フォーラムの様子
連合は、12月4日、東商渋沢ホールで、「2025春季生活闘争 格差是正フォーラム」を開催しました。本フォーラムには、454名(会場参加144名・WEB参加310名)が結集し、取引の適正化等により中小企業が賃上げしやすい環境整備の必要性を共有した上で、2025春季生活闘争で「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みを強力に推進していく決意を固めました。
冒頭、主催者あいさつに立った清水秀行 事務局長は、「価格転嫁・取引の適正化は道半ばであり、『労務費の転嫁指針』の公共サービス部門含めて周知と浸透が不可欠。連合は、定昇相当分を含め5%以上の賃上げと中小組合は格差是正分1%以上を加えて18,000円以上・6%以上を目安とする2025春季生活闘争方針を確立した。『賃金も物価も上がらない』という社会的規範、いわゆる“ノルム”を変えるまさにそのときだ。すべての働く人の持続的な生活向上をはかり、新たなステージを定着させることをめざし、一丸となって社会全体を巻き込みながら行動しよう」と述べました。
続いて、行政、経営者団体、労働組合(構成組織)それぞれから、中小企業における賃上げしやすい環境整備にかかわる取り組み報告がありました。
■講演1:取引適正化と価格転嫁促進に向けた取り組み
中小企業庁 鮫島大幸 取引課長より、中小企業の賃上げの現状、下請取引の適正化・価格転嫁対策などの情勢に触れたのち、2024年9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査結果を用いて、価格交渉ならびに価格転嫁の状況や価格転嫁の賃上げの関係などについてご報告いただきました。
また、連合から仁平総合政策推進局長が委員として参画している企業取引研究会(公取・中企庁)における議論状況に触れたうえで、円滑な価格転嫁のための取引環境の整備に関する取りまとめの方向性を披瀝し、共有しました。
■講演2:労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針について
公正取引委員会 亀井明紀 企業取引課長より、価格転嫁円滑化の取り組みに関する特別調査結果をご紹介いただいたうえで、下請法の勧告・指導件数等の推移や、最近の勧告事案の内容、業界への申し入れの例などについて共有しました。
■講演3:地方版政労使会議について
厚生労働省 篠崎拓也 賃金課長より、2023年度における地方版政労使会議の開催状況を共有いただきました。そのうえで、2024年度の地方版政労使会議の開催に向けては、主たるテーマを「賃金引上げ」とすること、各構成員の代表者の出席を調整すること、2025年1~2月を中心に集中的に開催すること、活発な意見交換のための統一資料の作成や会議運営の工夫などについて共有しました。
■講演4:中小企業における賃上げ・価格転嫁の現状と課題
日本商工会議所 清田素弘 産業政策第二部副部長より、足元の課題認識として、賃上げ・価格転嫁の推進、中小企業を取り巻く環境、中小企業の自発的・持続的な賃上げに向けた対応などについて共有しました。そのうえで、稼ぐ目的を明確化し労使一体で賃上げに取り組むことや、従業員の能力開発で利益拡大と賃上げの実現をめざすことについて意識合わせしました。
■講演5:「JAMの格差是正に向けた取り組み」
JAM 川野英樹 副書記長より、価格を認めあう社会へ実現本部のこれまでの取り組み状況を披瀝し、物価上昇分を適切に価格転嫁することは、政・労・使とも重大な課題であり、「まったなし」の事態であることを共有しました。そのうえで、2025春季生活闘争は「すべての単組が『価格転嫁』を進め、『持続可能なものづくりへ』の実現に向けて『ブレずに是正!』に取り組みを進めることを共有しました。
■講演6:運輸労連の格差是正に向けた取り組み
運輸労連 坂井俊文 中央書記次長より、トラック運送業の働き方をめぐる現状、トラックドライバーの働き方改、トラック運送業における価格交渉・転嫁の状況、荷主・元請けに対する指導・助言などについて、共有しました。そのうえで、「適正運賃・料金」の収受に取り組むことや、ドライバーがすべての労働時間に対して公正な賃金が支払われ十分な収入が得られることをめざす取り組みについて共有しました。
最後に、連合労働条件・中小労働委員会の神保政史 電機連合会長が、「講演の内容を振り返ったうえで、2025春季生活闘争に向けて、①労務費の価格転嫁を着実に進め賃上げできる環境を整えることの重要性、②パートナーシップ構築宣言のさらなる拡大と現場への浸透、③集団的労使関係の強化・構築と組織拡大を積極的に進め労働組合のないところにも連合運動のすそ野をひろげることなどを強調し、「みんなでつくろう!賃上げがあたりまえの社会!」のスローガンのもと、構成組織、地方連合会、連合本部一丸となって行動していきましょう」と呼びかけ、閉会しました。
〈連合アクション 12.4街頭アピール行動〉
フォーラム終了後、村上副事務局長の司会・進行のもと、松浦会長代行、櫻田副会長、安河内副会長、清水中央闘争事務局長を弁士として、有楽町マリオン前にて街頭アピール行動を実施しました。
2025春季生活闘争では、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡行軌道に乗せ、すべての働く人の持続的な生活向上をはかることが重要です。そのうえで、「賃金も物価も上がらない」という社会的規範(ノルム)を変えるのはまさに今であることをアピールしました。
また、組合づくりPRコーナーを設置し、「みんなでつくろう!はたらく仲間の労働組合」のスローガンのもと、組合づくりや労働相談など連合の取り組みをアピールしました。
以 上