連合ニュース 2023年

 
2023年06月28日
芳野会長、政府「第6回GX実行会議」で意見表明
「わが国のグリーントランスフォーメーション実現に向けて」について発言
 政府の「GX実行会議」(議長:岸田首相)の第6回会合が6月27日午前に首相官邸で開催され、連合から芳野友子会長が構成員として出席しました。今回の会合では、「わが国のグリーントランスフォーメーション実現に向けて」が議題となり、「GX推進法」にもとづき策定される「GX推進戦略」とその実施について、またGXへの投資の方向性などをめぐって、出席者から意見が述べられました。
 
 この会議において、芳野会長は次の意見を述べました。
・「公正な移行」の実現に向けては、GXの推進は産業構造・地域経済・労働者への影響が大きいことから、分野横断的な課題を深掘りする省庁横断的体制と政労使の社会対話の枠組みの構築によって、「公正な移行」の「今後の道行き」の具体的検討を行う場の早急な設置を求めたい。
・G7気候・エネ・環境大臣会合の成果文書で言及されているILO「公正な移行に関するガイドライン」の取り扱いが議論された6月のILO総会では、産業政策と労働者保護との連動や政労使三者の社会対話の重要性が確認された。今後、わが国でも対応が求められる。
・カーボンプライシングは、GX推進法の附帯決議のとおり、詳細設計の検討には関係産業の労働者の声を取り入れるとともに、国民の負担について明解な発信を行うなど、理解促進に努めるべき。
・中小企業に対する支援について、GXによる産業構造転換にともなう中小企業労働者の「失業なき労働移動」の実現のため、サプライチェーンにおける事業の予見可能性を高めるとともに、新規事業に対する国からの投資支援や地場企業の雇用に対する目配せなど、国・地域・サプライチェーンが協力し、複合的な支援ができる体制を検討すべき。
 
 会議の最後、岸田首相からは次の点について述べられました。
・GXについて、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化によって10年間で150兆円の投資目標を掲げ、そのための基本方針を議論していただきGX2法の成立に至った。本会議の委員の協力に感謝する。
・今後は、各国のGXの動きに照らした基本方針の不断の見直しとともに政策内容や実現スピードの評価、点検の議論に期待する。
・世界ではGX政策競争が加速しており、米では生産量に比例した政府支援を打ち出し、有志国に対する新たなルールを提唱した。EUでは官民総計140兆円の支援やETSの安定運用を踏まえ炭素価格の国境調整が秋から開始される。日本においても政策競争に参加する基盤ができたので、強みを活かし、先行する政策展開をはかる。
・トランジション・ファイナンスでは、GX経済移行債に対して国際認証を得る準備が進んでいる。また、すでに排出権取引が進む韓国とは知見共有の場を立ち上げる。
・再エネ、水素、蓄電池、次世代革新炉などは、前例にとらわれない税制などの支援によって先行投資のリスク低減をはかる。
・GXは成長戦略の中核でもあり、経済安全保障上も大きな役割を果たしている。先送りは許されない。西村GX担当大臣を中心に関係府省庁が連携して大胆な政策の具体化に挑戦してほしい。
以 上