4月23日、「第33回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。
今回は、「人への投資・多様な人材の活躍」「スタートアップ、科学技術・イノベーション」について、構成員による意見交換が行われました。
連合からは芳野会長が出席し、意見書を提出したうえで、副業・兼業の推進、最低賃金、女性の活躍推進、スタートアップ支援、AIの活用について、以下のとおり意見表明を行いました。
<芳野会長の発言要旨>
〇「副業・兼業の推進」について、企業としても「長時間・過重労働」の懸念や、「本業
に集中してほしい」とする割合が非常に高く、実際に副業・兼業を行っている労働者
の多くは、「キャリア形成や起業」を意識するより、「生活費稼得のためにダブルワー
ク等を行っている」実態があり、副業・兼業と本業が合算されることで長時間労働に
つながるおそれがある。働き過ぎの防止と健康確保をはかるためには、割増賃金につ
いても労働時間の通算を堅持すべき。
〇「最低賃金」について、岸田前政権が掲げた目標の前倒しや、EU指令など国際的に
活用されているカイツ指標の参照について賛成する。そのうえで、毎年の引き上げ幅
は、最低賃金法に基づいた公労使による三者構成の最低賃金審 議会で議論を尽くす
べき。また、特定最低賃金の積極的な活用について、労働条件の改善に資する「人へ
の投資」を進めるためにも議論を深めるべきである。
〇「女性の活躍推進」に関して、若い女性の地方からの流出は、地方に根深く残るしき
たりやしがらみといった慣行・慣習が、女性に対し「こうあるべき」といった価値観
の押し付けが大きな要因である。「働き方・職場改革」だけでなく、学校段階から固
定的性別役割分担意識の払拭に向けた教育や男女共同参画政策を通じた社会意識への
働きかけなどが有機的に連携することが重要。
〇「スタートアップ支援」について、スタートアップ業界においては、起業家に対して
強い立場にある投資家や取引先などによるハラスメントが問題となっていることから、
支援の検討においては、起業家をハラスメントから守るための相談窓口の整備を含め
た施策の検討が必要不可欠である。
〇「AI」について、産業の発展と国際整合性を確保する観点から、国がAI関連技術
の研究開発や活用を促進することは理解できるが、生成AIは偽・誤情報の流布など
のほか、人事評価など労務管理に対するリスクが懸念される。今後、AIを安心・安
全に活用していくためにも、雇用・労働分野に対する適正な対応についても検討を深
めていただきたい。
以 上