連合ニュース 2023年

 
2023年04月30日
第94回メーデー中央大会を開催
~支え合い・助け合う社会をつくり、くらしをまもる! 笑顔あふれる未来をめざし 力を合わせ、ともに進もう!~
芳野 友子 メーデー中央実行委員長
 4月29日(土・祝)、第94回メーデー中央大会を東京・代々木公園において開催しました。4年ぶりに参加者数に制限を設けない形で開催し、28,500人の働く仲間やその家族などが一堂に会し、労働条件の改善、人権の確立、平和への想いなど共有しました。また、出展エリアでは、70以上の団体が活動紹介や物品販売などを行ったほか、子どもイベントや献血活動、プロ野球選手会の協力によるキャッチボール教室・スピードガン体験なども行われました。また、特設コーナーでは、「トルコ・シリア地震救援カンパ」、「食料・文房具の寄付受付」、「フリーランスのイラストレーターによるチャリティー似顔絵コーナー」を実施しました。
 
 中央式典は、杉浦賢次中央実行副委員長(連合東京会長)による開会宣言で始まり、芳野友子中央実行委員長(連合会長)が主催者を代表して挨拶しました。芳野中央実行委員長は、2023春季生活闘争において30年ぶりの高水準での賃金改善が行われたことに触れ、「世の中全体で「給料があがった」「生活が楽になった」と感じるためには、労働者の7割が働く中小企業で賃上げが行われなければならない。現在も交渉中の組合の皆さんには、最後の最後まで賃上げにこだわった交渉をお願いする」と述べました。また、5月のG7サミットに向けて、L7サミットを4月初めに開催したことに触れた上で、「世界が不安定なときこそ様々な課題を解決に導くため、労働組合は、企業や政府などとも意見の違いやアプローチの違いを乗り越えてハート・トゥ・ハートで話し合うこと(社会対話)が必要だと確認し合った。皆さんにもこの社会対話の大切さ、重要さを改めて考えていただきたい」と語りました。さらに、多様性が尊重される世の中の必要性を訴え、「メーデー・スローガンに掲げた「支え合い・助け合う社会」「笑顔あふれる未来」を実現するため、働く仲間の思いを一つに、連帯してともに進んで行きましょう。」と呼びかけました。
 
 来賓挨拶では、政府を代表して岸田文雄内閣総理大臣が「賃上げの機運を何としても盛り上げたいという思いで本日参加させて頂いた。新しい資本主義の最重要課題は賃上げである。今年の春闘では力強いうねりが生まれており、そのうねりを地方、中小へ波及させるべく全力を尽くす。さらに、この賃上げを構造的に持続させていくべく、リスキリングによる能力向上、企業実態に応じた職務給導入、成長分野への労働移動の三位一体の改革を進める。賃上げ、海外投資、インバウンド、新しい資本主義を力強く前に進め、日本経済を一段高い成長経路に乗せる。総理就任以来、我々は歴史的転換点にあり、乗り越えるためには人への投資が重要だと訴えてきた。本日お集まりの皆様とともに力強い賃上げを実現できるようともに取り組んで参りましょう。」と述べました。
 次いで、労働行政を代表して加藤勝信厚生労働大臣は「5月8日より新型コロナウイルスの位置づけが見直される。この間、様々な制約やご苦労があった中ご協力いただき、位置づけの見直しにまで至ったこと感謝申し上げる。また、今年の賃上げは労使の真摯な交渉により例年にない高い水準となっている。このうねりを広げていくべく、先般、政労使の意見交換を実施した。厚労省としても今月末までを取り組み強化月間として同一労働・同一賃金の遵守の徹底をはかってきた。今後は最低賃金の議論も始まる。新型コロナウイルスの位置づけの見直しも契機としながら経済の成長、その中で賃金、生産性の向上、さらに経済の発展につなげていきたい。労働行政には様々な課題がある。働く者・生活者の立場からご意見を頂き、誇りをもって働き、安心して生活できる社会を実現してきたい。」と述べました。
 続いて、メーデー中央大会を後援している東京都より小池百合子知事が「コロナ禍においては、連合傘下のエッセンシャルワーカーの皆様、そしてご苦労された皆様の現場の声を対策に活かすことができたこと改めて感謝申し上げる。この間、テレワークをはじめ働き方が変わりデジタル化も進んだ。ただ、DXはもっと進めなければならない。未来を切り拓く主役は常に人である。東京都は年間2万人規模のリスキリングプロジェクトを行っていく。また、男女問わず大切な育児という仕事をともに担う取り組みを加速していく。東京都からサステナブルな未来を実現して参りましょう。」と述べました。

 来賓・協賛団体を代表として、中央労福協・南部美智代事務局長、全国労働金庫協会・西田安範理事長、こくみん共済 coop・廣田正巳代表理事 理事長、日本生協連・土屋敏夫代表理事会長、日本退職者連合・人見一夫会長が紹介されました。
 
 春季生活闘争の取り組みを続ける現場から、運輸労連東京都連の土屋亮集団交渉議長が、多くの加盟単組が増額を勝ち取る事ができたが、未だ物価上昇に耐えうる賃金水準には達していないとした上で、「人への投資を前提に、若者が魅力を感じる賃金の引き上げをはじめ、労働条件を底上げし、働く者が希望を持つことできる産業にするための取り組みを進めて行きたい。」と訴えました。
 
 続いて、支え合い・助け合いの現場から、認定NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長が「コロナ禍が終息しても、困窮子育て家庭は未だに厳しい状況にある。さらに昨年からの物価高が追い打ちをかけている。さらに、4年間もお金の心配をしてきたシングルマザーがメンタル不調に陥るケースもある。子どもの進路にも大きな影響が出ており、子どもに進路希望を諦めてもらった家庭も少なくない。コロナ禍が終息してもこうした家庭への支援を継続するようお願いしたい。また、子ども貧困は親の貧困でもある。働いているのに苦しい。是非とも皆さん協力して貧困バッシングをとめていただき、苦しい時に苦しいと声を挙げることのできる社会として頂きたい。みんなで団結して日本を盛り上げることができればと思っている。」と訴えました。
 
 最後に、太田佳織メーデー常任実行委員(情報労連 中央執行委員)がメーデー宣言(案)を提案し、満場の拍手で採択され、式典は、田中清文メーデー常任実行委員(自動車総連 常任執行委員)のがんばろう三唱で閉会しました。
 
 第94回メーデー中央大会のダイジェスト版は、RENGO-TV(YouTube)にアップいたしました。
 下記URLより是非ご覧ください。
   URL:https://www.youtube.com/watch?v=ttKY9qfC9nc
  • 杉浦 賢次 メーデー中央副実行委員長
  • 岸田 文雄 内閣総理大臣
  • 加藤 勝信 厚生労働大臣
  • 小池 百合子 東京都知事
  • 土屋 亮 運輸労連東京都連 集団交渉議長
  • 渡辺 由美子 認定NPO法人キッズドア理事長
  • 太田 佳織 メーデー常任実行委員
  • 田中清文メーデー常任実行委員(がんばろう三唱)
  • 出展ブースの様子
  • キャッチボール教室の様子