2024年11月29日
芳野会長、「第1回新しい地方経済・生活環境創生会議」で意見表明
11月29日、「第1回新しい地方経済・生活環境創生会議」(議長:伊東地方創生相)が中央合同庁舎で開催されました。今回の会合では、「これまでの地方創生の成果と反省について」意見交換が行われました。
連合からは構成員として芳野会長が出席し、地方創生にかかる連合の取り組みの報告と、政府の地方創生の取り組みに対して意見表明しました。
<芳野会長発言要旨> (当日配布資料:別紙)
〇連合がめざす「働くことを軸とする安心社会」を実現する中で、生活と雇用の基盤となる「地域活性化の取り組み」は大変重要な課題である。こうした認識のもと、連合は、中小企業の経営基盤の強化と地域の活性化に向けた様々な取り組みをつなぐ土台である「笑顔と元気のプラットフォーム」を立ち上げ、地域フォーラムの開催や諸団体との意見交換、各種要請行動の実施、「産官学労金言」の幅広い関係者や市民と議論し、つながりを生かす活動を行ってきており、今後も地域の結節点となるべく活動を進めていく。
〇政府の「地方創生」の取り組みに対する意見として、47地方連合会と関係する構成組織へのヒアリングに基づき、4点に絞って申し述べる。
〇「地方創生交付金」について、現場からは、「子ども医療費の助成の充実や、地域ブランド定着推進事業の立ち上げなど、地域サービスの充実や魅力度向上を図ることで、人口の増加につながった事例がある」など地方創生を進める上で重要な財源であり評価するといった声がある一方で、運用面については、「施策事業が国からの財政支援要件に当てはまらず、市独自で進めた結果、財政がひっ迫している」「当初の計画が承認されると、その後、途中での変更ができない」といった声が寄せられている。市町村が行いたい事業と国が理想とする交付金事業のギャップが生じている可能性があり、今後、事業の採択要件や運用の条件緩和などを検討していく必要がある。
〇「人口減少」について、地方創生の進捗を「人口増」で評価しているが、日本の総人口の減少に歯止めがかからない中、現場からは「人口が増加した市町村があれば、人口が減少する市町村もあるわけで、人口の奪い合いをしているだけではないか。」といった意見が寄せられている。地方創生の進捗を測る上で、人口数に着目をするといった考え方は理解できるが、人口減少社会において、転入者数など人口数を指標としていくことには限界があり、人口数に代わる指標も検討していく必要がある。
〇「交通等のインフラ・サービス」について、現場からは、「人口・利用者減に伴った公共交通サービスの低下による経営への影響が、慢性的な人財確保の課題へ波及している。地域経済のみならず、住民サービスや、地方から大都市圏への人口流出にも大きく影響している。とりわけ、過疎地においては、高齢者の移動手段確保の課題から、運転免許証の返納にも影響がでており、安全面においても課題が顕在化している」との声が寄せられている。過疎地の移動手段を地方だけで解決するには財政上の課題があり、人口が東京に集中する要因の一つに公共交通網の充実があることを踏まえれば、全ての国民の住まいの選択と移動の自由を担保するためにも、地方創生の基盤である全国の公共交通のあり方については、財政面も含め、国が前面に立って検討していく必要がある。
〇「女性の地方からの流出」について、現場からは、「文系企業への就職を選ぶ女性が首都圏へ流出している。わが国さらには地域経済を支えるモノづくり産業に不可欠である女性の活躍に向けて、理系分野への女性の選択を国として支援するなど、女性技術者・研究者・技能者の育成を図る施策が必要ではないか」といった声が寄せられている。女性が地方から転出する理由は就職以外にも様々あるが、まずは働く場の魅力を向上させていくことが重要である。賃金や労働時間など労働条件の改善、女性が働きやすく子育てしやすい職場など、魅力ある職場を増やしていくことが重要である。なお、地方の支援策だけで雇用の場を創出するには限界があり、「地方創生」を大義に、関係省庁が連携して取り組む体制づくりなども検討していく必要がある。
以上