連合ニュース 2023年

 
2023年06月15日
参議院内閣委員会でLGBT理解増進法案の審議・参考人質疑が行われる
井上総合政策推進局長が参考人として答弁
答弁する井上総合政策推進局長
 6月15日10時から開催の参議院内閣委員会において、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(LGBT理解増進法案)の審議および参考人質疑が行われ、連合の井上総合政策推進局長が参考人として答弁を行いました。質疑では打越さく良議員(立憲民主党)、上田清司議員(国民民主党)他が質問を行いました。
 その後、採決が行われ、賛成多数により可決しました。

 主な質疑内容は以下のとおりです。

 打越議員は、①「不当な差別」という文言への変更、②「民間団体等の自発的な活動の促進」が削除されたこと、③運用指針の策定について、④ジェンダー平等の取り組みに逆行する懸念等について質問しました。
 井上総合政策推進局長は、①不当であるという判断は誰がするのか、また不当でない差別とはどのようなものか、多くの矛盾がある。理解増進にすら逆行することを懸念、②民間団体の自発的な活動を公的権力によって抑制しないかを懸念、③運用指針の策定、見直しは当事者を含めた関係者が参画し、検討すべき、④すべての企業が人権に配慮した取り組みを講ずるべきであり、人権上のリスクを洗い出してそれを予防する「人権デュー・デリジェンス」の実施が求められている。国会には、企業の成長を促す立法措置や法律の運用を徹底してほしい、と答弁しました。

 上田議員は、①本法案の意義、②配慮が必要な場面、③今後必要なこと、④「ジェンダーアイデンティティ」の文言、⑤国が策定する運用指針策定、期間などについて質問しました。
 LGBT当事者である細田智也参考人は、①内容として不足がないわけではないが、一歩前進するもの、②家庭、学校、職場など様々な場面での配慮が必要。トイレや更衣室、健康診断、制服の着用など困ることは多い、③思いやりだけでは差別はなくならない。方策としては差別禁止の法制化が求められるが、まずは理解増進を進めてほしい、と答弁しました。
 斎藤アレックス議員(国民民主党)は、④性自認と性同一性での対立を廃し、原語であるジェンダーアイデンティティとするのが適当、と答弁しました。
 小倉將信内閣府特命担当大臣は、⑤運用指針は、地方の取り組みを阻害するものではなく、国の方針を策定することで、対応の方向性を定めるもの。本法案が成立した際には、まずは内閣府において速やかに体制を構築し、適切に対応したい、と答弁しました。

 本法案は、明日の参議院本会議において、採択される見込みです。
以 上