連合ニュース 2024年

 
2024年11月27日
「政労使の意見交換」が開催される
〜2025年春季労使交渉と最低賃金の今後の中期的引上げ方針について意見交換〜
 2024年11月26日午後、首相官邸で「政労使の意見交換」が開催された。
 連合から芳野会長、清水事務局長が出席し、芳野会長から、「賃上げの基盤整備と地域別最低賃金の中期目標について」意見表明を行なった。
 
<芳野会長の発言>
 芳野会長からは「賃上げの基盤整備と地域別最低賃金の中期目標について」意見を述べた。
〇2024春季生活闘争では33年ぶりの5%台の賃上げが実現したが生活が向上したと実感している人は少数にとどまり個人消費は低 迷している。物価高が家計を圧迫していることに加えて、中小企業や価格転嫁・適正取引が進んでいない産業などで働く多くの仲間にこの流れが十分に波及していないことも要因の一つである。
〇来年は、四半世紀に及ぶ慢性デフレに終止符を打ち、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せなければならない。政労使が力を合わせすべての働く人の持続的な生活向上をはかり、新たなステージをわが国に定着させることをめざす必要がある。この会議体等を通じ「賃金も物価も上がらない」というノルムを変え、生活向上が実感できる賃上げがあたりまえになる社会をめざしていく、という強いメッセージを発していくべきだと考える。
〇政府には、賃上げにむけた基盤整備を求めます。連合提出資料のP1の下に、労務費転嫁指針の周知徹底をはじめ、政府への要望を記載している。
・労務費転嫁指針の周知徹底と公的分野も含む適切な価格転嫁・適正取引の促進と、官公需の発注者の自治体についても、労務費の適切な転嫁を徹底し、自治体予算の編成時の財源確保
・パートナーシップ構築宣言の実効性とインセンティブ付与、賃上げした中小企業への支援策の強化
・賃上げ率の低い業種(運輸、宿泊、飲食サービス、医療、介護、福祉など)での政策対応の強化
・賃上げと適正な価格転嫁の機運を醸成する地方版政労使会議の効果的な実施
・物価や賃金が継続的に上昇する新たな時代に対応した下請法等の改正
・物価や為替レートの安定を含めた適切なマクロの経済社会運営、以上6点について取り組み強化をお願いする。
〇続いて最低賃金について、政府は「2030年代半ばまでに1,500円」という当初目標の根拠と、2020年台に前倒しした理由について、丁寧な説明をする必要がある。前倒しにあたっては、単に目標を掲げるだけではなく、最低賃金引上げに対応するための労務費を含む適正な価格転嫁と、最低賃金近傍で雇用している中小・小規模企業等への支援策を強化し、実現できる環境を整えることが不可欠である。一方、連合の考え方として、中期方針は労使の意見を踏まえて検討を進めていくべきであり、毎年の引き上げについては、最低賃金法の枠組みである、公労使による三者構成の審議会で議論すべきと考える。提出資料のP3に連合の最賃方針のシミュレーションを示しているが、中期目標として「一般労働者の賃金の中央値の6割水準」という方針を確認している。中央値が年率3%伸びるとすれば、2035年ごろに1,900円程度まで引き上げる必要があり、政府の「2030年代半ばまでに1,500円」の目標を前倒しすることは理解できるが、課題として地域間の額差縮小も必要である。
 
出席した閣僚から、それぞれ省庁の取り組みについて報告した。
<各大臣からの発言については、@RENGO参照 ※組織内留に注意>
 
石破首相は、最後に本日の意見交換を踏まえ次のように述べた。
〇本日は、労使の皆さま方と意見交換をさせていただき、物価を安定的に上回る賃上げを実現するためにも、来年の春季労使交渉において大幅な賃上げのご協力をお願いしたい。
〇最低賃金は、政府として2020年台に全国平均1,500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続け、今後も政労使の意見交換を開催し、官民あげて問題の深掘りや環境整備を図り、政府として関係閣僚と協力し最低賃金の引上げのための対応策を来春までに取りまとめる。 
以 上