共同宣言
連合は、2010年以降断続的に、派遣・請負労働者の処遇改善や派遣・請負事業の適正かつ健全な運営に向けて、一般社団法人日本人材派遣協会との間で、意見交換会や共同宣言の確認を行ってきました。
雇用・労働環境が大きく変化する中、すべての労働者の処遇改善など、安全・安心で、多様な働き方を実現する就業環境の整備と人への投資の重要性は一層増しています。そうした中、日本人材派遣協会、連合が各々の立場で、派遣労働者・有期雇用労働者が安心して働くことができる社会の構築に向け、取り組む課題などについて意見交換を行い、以下のとおり共同宣言を確認しましたのでご報告いたします。
一般社団法人日本人材派遣協会と日本労働組合総連合会との共同宣言
一般社団法人日本人材派遣協会(以下、「協会」という)と日本労働組合総連合会(以下、「連合」という)は、2010年以降断続的に協議の場を持ち、派遣労働者が安心して働くことのできる環境整備に向け、取り組むべき課題について意見交換を進めてきた。
超少子・高齢化の進展にともなう生産年齢人口の減少により、雇用・労働環境が大きく変化する中、高齢者や女性、障がい者などの就業促進、育児・介護に携わる人々をはじめとしたすべての労働者の処遇改善など、安全・安心で、多様な働き方を実現する就業環境の整備と人への投資の重要性は一層増している。また、賃金も物価も経済も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換をはかりつつある今、賃上げやリスキリング等を中心とする人への投資を一層積極的に進めることが重要であり、すべての働く人を視野に入れた社会全体での雇用と生活の安定を実現しなければならない。
そのため、「労務費の価格転嫁」が確実に行われ、賃上げに向けた適正な原資が確保されるよう、共に協力していかなければならない。
加えて、企業は、事業活動に関わるすべての労働者の多様性を尊重しなければならない。労働関係法令の遵守はもちろんのこと、労働者との対話を通じ、より働きやすい職場作りに取り組むことが求められる。
このような社会経済及び就業環境の急激な変化に対応するために三位一体の労働市場改革が示されたことを踏まえ、協会はリスキリングをはじめとしたキャリア形成支援や成長産業への労働移動の円滑化に関する取り組みなど、引き続き派遣社員の雇用の安定や処遇の向上に向けた取り組みを推進していく。
一方、連合は引き続きすべての働く人の雇用と生活の安定に全力を尽くすとともに、健全な労使関係のもと、均等・均衡処遇の実現、人材育成・能力開発などを通じた人への投資などにより、誰もが安心して働くことのできる環境の実現に向け、取り組みを推進していく。また、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などにかかわらず、誰もが多様性を認め合い、支え合う、公正な職場・社会の実現をめざす。
今後も協会は労働力の需給調整及びキャリア形成支援という共に重要な社会的機能を担う事業者団体として、連合は労働組合のナショナルセンターとして、相互の対話を深めつつ、労働者本位の視点に立った新しい働き方の確立を含め、上記で指摘した諸課題の解決や達成のための取り組みを実践し、誰もが安心して働くことができる社会の構築をめざし努力を重ねていく。
2024年4月12日
一般社団法人日本人材派遣協会
会 長 川崎 健一郎
日本労働組合総連合会
会 長 芳野 友子