連合ニュース 2024年

 
2024年04月26日
公正取引委員会に対し、「取引の適正化」実現に向けた要請を実施
労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知・徹底、遵守状況の調査、時代の変化に対応したルールづくりなど
要請書手交の様子
 連合は2024年4月26日、公正取引委員会に対し、2024年度連合の重点政策とあわせて、価格交渉促進月間(2023年3月)の効果検証と労務費の価格転嫁のルールづくり、および中小事業者等取引公正化推進アクションプランの着実な実践について要請を実施しました。
 
 冒頭、清水事務局長から古谷公正取引委員会委員長に「取引の適正化」実現に向けた要請書を手渡した後、以下のとおり挨拶した。
 
 〇日頃より連合の取り組みにご理解をいただき、感謝申し上げる。
 〇公正取引委員会には、2023年4月の要請に加えて、2023年9月にも労務費の転嫁の指
  針に関して要請させていただいた。
 〇連合は2024春季生活闘争において、4月18日に第4回回答集計結果を公表した。
  新たに回答を引き出した組合の8割近くを中小組合が占めるが、依然『賃上げの流
  れ』はしっかりと引き継がれており、2023を上回る賃上げ率を実現している。
 〇組合員の生活安定や「人への投資」と月例賃金にこだわった粘り強い交渉を行った
  成果と受け止めている。
 〇昨年11月に「労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表いただいたこと
  は大きな成果であると受け止めているが、指針を周知・徹底することとあわせて、
  下請法の改正も見据えた、より踏み込んだ対応が必要であると考えている。
 〇フリーランスも含めたすべての働く者・生活者の雇用と生活を守るため、サプライ
  チェーン全体の維持・確保に向けた事業者に対する支援の拡充など、公正取引委員会
  のより一層の取り組みの強化をお願いする。
 
 具体的な要請内容については仁平総合政策推進局長より、以下の3点を説明しました。
・労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知・徹底、遵守状況の調査
・業所管省庁との面的な広がりのある働きかけについて
・時代の変化に対応したルールづくりについて
 
要請を受けて、公正取引委員会・古谷委員長からは、以下のとおり、発言があった。
 〇連合の皆さまには日頃より当委員会の取り組みにご理解を頂き、感謝申し上げる。
 〇第4回回答集計結果では、2023を上回る賃上げの流れができていると承知している。
 〇中小企業の賃上げの原資確保に向けて、労務費指針の周知・徹底に努めているとこ
  ろであり、発注者・受注者それぞれの行動を促している。
 〇労務費指針による価格転嫁のフォローアップ調査について、本年5月頃から調査を開
  始し、年内に取りまとめることを考えている。
 〇面的なひろがりのある働きかけについて、業所管省庁がそれぞれ労務費の指針に沿っ
  た執行を進めている。『点』での執行も大事だが、『面』として適切な価格転嫁を
  関係省庁と緊密に連携して取り組む必要がある。
 〇時代の変化に対応したルールづくりは、まずは現行の枠組みで最大限の取り組みを
  進め、下請法・独禁法の執行強化に努める。手形が下請代金の支払手段として用いら
  れる場合、2024年11月1日からは業種を問わず60日以内に短縮する。また、下請
  代金支払遅延等防止法に関する運用基準の改正(案)について、4月1日から
  パブリックコメントで意見募集しているところである。
 〇これらの取り組みを進めたうえで、価格転嫁の円滑化に向けて実態を検証しながら、
  下請法改正の要否含めて検討を進めてまいりたい。
 〇適正な価格転嫁の実効性を高めるため、引き続き、連合の皆さまと連携しながら
  対応を進める。
 
 最後に清水事務局長は、「労働組合、生活者、消費者の立場から、良い製品や良いサービスには適正な値付けがされる。『労務費』という言葉も定着してきた。止まらない円安やエネルギー価格の高騰が続くなか、2024春季生活闘争の1回限りでは社会は変わりきらない。今後の中小組合の交渉や最低賃金の議論など、加盟組合の組合員からは先行きの見えない心配の声も聞こえており、公正取引委員会に向けられる期待も大きいと認識している。より一層の役割発揮をお願いしたい」と述べました。
 古谷委員長からは、「連合の皆さまと問題意識は共有しているところである。現場の声をお聞きしながら、関係機関とも連携のうえ、引き続き、取り組みを進めたい」と発言がありました。
 
以 上