連合ニュース 2024年

 
2024年09月30日
地域を支える中小企業の基盤強化に向けた「公契約条例シンポジウム」を開催
~地域経済の好循環、地域と中小企業の活性化に向けて~
代表挨拶・清水事務局長
 連合は、9月30日に、地域を支える中小企業の基盤強化に向けた、「公契約条例シンポジウム」を開催し、構成組織・地方連合会などから、対面、オンライン合わせて約180名が参加しました。
 2008年に「公契約条例に関する連合の取り組み方針」を策定して以降、連合は構成組織、地方連合会と連携して条例制定の取り組みを進めています。本シンポジウムは、賃上げに向けた環境整備のためにも重要性が増している、労働条項の盛り込まれた公契約条例のさらなる拡大をめざして開催しました。
 
【連合 清水事務局長の挨拶】
 冒頭、清水事務局長は、「公契約条例は、公の事業である公契約により賃金や労働条件に下方圧力がかからないようにするILO94号条約が原点であり、その実現のためには、公契約条例により適正な賃金の支払いを保障することが必要」と述べました。
 また、「2025春季生活闘争においては、中小企業の賃上げと適正な価格転嫁が大きなカギとなり、自治体との取引比率が高い中小企業にとって公契約条例の重要性は増している。」と述べました。
 
【基調講演 東洋大学経営学部 山本聡 教授】
  基調講演では、東洋大学経営学部の山本教授から「地域中小企業の役割と公契約条例」と題し、東京都の中小企業基本条例制定に関わられた経験や、実際の小規模事業者のヒアリングなどを踏まえながら、日本の地域経済社会発展の担い手としての中小企業の役割や、下請、系列関係にある中小企業の意義と課題について講演いただきました。あわせて中小企業振興のための公契約条例の重要性についてお話いただきました。
 
【事例報告1 連合東京地域局 上本俊之 局長】
   連合東京・上本局長からは、連合東京の取り組みを交えながら、公契約条例の目的と効果、より具体的な仕組みについて、また「都内では連合東京の取り組みにより、17の条例中、16条例が労働条項型の条例となっている。全国においても、適正な賃金を担保できる「労働条項」が盛り込まれた公契約条例の制定を拡大していけるように実践していきたい。」とご報告いただきました。
 
【事例報告2 足立区総務部契約課 小口信一 課長】
 足立区の小口課長からは、足立区における公契約条例制定の経緯に加えて、条例の制定後に実施したアンケート調査を踏まえた条例の改正や、中小企業振興施策についてご報告いただきました。また、条約の制定後における、「事業者の事務負担軽減」や「労働者への周知強化」、「適用範囲の拡大」など、実効性を高める条例改定の取り組みについてお話いただきました。
 
【事例報告3 国土交通省不動産・建設経済局 蒔苗浩司 大臣官房審議官】
   国土交通省の蒔苗大臣官房審議官からは、建設業を取り巻く状況や、働き方改革の推進について報告を受けたのち、労働者の処遇確保を建築業者に義務化し、著しく低い労務費等による見積もりを禁止する建築業法等の改正についてご報告いただきました。
 
【連合 仁平総合政策推進局長のまとめ】
 まとめとして、仁平総合政策推進局長は「公契約条例の制定に向けた多くの関係者との連携の重要性」や、「2025春季生活闘争に向け、中小企業の賃上げのための公契約条例の重要性」、「適正な発注金額のための自治体予算の確保の重要性」などに触れ、最後に、「連合として、今後もあらゆる関係者と連携しながら、公契約条例や中小企業振興基本条例を制定し、地域経済の好循環の流れを作り出し、地域と中小企業を活性化していきたい。」と呼びかけ、締めくくりました。  
 
  • 【基調講演】東洋大学経営学部 山本聡 教授
  • 【報告1】連合東京地域局 上本俊之 局長
  • 【報告2】足立区総務部契約課 小口信一 課長
  • 【報告3】国交省 蒔苗浩司 大臣官房審議官
  • 【まとめ】総合政策推進局 仁平総合局長