連合ニュース 2024年

 
2024年04月16日
最低賃金行政等に関する厚生労働省への要請行動
賃上げの流れを継続する重要性について認識を共有
清水事務局長(左)と要請書を受け取る宮﨑副大臣(右)
 連合は4月16日、最低賃金行政等に関して厚生労働省へ要請を行いました。

 清水事務局長から、「各労使の真摯な議論により、賃上げの重要性、必要性に対する共通認識が広がりつつある。日本経済のステージ転換を実現する上で、今次の最低賃金審議は、社会全体に賃上げの流れを広げていくこと、労働組合のない企業で働く労働者へも確実に波及させるために欠かせないもの」と述べ、要請書を手交しました。
 

■要請のポイント
【地域別最低賃金の水準について】
 地域別最低賃金は、憲法第25条、労働基準法第1条、最低賃金法第1条を踏まえ、経済的自立を可能にし、人たるに値する生活を営む賃金水準とする必要がある。国際的な最低賃金の流れとして相対的な貧困水準(一般労働者の賃金中央値の60%など)が重視されていることも念頭におきつつ、中期的に大幅な水準引き上げをめざすこと。

【地域別最低賃金の早期発効に向けて】
 早期の最低賃金引き上げ発効が全労働者の利益であることを踏まえ、月日を軸に、より早期の発効に最大限配慮すること。各地方労働局に対しても、中央最低賃金審議会の審議や答申の丁寧な周知とともに、早期発効の趣旨を踏まえた審議会運営がはかられるよう、指導を徹底すること。

【労務費の上昇分の適切な価格転嫁に向けた対応】
 中小・零細企業においても最低賃金の引き上げが確実に行われるよう、労務費の上昇分が適切に取引価格に転嫁できる環境整備と中小企業・小規模事業者支援策の周知徹底について、関係省庁と連携をはかること。
 業務改善助成金については、通常の事業の支払い能力を担保・向上させる観点で、安定的かつ十分な予算確保をはかること。また、申請手続きの簡素化や周知徹底をはかるなどして、より中小・零細事業者が活用しやすい環境を整備すること。

【家内労働、最低工賃について】
 最低工賃新設・改正計画について、最低賃金の引上げ等の情勢に対し、より柔軟に対応するため、現状3年に一度の策定サイクルの見直しについて検討すること。
 

 要請書を受け取った宮﨑厚生労働副大臣は、最低賃金に関する要請事項について「まさに本日の国会審議でも総理から、可能な限り早く1,500円を達成するという趣旨での答弁があった。労使ともに納得できる審議会運営を前提に、その結果も、経済を豊かにし、希望を見出せるような最低賃金となるよう厚労省として努力したい」との発言がありました。その上で「全国各地で行われている地方版政労使会議では、地方連合会それぞれの会長から、非常に的確なご意見をいただいている。単発で終わらせるのではなく、継続して建設的な対話が行われるべきだと考えている」という点にも言及しました。
 なお、最低工賃に関する要請事項については「見逃されがちな観点であり、改定の頻度の課題も含め、社会の賃上げの流れから取り残してはならないということを改めて認識した」との発言がありました。

 最後に清水事務局長から「最低賃金に関する問題は、若年者も含めて自分事としての関心が非常に高まっている。『誰でも1,000円』を早期に達成した上で、連合として確認した中期目標『一般労働者の賃金中央値の6割水準』に到達できるよう全力で審議に臨む決意である。政府としても様々な側面支援を引き続きお願いしたい」と述べ、要請を終了しました。