連合ニュース 2023年

 
2023年08月23日
芳野会長、政府「第7回GX実行会議」で意見
~GX投資は、ディーセントな雇用創出につながることを要件とすべき~
 政府の「GX実行会議」(議長:岸田首相)の第7回会合が8月23日午後に首相官邸で開催され、連合から芳野友子会長が構成員として出席しました。今回の会合では、6月に施行された「GX推進法」にもとづいて7月に策定された「GX推進戦略」を受けて実施される、政府による先行投資やカーボンプライシングに関する具体的実施方策が中心課題となり、出席者から意見が述べられました。
 
 この会議において、芳野会長は次の意見を述べました。

〇 「投資促進策」は、「国内の人的拡大」では付加価値が高く、ディーセントな雇用創出につながるものを要件とすべきである。
 排出削減・産業競争力強化と同時実現をめざす経済成長の基盤は「人」であるため、付加価値と生産性の向上とともに高水準の処遇をともなわせるべきであり、構造的賃上げへの好循環形成の取り組みが必要である。
 専門家の知見を得つつ内閣官房のイニシアティブで具体化される「投資促進策」の検討では、雇用や地域経済への影響も判断材料とさせ、省庁の分野横断的体制に加えて、関係産業労使や地域関係者の意見を取り入れる社会対話も必要であり、ロードマップに「公正な移行」が反映されるよう期待する。

〇 移行コストについて、「カーボンプライシング」はGX推進法の附帯決議のとおり、詳細設計の検討には関係産業労使の意見を反映させ、関係諸税の整理などにより特定産業のみの負担とはせず、透明性・公平性を確保して国民全体でわかちあうことが必要である。そのため、S+3Eを前提として、国が前面に立って国民・企業・自治体に説明し理解を得ることが必要となる。
 消費者に向けては、コストが認識されつつグリーンな製品・サービスへの選好性を高めるための発信と誘導策を、また中小企業には「サプライチェーン全体のGX」に取り残されないよう、コストを適正に価格転嫁できる環境整備、新規事業への投資や地場雇用への目配せなどへの国・地域・サプライチェーンの協力による複合的支援体制をそれぞれ検討すべきである。
 
 会議の最後、岸田首相は次の点について述べました。

〇 GXに関する政策競争が加速化する中、成長志向型カーボンプライシング構想を迅速、効果的に実行するので、政府を挙げて取り組む。
〇 投資促進効果の高いカーボンプライシングを2026年度から本格稼働させるべく、今年度からGXリーグで排出量取引制度の試行を開始する。先行的取組に参画し、脱炭素と経済成長の両立に取り組む企業に思い切った投資促進策で応える。
〇 GX推進法によって単年度予算ではできなかった中期的な投資促進策に、政府がコミットできるようになったので、思い切った中期的な支援策と、値差支援制度や新規制の導入をパッケージにして、主要分野について提示する。
〇 国民が脱炭素に貢献し、家計の負担減にもつながるくらし関連部門のGXに、思い切った支援策を速やかに具体化する。
〇 日本経済の成長と安全を支えるものづくり産業のGXにリスクをとって先行投資を行う企業を強力に支援し、国際競争力のあるGXサプライチェーンを早急に立ち上げる。あわせて、GX製品が公正に評価されるよう、新たな規制・制度の導入を行う。
〇 GXを推進するための金融として、今年度内に国として世界で初めて発行する国際認証を受けたトランジション・ボンドを、アジアの脱炭素投資を視野に、民間トランジション・ファイナンスの活性化に向けて展開する。
〇 これらを分野別投資戦略と先行5か年のアクションプランとして、年末までに西村担当大臣ほか関係閣僚の連携で取りまとめてほしい。
以 上