取り組む」と述べたうえで、「最低賃金は、社会全体に賃上げの流れを広げていくこと、労働組合のない企業で働く労働者へも確実に波及させるために欠かせない。最低賃金近傍で働く人の生活と安心を確保し、誰もが希望をもてる社会を目指し、最低賃金の確実な引き上げと、その履行確保を徹底されたい」として、要請書を手交しました。
■要請のポイント(要請書より抜粋)
【地域別最低賃金の水準について】
地域別最低賃金は、憲法第25条、労働基準法第1条、最低賃金法第1条を踏まえ、経済的自立を可能にし、人たるに値する生活を営む賃金水準とする必要がある。国際的な最低賃金の流れとして相対的な貧困水準(一般労働者の賃金中央値の60%など)が重視されていることも念頭におきつつ、中期的に大幅な水準引き上げをめざすこと。
【地域別最低賃金の早期発効に向けて】
最低賃金引き上げの早期発効は全労働者の利益である。そのため、中央最低賃金審議会への諮問、目安に関する小委員会の開催、および答申の日程設定は、10月1日を軸により早期の発効に最大限配慮すること。同時に、各地方労働局に対しても、中央最低賃金審議会の審議や答申の丁寧な周知とともに、早期発効の趣旨を踏まえた審議会運営がはかられるよう、指導を徹底すること。
【労務費の上昇分の適切な価格転嫁に向けた対応】
中小・零細企業においても最低賃金の引き上げが確実に行われるよう、労務費の上昇分が適切に取引価格に転嫁できる環境整備と中小企業・小規模事業者支援策の周知徹底について、関係省庁と連携をはかること。また、現在検討されている「中小企業・小規模事業者の賃金向上5か年計画」の施策パッケージについて、関係省庁や地方自治体などと連携しながら早急に実施すること。
業務改善助成金については、通常の事業の支払い能力を担保・向上させる観点で、安定的かつ十分な予算確保をはかること。また、申請手続きの簡素化や周知徹底をはかるなどして、より中小・零細事業者が活用しやすい環境を整備すること。
【特定(産業別)最低賃金について】
地方審議会において、公労使がその意義・目的を十分認識し、必要性審議も含め、当該産業労使がイニシアティブを発揮できる運営がなされるよう指導を徹底すること。
審議においてはデータに基づく議論を重視する観点で、労使双方から主張の根拠となる資料の提出を求めるなど、建設的な議論が行われる環境を整備するよう指導を徹底すること。
【家内労働、最低工賃について】
最低工賃新設・改正計画について、最低賃金の引上げ等の情勢に対し、より柔軟に対応するため、諮問サイクルのさらなる早期化を促すこと。
要請書を受け取った鰐淵厚生労働副大臣は、最低賃金に関する要請事項について「政府は2020年代に1500円という高い目標に向けて努力している。地域間格差についても課題認識を共有している」と述べ、「いろいろな方面からご意見をいただきながら、『中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画』を着実に実施していく。業務改善助成金についても十分な予算確保と周知の徹底に努める」と話されました。また、特定最低賃金についても、制度の主旨に則った運用となるよう、各労働局との連携をはかる」との発言がありました。
以 上