連合ニュース 2023年

 
2023年06月19日
「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」集会
外国人労働者受入れ制度を考えるシンポジウム  -技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する 有識者会議中間報告書を受けて- を開催
 6月16日、連合は、JAMや外国人技能実習生弁護士連絡会、外国人労働者の支援団体と共に、外国人労働者受入れ制度を考えるシンポジウム-技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議中間報告書を受けて-を開催しました。
 外国人技能実習制度および特定技能制度の見直しについて、入管庁に設置された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(以下有識者会議)において、5月11日に中間報告書が取りまとめられました。本シンポジウムは、この中間報告書に対する各団体の評価や見直しに向けた課題等について共有し、制度の改善に向けた世論喚起を図ることを目的とし、開催したものです。なお、シンポジウムには国会議員11名を含む、105名が参加しました。
 
 冒頭、集会に参加した立憲民主党の石橋通宏参議院議員より「技能実習制度は廃止し、外国人労働者が安心して働ける制度を作っていく必要がある。中間報告書の方向性では、看板の掛け替えただけとなる懸念があり、抜本的な見直しが必要である」などと挨拶が述べられました。
 
 続いて、パネルディスカッションが行われました。連合の漆原労働法制局局長、移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井共同代表理事、日本労働弁護団の佐々木幹事長より、①中間報告書における技能実習制度廃止と新たな制度の創設、②特定技能制度の課題、③外国人労働者受入れ制度をどう考えるかについて、それぞれの考え方が述べられました。
 
 連合の漆原労働法制局局長は、「①技能実習制度の抜本的見直しには監理団体などの厳格化や、人材育成と処遇向上を担保する仕組み、制度の決定プロセスの在り方や対象職種の在り方等、課題は山積している。特定技能と併せ、見直しを実効的なものとするため、今後丁寧な議論が必要である」「②特定技能制度に関しては、労働相談内容等を踏まえれば課題も多く見直しが必要。登録支援機関の適正化・厳格化と、国による一元的な監督機関の設置などを通じて制度適正化に向け全体の底上げを図ることや、業所管省庁の取り組み強化について丁寧な議論が必要」「③生活者としての支援も重要。外国人労働者の受入れについて国民的議論を行うことや政府としての外国人労働者の受入れの基本的考え方の策定、また外国人政策全般について継続的に議論を行う場を設けることが必要」などと述べました。
 
 鳥井共同代表理事は、「①技能実習制度について、廃止をまやかしに終わらせるのではなく、「奴隷労働構造の根絶する」ということに尽きる。これまでの技能実習制度では人材育成はなされなかったことを受け止め、事業者や地域社会、産業等のニーズを踏まえた制度構築が必要」「②特定技能制度は、労働者の権利が守られていない。労働者が声を上げて権利を主張でき、労働法適用が担保されるようにすることが重要」「③外国人労働者にとっては、賃金だけでなく職場の居心地等も重要な要素である。政府は外国人労働者を取り巻く実態を直視し、産業政策や雇用政策の観点を踏まえ、見直しを行うことが必要だ。」などと訴えました。
 
 佐々木幹事長は、「①中間報告書で技能実習制度を廃止としている点は評価するが、現行制度の問題が解決されるかが課題。技能実習制度の最大の問題は、人権侵害等の根源となっている転籍不可の仕組みであり、新たな制度の目的「人材育成」と併せて検討が必要。また中間搾取の問題の解消も重要」「②人権の観点から家族帯同が認められないことは問題。受入れているのは労働力でなく人間なのだということが重要な視点」「③人口減少を踏まえれば、外国人労働者の受入れは不可避。相談体制を含め受入れる環境整備が先決であり、そのうえで制度見直しが適切に行われるべき」などと述べました。
 
 最後に、指宿弁護士は「見直しはこれからが正念場である。本シンポジウムを皮切りに、支援団体等が一体となって見直しに向け取り組んでいきたい」などと述べ、閉会しました。
 
以 上