連合ニュース 2023年

 
2023年07月07日
大島厚生労働事務次官に対し、連合の重点政策に関する要請を実施
要請書手交
 連合は7月6日、大島厚生労働事務次官に対し、「2023年度 連合の重点政策」に関する要請を実施しました。
 連合からは、清水事務局長、村上副事務局長、佐保総合政策推進局長、井上総合政策推進局長、冨高総合政策推進局長が出席しました。
 冒頭、清水事務局長が大島事務次官に要請書を手交した後、清水事務局長から「今回の要請項目は、国民の仕事と生活に直結する内容であり、来年度の予算編成や政策課題の解決に向けて、厚生労働行政にぜひとも反映いただきたい」と挨拶を行いました。大島事務次官からは「連合には様々な分野でご意見いただきながら、政策を実現できていることに感謝申し上げる。マイナンバーカードでご迷惑をおかけしているが、全省庁をあげて総点検を行っており、不安払拭に向けて取り組んでいく。」と述べました。
 その後、要請内容について厚生労働省から以下の回答がありました。
【技能実習制度及び特定技能制度の見直し】
●有識者会議の中間とりまとめでは、適正な受入れを通じ、外国人が能力を発揮できる社会の実現と、人手不足の緩和への寄与を明記したうえで、転籍制限の緩和や、特定技能の受入れ見込数や対象分野の設定プロセスの透明化を図ること等が示された。最終報告書のとりまとめに向け、厚労省としても関係省庁と連携して検討を行っていく。
【担保法制の見直し】
●法制審での一般先取特権と譲渡担保権の優劣関係の議論を注視。事業再編は労使コミュニケーションや労働者保護が重要課題だが態様は様々。再編内容や雇用・労働条件等を労働組合に一律で事前提供することの義務付けは慎重な検討が必要。
【雇用調整助成金関連】
●雇調金はセーフティネット機能を堅持しつつ、教育訓練を企業が選択しやすい助成内容に見直す。産雇金は在籍型出向等の支援制度として適切に運用する。雇用保険財政は厳しいが、機動的な一般会計繰入を含め財政の安定的運営を確保したい。
【人への投資】
●雇用形態等にかかわらず、誰もが主体的に能力向上を図れる支援が重要。企業の新規事業従事者へのリスキリング支援や教育訓練給付対象を拡充。中小企業等の支援に向け、ガイドライン周知や関係機関による人材育成支援等に引き続き取り組む。
【ハラスメント対策、性的指向・性自認差別への対応】
●ILO第190号条約の趣旨は概ね妥当。批准については国内法制との整合性の観点から検討が必要。労働施策総合推進法改正により、中小企業もパワハラ防止措置が義務化された。改正法および指針の周知啓発、履行確保に取り組む。また、附帯決議等も踏まえ、今後、施行状況調査や諸外国の動向を把握し、対応を検討。
【非正規雇用で働く女性やDV等により困窮した女性への支援】
●困難女性支援法の基本方針において効果的支援を行うための考え方や施策を示している。相談員の確保や質の向上等の支援体制強化に加え、アウトリーチ支援、緊急時の一時保護や居住し保護を受けられる施設利用に向けた援助も進める。
【第5次男女共同参画基本計画】
●女性活躍推進法に基づく事業主行動計画策定や「男女の賃金の差異」を含む情報公表を事業主が確実に履行するよう、助言・指導を徹底。女性活躍の課題分析や一層の促進に向けた取り組みを支援し、女性参画の拡大、早期目標達成をめざす。
【生活困窮者や多様な課題を抱える人への支援】
●生活困窮者自立支援制度見直しに向け、関係機関の人員体制・機能強化を検討。ヤングケアラー等の支援は重層的支援体制整備事業で自治体の財政支援や後方支援を推進。住居確保給付金・職業訓練受講給付金の併給等の特例の一部恒久化する。
【質の高い介護保険サービス】
●次期介護報酬改定は社保審の議論を踏まえ、在宅サービス充実のために必要な取組を検討。地域包括支援センターの負担軽減や体制整備のほか、介護人材確保に向けた処遇改善等は重要であり、収入を3%程度引き上げる加算措置の効果を検証する。
【社会保険の適用拡大・基礎年金の給付水準底上げ】
●短時間労働者の被用者保険への適用拡大に向けて、企業規模要件撤廃や非適用業種の解消など検討を進める。公的年金は老後生活の基本を支える役割を果たせるよう機能強化をはかる。年金法次期改正に向け、検討規程等を踏まえて議論を進める。

その後、要請項目に関連する意見交換を行いました。
 最後に、清水事務局長が「多岐にわたって要請・意見交換させていただいたが、様々な課題が山積しており、課題解決に向けて一緒に取り組んでいきたい」と述べました。これに対して、大島事務次官が「今後もご意見いただきながら、連携して取組を前進させていきたい」と締めくくりました。