連合ニュース 2024年

 
2024年03月06日
連合フォーラム政策勉強会 「子ども・子育て支援法等改正法案」を開催
 連合は3月5日、連合フォーラム政策勉強会「子ども・子育て支援法等改正法案」をオンラインで開催し、連合フォーラム議員および秘書、構成組織・地方連合会他124名が参加しました。

 冒頭、清水事務局長より、
「子どもや子育ては社会全体で支えることが大前提であり、必要な負担をすることに反対するものではありません。しかし、改正法案の「支援金制度」は、こども未来戦略会議などで連合がこれまで指摘してきた課題が山積したままとなっています。支援金によって可処分所得が減少すること、医療保険とあわせて徴収されることなどについて国民の納得や理解は得られていません。国会での徹底した審議を求めます。連合フォーラム議員の皆様とこれらの課題を共有し、希望する人が子どもを生み育てたいと思える環境整備や、保育の質の向上にむけた保育職員の処遇改善、すべての子どもの権利が守られ安心して生活できる社会の実現につなげていきたいと考えています。」
と挨拶しました。

 その後、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会の理事である立憲民主党 岡本あき子 議員と国民民主党 田中 健 議員より、国会審議に向け挨拶を頂きました。

立憲民主党 岡本あき子 議員

 子ども未来戦略方針で、野党が子ども・子育て政策として求めてきた一部が盛り込まれたことは評価しますが、あまりに遅すぎます。「異次元の少子化対策」と発言してから1年が経ち、出生数が驚愕の75万人となりました。待ったなしでやれることから速やかに実行すべきです。
 児童手当は、すべての子どもに15,000円を給付すべきで、第3子から増額という考えは時代に合っていません。また、不本意な非正規労働を無くしていくこと、賃上げをすること、若い世代に住宅も含めて支援し可処分所得を増やしていくこと、これらが前提になければならなりません。教育や学校給食の無償化もまだ具体的な案になっていませんし、保育士の配置基準の見直し、こども誰でも通園制度は一定評価しますが、体制整備が置いてけぼりです。
 支援金制度は、社会保険という意図から逸脱しています。支援金ではなく負担金、いわゆる増税です。岸田首相は「子ども一人あたりの家族関係支出の対GDP比が、加速化プランの3.6兆円の予算をつけるとスウェーデン並みになる」と所信演説で発言していましたが、国際的に使われたことのない独自の計算方法で算出したもので、予算をつけても数値は上がりますが、一方で少子化が進むほど数値があがる問題のある指標を使っていました。これも国民に対する誤魔化しです。支援金制度には大きな問題があり、異論なく賛同できる法案ではないため、党内で検討を進めています。
 
国民民主党 田中 健 議員

 子ども・子育て支援は、拡大や充実を求めてきたことから反対するものではありません。施策の詳細については言いたいところもあり、連合の指摘も参考にしたいと思います。児童手当の支給期間の延長に伴い、扶養控除の縮小や廃止が議論されていますが看過できるものではありません。児童手当とともに扶養控除を行い、子ども・子育て支援を充実させたいと考えています。
 支援金は、具体的な額や方針がいまだに示されず、ステルス増税という形で私たち働く仲間に大きな負担がかかる懸念があります。予算委員会で支援金の負担額が1,500円や2,000円もあるのではないかと指摘したところ、それを否定する答弁はありませんでした。
 医療保険は加入者である働く皆さんが保険料を負担したうえで、病気やケガになってしまった場合に一定の給付が行われ、また働くことや生活の安定がはかられるという社会保険制度です。しかし、給付と負担の関係があまりにも曖昧です。そして保険の賦課対象は給与や所得、つまり現役世代に偏るという傾向にあります。社会保険料負担が大きな課題となっている今、目的外の社会保険料の負担を増やすことは大きな疑問です。さらに、子ども・子育て支援特例公債は支援金以外にも充当できることから使途が広がりかねません。
 そして、子ども・子育て拠出金について、岸田首相は、「拠出金はあくまで企業側の負担であり雇用者は負担してきていない」と答弁しましたが、そもそも社会保険料から徴収していることから、法定福利費としても労働者の賃金からの徴収と言っても過言ではありません。この金額もこれまで5回増税し0.36%、総額6800億円です。これからダブルで医療保険に対して負担がかかることも大きな問題です。これらの課題について委員会で明らかにし、少子化対策に逆行してしまうことがないように取り組みを進めたいと考えています。

 佐保総合政策推進局長より法案に関する連合の考えを説明したのち、意見交換を行いました。

意見交換の概要(○:議員、●:連合)
○現役世代の負担が大きいことは非常に問題です。企業にとっても、子ども・子育て拠出金に加えて新たな負荷となり、中小零細企業では社会保険の負担が大きく雇用に影響が生じています。
●75歳未満で支援金の9割を負担するとの報道もあります。これから将来を考える若い世代が負担することで一層生活が厳しくなることを懸念しています。企業側の負担も重くなり雇用に影響が生じることも踏まえ、連合からも意見を発信するとともに、議員の皆様には国会における意見反映をお願いしたいと思います。