社会保障審議会年金部会(第24回)が2024年12月24日(火)に開催され、「社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について」の議論が行われました。議論の結果、事務局提案の「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」に関する議論の整理への記載方法について最終的な調整を行うこととなり、部会長・事務局・委員との個別調整のうえで後日、取りまとめを行うこととなりました。なお、連合委員からの主な発言は以下の通りです。
記
1.社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
(連合委員)
〇各種調整をいただくなど、奮闘いただいた事務局に敬意を表したい。全体的な感想として適用拡大が前進に向けた方向性であることは評価したうえで、その他の項目も含めて3つのテーマに対して発言をさせていただく。
〇第3号被保険者制度について、「第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有した」として、継続的な議論を前提とした取りまとめが記載された。連合は年金部会において将来的な廃止の明示を求めてきた。このことからすると記載内容は充分ではないものの、少なくとも議論の必要性の点については年金部会として認識が共有できたものととらえている。
〇連合としては、働き方やライフスタイルなどが多様化する中で、配偶者の働き方などにより第3号被保険者に該当するかが決まる現行制度は、中立的な社会保険制度とはいえないことや、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つと指摘されてきたことなどもふまえ、就労を阻害せず働き方などに中立的な制度の構築に向けて、取り組みを今後行っていきたい。
〇また、他の委員からも質問もあり事務局から答弁もされているが、マクロ経済スライドによる給付調整の早期終了について、「マクロ経済スライドの早期終了の措置に関して、上記の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしての位置づけの下、さらに検討を深めるべきである。」という記載について、「経済が好調に推移しない場合」とはどういう場合であるのか、「備えとしての位置づけの下」とはどういうことか。「さらに検討を深めるべき」とあるが、いつ頃、どこで、どういった形で検討を深めるのかは、確認が必要と考えていた。
〇加えて、「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしてはマクロ経済スライドの早期終了の措置を講じることについて賛成の意見の方が多かった。」という記載について、年金部会の議論において「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとして」という説明はあったのか確認したい。
〇基礎年金水準上昇分への国庫負担がない場合の説明も含めて、こういう表現での文章を書き込むのであれば、あらためて年金部会の議題として事務局説明・提案を行い、各委員の意見を聞いてまとめるのが本来ではなかったかと考える。
〇障害年金について、第22回年金部会でも発言している通り、障害基礎年金の支給については障害厚生年金と同じ3級からとすべきと考えていることはお伝えしておきたい。
(連合委員)
〇数多くのテーマに対して丁寧な調整を行っていただいたことに感謝を申し上げたい。そのうえで、被用者保険の適用拡大および第3号被保険者制度に関して発言する。
〇被用者保険の適用拡大について、この間の年金部会において「労働時間要件が残り19時間近傍で調整する労働者が残ることに懸念があり、労働時間要件の撤廃を含め、今後も議論すべき」という意見を申し上げており、議論の整理において、労働時間で就業調整する者の存在を懸念し要件の撤廃も含めた議論の継続を求める意見があったことを記載いただいたことには感謝したい。今後は、年金部会でも取り上げられた課題を整理し、適用拡大をさらに前進させていく必要があると考えている。
〇また、議論の整理における「事業所への配慮等」では、「経営に与える影響を踏まえた経過措置や支援策による配慮、労務費等の事業主負担の価格への転嫁を求める意見も踏まえ、円滑な適用を進められる環境整備のため、準備期間の十分な確保、事業主や労働者への積極的な周知・広報、事務手続きや経営に関する支援に総合的に取り組むことが必要である」として、適用拡大にともなう事業所の負担・影響に対する支援の必要性が記載されている。今後、適用拡大をさらに検討していくにあたり、こうした観点もあわせて検討することが重要であることに触れておきたい。
○「第3号被保険者制度」について、今回の見直しの議論において「将来的・段階的な廃止」を打ち出すべきと申し上げてきた。今回、第3号被保険者制度について、「第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有した」とする取りまとめを記載いただいた。「国民的な議論の場」の詳細は今後に検討されるものと考えるが、可及的速やかにその場が設置され、議論において第3号被保険者の実態を明確にするとともに、議論が着実に前進することに期待したい。
以 上