連合ニュース 2023年

 
2023年12月11日
2024春季生活闘争格差是正フォーラムを開催
~中小企業が賃上げしやすい環境整備と労働組合の行動の必要性を認識共有~
フォーラムの様子
 連合は、12月7日、全電通労働会館で、「2024春季生活闘争 格差是正フォーラム」を開催しました。本フォーラムは昨年2023春季生活闘争に続いての開催し、367名(会場参加116名・WEB参加251名)が結集し、取引の適正化等の中小企業が賃上げしやすい環境整備の必要性を共有した上で、2024春季生活闘争で「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みを強力に推進していく決意を固めました。
 
 冒頭、主催者あいさつに立った清水秀行 事務局長は、「本フォーラムは昨年に続く開催となる。これまで歩みの遅れていた労務費の価格転嫁をいかに進められるかが2024春季生活闘争における最大のポイントである。先日の中央委員会で、定昇相当分を含め5%以上の賃上げや格差是正などに関する2024春季生活闘争方針を確立した。2023闘争は30年振りの賃上げでステージ転換へのターニングポイントになった。2024闘争は、経済も賃金も社会も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換する正念場であり、2023を上回る継続的な賃上げを実現しよう」と述べました。
 
 次いで、行政、経営者団体、労働組合(構成組織)より、中小企業における賃上げしやすい環境整備にかかわる取り組み報告がありました。
 
■講演1:取引適正化と価格転嫁促進に向けた取り組み
 中小企業庁 鮫島大幸 取引課長より、中小企業の賃上げの現状、賃上げの理由や原資、政労使の意見交換(11月15日)などの情勢に触れたのち、2023年9月の価格交渉促進月間フォロアップ調査を用いて、価格交渉ならびに価格転嫁の状況について報告いただきました。
 また、価格交渉状況の業種別ランキングに基づく公表資料の内容を説明いただきました。そのうえで、労務費の指針の周知の取り組みや下請かけこみ寺などの相談窓口に充実により、価格転嫁・取引適正化の推進について、共有しました。
 
■講演2:労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針について
 公正取引委員会 亀井明紀 企業取引課長より、労務費の転嫁の状況や特別調査における事業者からの指摘事項(項目別)を紹介いただいたうえで、11月29日に公表された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の内容を説明いただきました。今後の対応としては、指針の周知活動、公正な競争を阻害する場合の厳正な対処、情報提供フォームによる各種調査の展開などについて報告いただきました。
 
■講演3:中小企業における賃上げ・価格転嫁の現状と課題
 日本商工会議所 大下英和 産業政策第二部長より、足元の問題意識として、賃上げ・価格転嫁の推進として、雇用の7割を占める中小企業の賃上げを進めるため、労働組合の立場からも声を挙げて欲しいと呼びかけました。深刻な人手不足と賃上げ圧力の高まりのなか、業績改善が見られないが人財の流出を懸念した防衛的賃上げが約6割を占め、前向きな賃上げの割合を増やしていくことが課題であると述べました。
 そのうえで、中小企業の賃上げ推進に向けた課題、中小企業の自発的・持続的な賃上げに向けた課題認識を示し、「長年の停滞から抜け出し、成長へと転換する好機ととらえ、労使で粘り強く取り組みを進めよう」と呼びかけました。
 
■講演4:「JAMの格差是正に向けた取り組み」
 JAM 平野覚 労働・調査グループ長より、2023闘争の調査結果やJAMの「価値を認め合う社会へ」の実現に向けた取り組みなどを披瀝し、2024春季生活闘争は物価上昇に負けない賃上げを実現しなければならず、すべての単組が「持続可能なものづくりへ」をめざし、前年を上回る取り組みを着実に進めたうえで、賃上げの流れを中小・未組織で働く仲間へと波及させて必要があると述べました。
 
■講演5:有期・短時間・契約等労働者の処遇改善・格差是正の取り組み
 UAゼンセン 流通部門 桂義樹 副事務局長より、構成組織としての2023労働条件闘争の基本的考え方や賃金闘争結果の推移を披瀝したうえで、2023短時間組合員に関わる方針(流通部門)を紹介し、格差是正、均等・均衡待遇のこれまでの成果を報告しました。そのうえで、2024労働条件闘争の基本的考え方に触れ、格差是正が必要な場合は正社員組合員以上の要求を掲げ、人への投資・人財不足への対応として積極的に要求していくことを訴えました。
 
 最後に、連合労働条件・中小労働委員会の神保政史 電機連合委員長が、「講演の内容を振り返ったうえで、2024春季生活闘争に向けて、①労務費の価格転嫁を着実に進め賃上げできる環境を整えることの重要性、②パートナーシップ構築宣言のさらなる拡大と現場への浸透、③適正な価格転嫁のひろがりなどを強調し、「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」のスローガンのもと、構成組織、地方連合会、連合本部一丸となって行動していきましょう」と呼びかけ、閉会しました。                                                  以 上
             
  • 清水事務局長
  • 中小企業庁 鮫島課長
  • 公正取引委員会 亀井課長
  • 日本商工会議所 大下部長
  • JAM 平野グループ長
  • UAゼンセン 桂副事務局長
  • 神保委員長