連合ニュース 2023年

 
2023年05月23日
こども未来戦略会議(第4回)に芳野会長が出席
子ども・子育て支援を強化する「加速化プラン」の財源を議論
 政府は5月22日、「こども未来戦略会議」(議長・岸田首相)の4回目の会合を首相官邸で開き、子ども・子育て政策を強化するために、今後3年間で集中的に取り組むとした「加速化プラン」に必要な財源について議論した。岸田首相は財源確保策について、「消費税を含めた新たな税負担は考えていない」と強調したうえで、企業を含めた社会全体で連帯し、公平な立場で広く支援する「新たな枠組み」を検討し、結論を出す考えを示した。
 
 この日の会合で、連合の芳野会長は意見書を提出するとともに、以下のとおり発言した。
 
<芳野会長の発言要旨>
○まずもって、子育て世代はもちろん、社会でくらす誰もが子どもと関わることを楽しみ、将来子育てを担う世代が、子どもを生み育てたいと思うような社会意識を醸成することが必要だ。
○将来子育てを担う世代は、子育てしている世代を見ている。長時間労働や雇用形態間で処遇格差があるような就業環境で、子どもを生み育てたいと感じるだろうか。子育て世代を含むすべての世代の働き方を見直し、職場環境、就業環境の改善をはかり、誰もが安心して働き続けられる社会を構築することこそ重要だ。
○「加速化プラン」の効果についても、出生した子どもの人数で判断することのないよう注意が必要だ。
○さらに、家庭で生活できない子どもや障がいのある子どもらへの支援も強化し、子ども一人ひとりの権利が守られ、健やかに成長できる環境の整備を推進することも重要だ。
○雇用保険による育児休業給付制度については、これまでの累次の改正により、失業の回避など「労働者の就労継続の支援」という雇用保険制度の本来の目的から広がりつつあるのではないか。少子化対策としての要請や、子どもや子育てを社会全体で支えるという観点から、雇用保険被保険者のみがその負担を担うことも問題であり、将来的には負担のあり方を見直し、雇用保険財政から切り離すことも勘案すべき。
○育児休業給付の給付率の引き上げ、時短勤務時の給付の創設などについては、失業等給付とのバランスや給付の対象とならない者との公平性などの観点から、慎重に検討する必要がある。その財源についても、子ども・子育て政策の強化を目的とすることに鑑み、国庫負担とすることを念頭に置くべき。
○財源については、国民が広く負担し合うとの考え方に立ち、税や財政の見直しなど、幅広い財源確保策を検討すべき。2023春季生活闘争の賃上げの流れを次年度以降にしっかりつなげることが必要であり、賃上げに水を差すことのないようにすべき。
 
 また、岸田首相は会議の締めくくりで、以下のとおり述べた。
<岸田首相の発言要旨>
○皆様のご意見も踏まえ、財源について4つの方向性を示す。なお、大前提として、少子化対策財源確保のための消費税を含めた新たな税負担については考えていない。
○第1に、何よりも徹底した歳出改革による財源確保をはかること。加速化プランを支える財源については、国民的な理解が重要であり、全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取り組みを徹底するほか、既定予算を最大限活用する。
○第2に、こうした歳出改革の徹底等により、国民の実質的な負担を最大限抑制すること。
○第3に、経済活性化、経済成長への取り組みを先行させること。ポストコロナの活力ある経済社会に向け、新しい資本主義の下で取り組んでいる、持続的で構造的な賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取り組みを先行させ、経済基盤と財源基盤を確固たるものにする。
○第4に、2030年までの少子化対策のラストチャンスを逃さないこと。安定財源確保に向けた歳出改革の積み上げ等や、賃上げ・投資促進等の取り組みには複数年を要するが、強化された少子化対策はそれを待つことなく、前倒しで速やかに実行に移す。
○こうした4つの方向性にもとづき、企業を含め社会・経済の参加者全体が連帯し、公平な立場で子育て世帯を広く支援する新たな枠組みについて、与党の意見も踏まえつつ、具体的に検討し、結論を出す必要がある。
○次回の会議では、これまでの議論も踏まえて、次元の異なる少子化対策を実行に移すための「こども未来戦略方針」の素案を示し、議論をお願いする。
以 上