連合ニュース 2024年

 
2024年03月26日
芳野会長が「第25回新しい資本主義実現会議」で意見表明
 3月26日、「第25回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。
 今回は、「デフレ状況の変化・金融環境変化に伴う新たな成長型経済を見据えた、需要制約経済から供給制約経済への移行に伴う課題と方向性」について、構成員による意見交換が行われました。
 連合からは芳野会長が出席し、意見書を提出したうえで、持続的な賃上げと政策面での後押しの重要性、事業再編における労働者保護の新たな仕組みの必要性について、以下のとおり意見表明を行いました。

<芳野会長の発言要旨>
○現在の局面は、需要と供給の両方に目配せして対応すべき時である。個人消費は3期連
 続のマイナス成長となっており、働く人の多くは生活向上を実感できていない。この春
 高い水準で賃上げのすそ野を広げるとともに、物価を上回る賃上げを社会に定着させて
 いく必要がある。多くの国民が、経済成長とともに、可処分所得が増加し、生活が向上
 する実感を伴う形で取り組んでいくことが肝要である。
 個人消費の拡大のためには、持続的な賃上げによって分厚い中間層を形成していくとと
 もに、政策面での後押しが重要である。政策面では、税と社会保障の抜本改革によって
 所得再分配機能を強化するとともに、国民負担率のあり方についても議論することがも
 はや不可避な状況である。今後の方針改訂にあたっては、これらを重要な論点とし、具
 体的な議論を深めていただきたい。

○M&Aや私的整理だけでなく、企業経営全般において、事業の維持・発展を推進するた
 めには、労働者による労働の寄与が何より重要であり、労働者が安心して働き続けられ
 る環境整備を進めるという観点が欠かせない。
 私的整理は、法的手続と異なり、裁判所が関与せず相手方との個別交渉などによって進
 められる。少ない費用や短期間で解決可能という利点が強調される一方で、会社による
 財産隠しや、特定の債権者による抜け駆けなど、手続きの透明性や関係者間の公平性が
 確保できない点は大きな問題であり、政府が推進すべきではない。
 事業再編等を円滑に進めていくためには労働組合や労働者の理解と協力が不可欠であり
 労働関係法令はもとより、会社法等を含めた総合的な労働者保護の新たな仕組みの構築
 こそが必要。厚生労働省の「事業譲渡等指針」の法令への格上げをはじめ、会社分割・
 事業譲渡・合併などあらゆる事業再編において、労働組合等への事前の情報提供や協議
 の義務づけ、労働契約の承継や解雇の制限などの制度の整備が極めて重要である。
以 上