要請書手交(清水事務局長ー西村環境大臣(左))
連合は9月12日、西村明宏環境大臣に対して、連合の重点政策に関する要請を実施しました。
要請では、清水事務局長から西村大臣に要請書を手交し(要請書は別紙参照)、挨拶において「気候変動対応やエネルギーのあり方、循環経済の構築など、対応すべき課題がある中、連合は「公正な移行」を大切にしている。G7気候・エネルギー・環境大臣会合やG20では、これがコミュニケに取り込まれてまとめられた。大臣のご尽力に敬意を表したい」と述べました。
西村大臣からは、主に以下の発言がありました。
〇 気候変動は喫緊の課題。ただし、その対応をめぐっては、先進国と途上国との間でスタンスの違いがある。日本としては、先進技術を海外に出していくことで、産業の競争力強化につなげ、経済成長と脱炭素の同時達成をめざしていく。
〇 国民が同じ意識を持ち、行動変容につなげるためにも、国民運動「デコ活」を立ち上げた。連合のみなさんにも協力をお願いしたい。
〇 循環経済の確立に向けて、政府が一丸となって進めていく。
連合からは、重点政策の要求項目である「脱炭素社会実現に向けた『公正な移行』の確保のための体制と必要な予算措置」のほか、健全な水循環の確立や化学物質のマネジメントにおける労働組合の参加などの要求項目について説明を行いました。
これに対して、関係統括官、局長から、主に以下の回答がありました。
〇 カーボンニュートラルに向けて、政府一丸となって取り組みを進める。環境省としては、「環境・経済・社会の統合的向上」を基本に、おもに成長分野への労働移動の円滑化、中核人材の育成やキャリアアップ、中小企業への移行支援などを通じて、「公正な移行」の具現化を後押しする。予算面では脱炭素先行地域に対する交付金を昨年度比1.5倍増の概算要求をしたところである。
〇 水は人類共通の財産であり、縦割りを排除すべく、内閣官房の政策本部で「水循環基本計画」の実施を進めている。環境省では、河川や地下水、さらに来年度から移管される水道を含め、リスク管理を一体的に行えるようになる。「基本計画」の進捗点検の中で、国交省や自治体と連携しつつ前に進める。
〇 今月末に予定されるSAICM(※)の新しい国際的取り決めの決定を受けて、わが国でも新たな国内実施計画づくりに着手する。検討段階からさまざまな主体に関わっていただく必要があると考えており、連合のみなさんにも参加をお願いしたい。
〇 経済・社会が変革するとき、想定していなかった事象が起こるものである。それでも産業や雇用を含む人々の安心・安全を守れる取り組みを進めたい。
最後に連合側から、「産業や地域の各段階で何が必要かを浮き出すためにも、政労使を含む『社会対話』を基本に進めてほしい」と発言しました。
以 上
- ※ SAICM(サイカム):「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」。国連環境計画(UNEP)による、SDGsに即した化学物質の製造、管理のあり方に関する国際的取り決めであり、2020年を年限とした現行計画が本年9月に改定される。国際レベルでは、労働組合も一当事者として策定に関与している。