要請書手交の様子
連合は、12月23日、法務大臣に対して、「2024年度 連合の重点政策」および法務省関連政策の要請を実施しました。
冒頭、清水事務局長が「組合員・生活者の声を集めて重点政策をまとめた。来年の国会審議では連合の政策を反映してほしい」と挨拶しました。鈴木法務大臣は「法務省は所掌分野が広く、来年も様々な課題が議論される。今後も示唆をもらいたい」と応じました。
その後、清水事務局長から鈴木大臣に要請書を手交し、連合側が主な要請内容(下記6項目)を説明しました。
○労働債権の優先順位を引き上げるとともに、労働債権の一部について、別除権(抵当・質権等)に優先させる制度(労働債権の特別な先取特権)を新たに創設する。
○手続きの透明性や国民への説明責任が担保された、国民にもわかりやすい刑事司法制度の実現に向けて更なる改革を推し進めるとともに、現行制度の運用の適正化をはかる。
○改正民法(家族法)施行までの間に、法が円滑に施行され、子の福祉を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁・関係機関が連携するための体制整備を行う。
○改正民法(家族法)施行までの間に、法の施行に伴い、税制、社会保障制度や社会福祉制度などにおいて子に不利益が生じることがないよう、関係府省庁・関係機関が連携して必要な対応を行う。
○改正民法(家族法)施行までの間に、子の権利利益の確保のための父母の責務の明確化などの法の趣旨および国会審議の内容や、関係府省庁・関係機関の連携による対応内容について、国民、地方公共団体、学校および病院をはじめとした現場への十分な周知や啓発活動を行う。
○改正民法(家族法)施行によりDV・虐待のある事案など多様な問題に対する判断が求められる家庭裁判所の人的・物的体制の強化や専門性向上を行う。
これらについて、法務省は「労働債権保護は、担保法制部会で審議されてきた。議論を踏まえた要綱案がまとめられるよう取り組む」、「取調べの録音・録画は、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会で議論が行われており、充実した議論が行われるよう努める」、「改正民法(家族法)が子の利益確保に資するよう『民法等改正法施行準備のための関係府省庁等連絡会議』で検討し、周知に取り組む。法務省として裁判所の取り組みに協力する」と回答しました。
意見交換では、連合が「労働債権の優先性について、倒産法制全体における見直し論議も早く行っていただきたい」、「事業再編時の労働者保護にも厚労省と連携して取り組んでいただきたい」、「保護者を親権で判断する高等学校等就学支援金などは、実態で判断する設計変更もありえる。連絡会議で検討してほしい」、「保育所の入退所申請書を両親自署が必要な様式に変更する自治体が出始めている。誤った法解釈が広まらないよう対応してほしい」と述べました。
これに対して法務省は「倒産法制全体で労働債権と租税債権との関係などを議論すべきとの意見は重く受け止める。要綱案のまとめに向けて歩みを止めず対応したい」、「連絡会議において高等学校等就学支援金が常に親権で判断するわけではないことを確認した。論点を整理して議論し、Q&Aを作りたい」「保育所の入退所申請書の両親自署は法が要求するものではない。行政上の取り扱いが正しい理解で進むことが重要。連絡会議の課題としたい」と回答しました。
最後に、清水事務局長が、再審制度の見直しやいわゆる闇バイトを摘発するための仮装身分捜査についての十分な説明も必要であると指摘して締めくくりました。