連合ニュース 2023年

 
2023年05月25日
「労働協約の地域的拡張適用の取り組みと今後に向けての課題」 シンポジウムを開催
会場風景
 連合は5月24日、シンポジウム「労働協約の地域的拡張適用の取り組みと今後に向けての課題」を開催し、構成組織・地方連合会・マスコミ等から約130名が参加しました。
 
 冒頭、主催者を代表し、村上副事務局長は、「組織化のさらなる推進と未組織労働者を含めて企業横断的に労働条件を高める有効な方策の一つが『労働協約の地域的拡張適用』。シンポジウムを通じて、制度の概要や意義を共有し、各産業や地域でどのような取り組みができるか一緒に考える機会にしたい」と述べました。

 講演では、労働協約の地域的拡張適用に関する第一人者である古川景一弁護士より、制度概要や手続き、歴史的経緯についてご説明いただくとともに、目的や存在意義等について法律学的視点・労働運動の視点・国民経済的視点から検討を行っていただきました。また、「連合や産業別組合には、労働協約の内容を共有しながら、拡張適用をはじめ労働条件を引き上げていく取り組みを期待したい」旨の激励をいただきました。
 
 その後、構成組織から2つの事例報告を行っていただきました。
 最初に、UAゼンセンの西尾副書記長より、32年ぶりに労働協約の地域的拡張適用がなされ、大型家電量販店における無期フルタイム労働者の年間所定休日数の最低日数を111日以上と定める労働協約が茨城県全域で適用されていること、さらに本年6月から北東北3県全域で適用されるまでの一連の取り組みと拡張適用の意義について報告されました。
 続いて、自治労福岡県本部の坂田副執行委員長より、福岡市の水道検針員について、東部・中部・西部のブロック毎に受託業者・労働条件が異なる現状にあるなかで、市内全域で①1時間当たりの賃金下限額の設定、②裁判員休暇の有給化、③労働保険・社会保険に関する権利の確認の3点について、労働協約の地域的拡張適用を申立て、適用の決定に向けて連合中央オルガナイザーとともに取り組みを続けていることが報告されました。
 
 その後、労委労協の山本事務局長より、労働側委員の立場から労働協約の地域的拡張の意義や目的、使用者側にとってのメリット、今回の事例が社会的にも広がっていく可能性や組織化による健全な労使関係を構築することの重要性についてご説明いただきました。
 
 最後に、閉会挨拶において山根木副事務局長は、「カバー率75%を地域や業種で探すと、可能性がある案件がさらに出てくるのではないか。公正競争を促すことは労使双方にとって意義があり、さらに組織化につなげることは好循環を生む取り組みになる。さらなる実践につなげ、取り組みをひろげていこう」と今後の取り組みに対する決意を述べて、シンポジウムを終了しました。
 
  • 古川景一弁護士
  • UAゼンセン 西尾副書記長
  • 自治労福岡県本部 坂田副執行委員長
  • 労委労協 山本事務局長