連合ニュース 2024年

 
2024年03月01日
院内集会「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」を開催
 3月1日、連合は、JAMや外国人技能実習生弁護士連絡会、外国人労働者の支援団体と共に、院内集会「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」を開催しました。
 
技能実習制度等の見直しに関しては、2023年11月30日に有識者会議の最終報告書が取りまとめられ、その後、本年2月9日には、政府が「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について(以下、政府方針)」を決定しました。その中では、育成就労制度の創設のほか、支援体制の強化等が盛り込まれた一方、人権侵害をはじめとした現行制度の問題解消には多くの課題が残されています。今回の院内集会は、これらの課題を共有すること等を目的に開催しました。なお、院内集会には国会議員23名を含む、103名が参加しました。
 
 最初に、外国人技能実習生問題弁護士連絡会の指宿共同代表より、政府方針についての説明があり、その後、連合の漆原労働法制局局長、移住者と連帯する全国ネットワークの鈴木共同代表理事、日本労働弁護団の佐々木幹事長より、政府方針に対する評価・課題等についてそれぞれの考え方が述べられました。
 
 連合の漆原労働法制局局長は、「今回の見直しでは、監理団体等の厳格化や『新たな会議体』の設置等、外国人労働者の保護強化に一定程度繋がる内容も含まれる一方、実効性確保への懸念が残る」「強く懸念があるのが育成就労制度の受入れ分野についてであり、政府方針の内容は、今回の法改正の趣旨にそぐわない安易かつなし崩し的な受入れ拡大にも繋がりかねないもの」「政府方針にある本人意向の転籍要件や『永住許可制度の適正化』については、見直しの柱である人権保護を骨抜きにもしかねない」などと述べました。
 
 次に、移住連の鈴木共同代表理事は、「新制度では問題を解決できない。人権侵害の実態を直視し、技能実習制度は廃止すべきである」「地域や受入れ機関、様々な利益団体への配慮により、労働者の権利保障を犠牲にすることはあってはならない。人材確保は、労働者・生活者としての外国人の権利が守られる受入れ制度を整備したうえで、地域政策、産業政策、雇用政策から検討することが必要である」などと訴えました。
 
 日本労働弁護団の佐々木幹事長は、「日本労働弁護団として強く問題意識を持っているのが、転籍制限と生活者としての外国人労働者の権利保護である」「転籍に関しては、労働者であるならば労働法が等しく適用されるべきであり、育成就労制度だから制限されるということであれば、真の改革にはならない。日本労働弁護団としては、真の意味での技能実習制度の廃止を求めている」などと述べました。
 
 続いて、技能実習生からの事例報告が行われ、強制帰国に関する悲痛な事案が紹介されました。
 
 その後、集会に参加した立憲民主党の石橋通宏参議院議員より挨拶が述べられました。石橋議員は「今回の見直しでは、技能実習制度の構造的問題は解決されず、看板の掛け替えになることへの強い懸念がある」「このままでは日本は外国人労働者から選ばれない国となってしまう。外国人労働者が希望を持ち続けられる制度にしなくてはならない。支援・協力をいただきながら、取り組んでいきたい」などと挨拶を述べました。
 
 最後に集会アピールを採択し、外国人労働者のいのちと権利を守る運動を強力に推し進めることを全員で確認し、閉会しました。
以上